リハビリテイション心理学研究
Online ISSN : 2436-6234
Print ISSN : 0389-5599
原著
自閉スペクトラム症者における“かわいい”の定義:対象の属性,認知,感情および行動,機能に着目して
大野 愛哉田中 真理
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2022 年 48 巻 1 号 p. 1-21

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抄録

 本研究の目的は自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder;以下,ASD)者における“かわいい”の定義を対象の属性,認知,感情の3要素および行動,機能から探索的に検討することであった。13歳~23歳のASD者15名(最終分析:13名,平均16.6歳,SD=3.62),14歳~23歳の定型発達(以下,TD)者30名(平均18.1歳,SD=3.21)を対象とし,“かわいい”に関する半構造化面接を行った。全727回答(ASD 264回答,TD 463回答)が得られ,回答はKJ法(川喜田,1967)を援用し分類を行った。その結果,ASD者の“かわいい”の定義として,「見る・触る・聞く・身に着ける等によって引き起こされる,近づきたい・そばにおいておきたい,よく見たいといった接近動機や,落ち着く,好きといった感情を伴い,情動調整や動機付け,精神的健康度の向上やコミュニケーションの促進機能を持つ」が得られ,ASD者独自のものとして「精神的健康度の向上やコミュニケーションの促進機能」が得られた。

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© 2022 本論文著者
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