【目的】脳損傷者の自動車運転再開支援のなかで, 運転再開が一旦保留の判定となった対象者に対し高次脳認知機能トレーニングシステム RehaCom「配分性注意2」を用いて, 自動車運転に関与する認知機能と運転行動への効果について検討を行った.【方法】後方視的コホート研究に準じ, 脳損傷者10名に対し, ドライビングシミュレーター (以下, DS) に併用し, RehaCom「配分性注意2」を実施した. アウトカム指標は, 初期評価と最終評価で神経心理学的検査と DS「運転反応検査」を実施し比較検討した.【結果】自動車運転に関与する認知機能が改善 (「縦版 TMT-B (p<0.01)」,「かなひろいテスト (無意味綴) (p<0.01)」,「BADS (p<0.01)」等) し, 運転行動が向上 (選択反応「誤反応 (p<0.05)」等) する可能性が示唆された. 対象者10名の内, 6名が運転再開に至った.【結論】DSに併用し, RehaCom「配分性注意2」の実施は自動車運転に必要な認知機能と運転行動の向上に寄与する可能性が示唆された.
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