2018 年 19 巻 1 号 p. 10-20
【目的】 通所リハビリテーションにおける言語聴覚士の家族支援の役割と現状を検討する. 【方法】 通所リハビリテーションに勤務している東京都周辺の言語聴覚士11名を対象に家族支援についての半構造化面接を実施し, SCAT による質的分析を行った. 【結果】 言語聴覚士の考える役割には 《専門性に基づく支援》 , 《関連職種との連携による支援》 など4カテゴリーが生成された. しかし, 現状の問題点では 《物理的制約による不完全燃焼感》 や 《食べさせたい思いとリスク管理の葛藤》 という5カテゴリーが生成された. 一方, 問題点への対応として 《連携による食事支援の効果》 , 《情報不足を補うチーム力の活用》 など4カテゴリーが生成された. 【結論】 言語聴覚士は家族支援において情報不足や物理的制約により, 役割を十分に遂行できず不完全燃焼感を抱いている現状が示唆された. しかし, 連携による食事支援では, 家族の気づきや協力を得ることに効果があった.