抄録 : 精神障害者の近隣交流は, 住民との相互理解を促し, 摩擦を未然に防ぐ. 本研究では, 近隣交流と地域組織の代表である自治会と民生委員との関連を検討することを目的とした. A 県在住の精神科入院経験を持つ精神障害者 (n=131) と住民 (n=312) に無記名自記式調査を実施した. 調査紙は, 基本属性と近隣交流55項目で構成し, 自治会入会, 民生委員への相談を尋ねた. 近隣交流項目の因子分析により, 援助, 共有, 協調, 関心, 感謝の因子構造が明らかとなり,「感謝」を除く4因子で精神障害者の因子下位項目平均値が有意に低かった. 自治会加入は住民が9割以上に対し精神障害者は6割に満たなかった. 民生委員へ相談する割合は精神障害者が住民より高かった. 自治会入会, 民生委員へ相談をする方がしないよりも因子下位項目平均値が高かった. 精神障害者は住民に比べて近隣交流が少なく自治会加入率が低かった. 地域組織とのつながりと近隣交流は相互に高め合うことが示唆された.