2012 年 11 巻 3 号 p. 98-105
本稿では、以下の二つの仮定の下で、施設利用者の総便益の解析的表現を導く。その一つの仮定は、施設利用者の行動は発生制約型の空間的相互作用モデルにしたがうというものである。もう一つの仮定は、施設利用者はネットワークに沿って連続的に分布し、その密度分布は多項式によって表されるというものである。まず、クラスカルの算法などのよく知られたネットワークアルゴリズム等を利用し、総便益を定積分として定式化する。このとき、被積分関数の一部は、一般的にアクセシビリティと解釈されるものの自然対数となっている。テーラー展開を利用してこの部分を指数関数の級数へと展開し、それによって、総便益の解析的表現を導く。