リハビリテーション連携科学
Online ISSN : 2435-7111
Print ISSN : 1880-7348
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展望
  • 會田 玉美, 館岡 周平
    原稿種別: 展望
    2025 年26 巻 p. 1-11
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    抄録:後天性の脳損傷による高次脳機能障害者の発症から地域生活の再構成を円滑に進めるために,代表的な高次脳機能障害のリハビリテーションを紹介し,リハビリテーション連携の現状の課題とその解決について論じた.高次脳機能障害は記憶方法,ミスを減らす方法などの内的代償戦略と道具や環境を用いた外的代償戦略を合わせて用い,自分の能力の自己認識であるメタ認知の使用が推奨されていた.また,単純な記憶や注意機能,遂行機能は良好な回復を見せるが,より複雑な注意機能は長期にわたって障害が残り,一部の対象者は機能の低下を呈することが報告されていた.その原因には社会参加状況やQOLが関係していることが示唆された.高次脳機能障害者の地域生活の再構成を進めるためには,障害に関する知識,進化するエビデンスに基づくリハビリテーションの適用,そして複数の社会福祉制度の理解を基盤としたリハビリテーション連携が必要と考えられる.

  • 藤森 禎子
    原稿種別: 展望
    2025 年26 巻 p. 12-17
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    抄録:半側空間無視(以下,USN;unilateral spatial neglect)は,空間に対する不注意のため,復職や趣味活動,自動車運転の再開などの社会参加への支障となる.訓練については,国内外でさまざまな報告があり,時代の変化に伴って新しい治療法の登場やエビデンスレベルの変化があるが,依然として十分にエビデンスレベルの高い方法は明らかとなっていない.その原因として,症状の個別性による影響が挙げられる.また,医療現場で用いられる評価は,机上評価や行動観察による評価があるが,いずれも最終的な行動の結果を評価しているにすぎず,個別性の現れる行動過程を客観的に評価することができないという課題もある.このため,それぞれのUSN者に合わせた効果的な訓練の提供が行われにくいと言える.本稿では,USNのリハビリテーションの動向を概説し,評価や訓練の視点から支援のあり方について展望を試みた.

原著
  • 藤森 禎子, 生田 純一, 田原 敬, 河野 禎之
    原稿種別: 原著
    2025 年26 巻 p. 18-26
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/02
    ジャーナル フリー

    抄録:【目的】左半側空間無視(unilateral spatial neglect,以下USN)者の仮想空間内の視覚探索行動と日常生活上の症状との関係性を探ることとした.【方法】左USN者10名に対し,視覚探索行動として仮想空間中の刺激への反応を評価するバーチャルリアリティ(Virtual Reality,以下VR)を用いた評価と,日常生活上の症状を評価するCatherine Bergego Scale(以下,CBS)を実施した.【結果】VR評価の結果,左空間への反応の遅延を認めた.また,遅延した距離で症例を分類し,CBSとの関係を分析したところ,近位に遅延のあった症例では移動中に左側にぶつかりやすく,中間位や遠位に遅延のあった症例では左半身を忘れるといった遅延する距離で症状の違いが示された.【結論】USN者の仮想空間における配置別の探索時間を評価することで,日常生活上で出現しうるリスクの予測に役立つ可能性が示唆された.

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