2024 年 25 巻 1 号 p. 26-33
抄録: 【目的】本研究では, 通学方法と送迎時間が通所・通学支援の満足度に与える影響について, 明らかにすることを目的とした. 方法】知的障害特別支援学校625校に調査を実施した結果, 満足群は全体の45.44%であった. さらに, 通学方法および送迎時間と通所・通学支援の満足度との関連について, χ2 検定を実施した.【結果】家族等が自家用車等を利用している場合や公共交通機関を利用している場合では, 非満足度への影響が認められた. 移動支援事業や放課後等デイサービスを利用している場合では, 満足度への影響が認められた.【結論】現行の通所・通学支援制度では十分にカバーし切れない制度の挟間の問題が存在しており, 通所・通学支援制度の未整備や家族等の送迎時間が満足度に一定の影響を与えていると示唆された. 教育の機会均等や合理的配慮の観点から, 基礎的環境整備の1つである通所・通学支援制度の在り方を検討していく必要性が示唆された.