歴史と経済
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都市型社会の制度的基盤 : 20世紀前半のドイツにおける母子保健制度をめぐって(大会報告・共通論題:可能性としての都市-公共性と生活空間)
川越 修
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2004 年 46 巻 3 号 p. 20-27

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抄録

本論文の課題は,19世紀末から20世紀前半にかけてのドイツにおける乳児死亡問題と母子保健制度の展開過程という限定された事例の検討を通じて,現在大きな転換点に立っている先進工業社会(=都市型社会)の制度的基盤(=制度としての社会国家)と,それが内包する問題点を歴史的に考察することにある.こうした課題設定に従って,以下,(1)19世紀から20世紀への世紀転換点に西ヨーロッパ社会がほぼ共時的に経験した社会変動,(2)世紀転換期から第一次世界大戦を経てヴァイマル共和国時代へと至る時期のドイツにおける,乳児死亡問題と母子保健問題の展開,(3)ヴァイマル期からナチ期にかけての母子保健制度の展開過程の分析から浮かび上がるナチ社会像,(4)20世紀前半のドイツ社会の歴史的経験の意味,という4点を中心に考察を進めて行くことにしよう.

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© 2004 政治経済学・経済史学会
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