2010 年 2 巻 p. 32-43
筆者はこれまで、発話速度をどのように認知されるかについて脳波実験を行い、速度感とピッチ変化という異なるプロソディー情報が陰性波N4aの潜時に反映されるという結果を得た。本稿では、全ての刺激音に自然言語音を用いてこの再現性を確認することとした。
今回の実験結果においては、必ずしもN4a潜時に発話速度が反映されるわけではなく、最も安定して現れていた陽性波P2に注目すると中間的な速度であるnormalの刺激音がほかのものを聴いたときと潜時が異なる傾向が見られた。
この結果、速度やピッチ変化を認知する以前に、「normalか非normalか」を二項対立的に知覚し分けている可能性が示唆された。