リハビリテイション心理学研究
Online ISSN : 2436-6234
Print ISSN : 0389-5599
資料
自閉スペクトラム症児における静的・動的バランス能力の特徴と運動介入が社会的相互作用に及ぼす可能性
中根 征也石倉 健二杉本 圭
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 48 巻 1 号 p. 91-99

詳細
抄録
 自閉スペクトラム症(ASD)は,社会的コミュニケーションの障害や興味の限局と常同性・反復的行動に加えて,運動面も問題視されている。本研究では,ASD児と定型発達(TD)児のバランス能力を比較し,ASD児のバランスの特徴を明らかにする。ASD群10名(男児9名,女児1名,平均月齢74.6±4.0ヶ月),TD群10名(男児4名,女児6名,平均月齢77.2±3.7ヶ月)を対象とした。各バランス課題の平均値を両群で比較したところ,片足となる場面がある「片足バランス」と「つま先歩き」で,有意にASD群のバランス能力が低いことがわかった。しかし,両足で行う「マット上ジャンプ」では有意差は認められなかった。さらに,ASD児の「片足バランス」においては,左右差が大きいことを明らかにでき,これはASD児におけるバランスの特徴の一つであると思われる。
 今後は,バランス能力向上の運動療育が巧緻運動や社会的相互作用に対してどのように効果を及ぼすかを検討する必要がある。
著者関連情報
© 2022 本論文著者
前の記事
feedback
Top