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SAHI(Slicing Aided Hyper Inference)の分析手法を一例として
萩原 和
2025 年24 巻2 号 p.
189-194
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本報告では、集落景観画像に適用した「小さな物体検出」の手法(SAHI(Slicing Aided Hyper Inference))が、どのような精度で挙動するのかを検証した。その結果、SAHIを追加した物体検出のほうが細やかな部分で検出していることが判明した。これまで、集落景観のように広角な画像では、集落エリアの景観要素である各建物をクリアに物体検出できない場合も少なくなかった。その意味において、SAHIを介した画像解析は有効な手法であることが示唆された。しかしその一方で、検出精度(誤判定の割合、検出率など)が弱含みである面も見られた。こうした結果が生じた理由はさまざま考えられるが、原因の一つとして機械学習モデルの追加トレーニングが不十分な状態だったことが挙げられる。引き続き更なる検証を進めて、より良い集落景観画像の解析手法を検討していく。
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中核拠点となる客船ターミナル施設の魅力と課題
坂巻 哲, 大島 一夫, 蓬田 崇, 三輪 夏菜
2025 年24 巻2 号 p.
195-199
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では,「みなとオアシス」の受入環境の整備向上を目的に,「みなとオアシス」の中核拠点となる客船ターミナル施設のレビュー情報を対象にしたテキストマイニングによる試行的分析を行った。その結果,客船ターミナル施設は,「みなとオアシス」の交通結節点として公共交通機関の整備・拡充,「みなとオアシス」の玄関口としてトイレの衛生管理,地域の中核拠点として公園やオープンスペースの導入・拡充が重要であることがレビュー情報から読みとれた。
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歴史的風致維持向上計画認定都市における歴史的資源と観光の関連に着目して
飛田 ちづる, 飯塚 康雄
2025 年24 巻2 号 p.
200-205
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本論は、令和3年度までに認定された歴史まちづくり認定都市を対象に、歴史まちづくり計画作成と観光産業や観光地整備の検討の関係をアンケートにより調査し、歴史まちづくり計画作成の効果として結びつけられやすい観光について、自治体の取り組みや対応を整理したものである。
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一体型滞在快適性等向上事業12事例及びウォーカブル推進税制8事例の分析を通して
松田 晃太, 三河 惟彦, 福井 勇仁, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
206-211
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、「アイレベル空間」の民有地に着目した「事業立案プロセス」の留意点を明らかにするため、一体型滞在快適性等向上事業及びウォーカブル推進税制を活用する事例を分析した。その結果、「事業立案プロセス」において留意すべき点は5つあり、制度を活用するには、事業対象地の選定における周辺地域への公平性や、事業内容の公共性・一体性の検討に留意が必要であることが明らかになった。
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棟向きを中心としたインターネット地図機能を用いた基礎的広域調査
鹿 一鳴, 岡崎 篤行
2025 年24 巻2 号 p.
212-215
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
町屋の棟向きは、町並みを構成する上で重要な要素である。近年、町屋の数は急速に減少しており、基礎的な調査が早急に求められている。さらに、棟向きは局所的にも変化する場合があるため、町場単位での全国的な調査が必要である。本研究では埼玉県を対象とし、各町場における町屋の残存状況および外観特性についても検討を行った。
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今村 洋一
2025 年24 巻2 号 p.
216-223
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、北海道・東北地方の国立大学を対象に、旧軍施設の転用実態を整理する。空襲被害を受けた旧制学校のうち、青森医学専門学校、青森師範学校、盛岡工業専門学校、第二高等学校は、附属病院や校舎の代替施設として旧軍の兵営や学校施設を使用した。空襲被害を受けていなくても、北海道大学が旧飛行場を農場として、秋田鉱山専門学校が旧軍の兵舎や将校集会所を学生寄宿舎として使用するといったことがなされた。新制移行後の1960年代、弘前大学、秋田大学が旧校地に隣接する旧軍用地を拡張用地として取り込んで、キャンパスの集約化を図った。また、東北大学では、1950年代から約70年かけて、城址周辺の広大な旧軍用地にキャンパスを集約し、現在の広大なキャンパスが形成された。
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道路ネットワーク及び活用実態による分析
倉田 晃輔, 佐野 充季, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
224-231
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
現状の道路空間活用の多くが歩行者と自動車を空間的に分離する歩車分離道路や歩行者専用の活用に留まり、歩行者と自動車が同一の空間を共有する「カーブサイド道路」の活用事例が依然として少ないことに着目した。本研究の目的は、都心商業地において活用されている「カーブサイド道路」の効果的な活用手法を明らかにすることである。分析の結果、いずれの地区においても、交通機能を地区外周の幹線道路に集中し、歩行者中心の道路を地区内部に集中することで、面的な交通及び滞留機能の棲み分けが実現することが明らかになった。また、歩行者利便増進道路制度に基づく指定のある「カーブサイド道路」の国内3事例の分析を通じて、交通規制の実施と交通動線を明確にした上で、滞留機能を設けることで、安全性を確保することが明らかになった。
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西川 杏紗菜, 岡井 有佳, 酒本 恭聖
2025 年24 巻2 号 p.
232-238
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
立地適正化計画は、市街地の空洞化の抑制と都市機能の集約を目的としており、都市機能誘導区域外への建築・開発行為に対しては届出・勧告のルールを設けている。しかし、実際は都市機能誘導区域内に誘導施設の立地が進んでいるとは言い難い。本研究では、誘導施設の立地状況と都市機能誘導区域外に建築された誘導施設に対する届出・勧告制度の運用実態を明らかにする。その結果、都市機能誘導区域内に立地する施設の多くが立地適正化計画による誘導ではないことが明らかになった。また、制度に強制力がないため、自治体による届出や勧告による規制は困難であることも分かった。
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平 修久
2025 年24 巻2 号 p.
239-246
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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アメリカでは、住宅市場の動向を背景に、家賃規制の導入、緩和、廃止を繰返してきた。州や自治体により規制内容が異なり、意図した効果の達成度合いや負の影響もまちまちである。既存借家人の継続居住を保証するが、一方で、労働力の流動性低下、賃借人と住戸のミスマッチ、非規制住戸の家賃上昇、不動産価値の低下、賃貸住宅の新設減少という費用を伴う。既存借家人の便益は長期的に減少し、新規借家人は賃貸住戸減少などで費用を負担する。規制住戸賃貸人は努力により費用をゼロにすることは可能であり、非規制住戸賃貸人は不労便益を享受できる。多くの関係者に多岐に複雑に影響が及ぶため、家賃規制の導入、運用には細心の注意が必要である。
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パリ市のPLUbを事例として
松田 道樹, 西村 愛, 村山 顕人, 小泉 秀樹
2025 年24 巻2 号 p.
247-252
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
世界的に、都市計画における気候変動対策や生物多様性保全、社会的包摂の取組の必要性が増している。そうした中、フランス政府およびパリ市は、環境的・社会的取組を取り入れた政策・空間計画枠組みを策定してきた。そこで本研究では、パリ市の新たな空間計画「生物気候都市計画ローカルプラン(PLUb)」に着目して、空間計画における上位の環境政策の展開の実態を、文献調査・ヒアリング調査・実地調査の手法を組み合わせて、分析した。その結果、パリ市がフランス政府に先駆けて計画やプロジェクトを実施してきたこと、PLUbは上位政策を取り入れつつ、自らの特性や従前の取組を踏まえたものとなっていることが明らかになった。また、その取組の展開では、気候変動や生物多様性に関わる多様な目標に、総合的に取り組もうとしていることが読み取れた。
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活用状況の網羅的 分析及び活用実態のケーススタディを通じて
原田 夏実, 吉田 明斗, 中村 佳乃, 飛田 龍祐, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
253-259
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
歩行者利便増進道路制度の導入における行政計画及びエリアビジョンの活用状況について、2024年3月31日時点で指定された139の路線の道路管理者及び道路占用主体を対象に、アンケート調査を通じた検討を行った。整備段階での行政計画及びエリアビジョンは限定的であったが、合意形成や制度導入の正当性を確保する上で効果的に機能していることが明らかになった。本研究は、合意形成や道路空間利用の方針策定など、様々なシナリオにおいて、関係者の属性に応じて行政計画及びエリアビジョンの活用可能性が異なるという結論に至った。
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自給型人口分散によるバランス改善の試論
田上 朋樹, 石橋 澄子, 谷口 守
2025 年24 巻2 号 p.
260-267
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本研究では、我が国の低い食料自給率と都市部の人口集中問題に対応するため提唱された「自給型人口分散」の改善効果を試算している。分析では、人口減少を上回る農業・漁業従事者の減少や、農業における生産効率向上のトレンドを考慮したシナリオを設定した。都道府県別の食料需給バランスと耕作地利用の長期推計によると、地方部への人口分散を推進しつつ、安定した食料生産労働力を確保することで、2105年までに全国の食料自給率を90%まで引き上げ、耕作面積の減少を抑制することが可能であることが示された。これより、地方部への人口分散と職業構成への介入を総合的に実施する必要性が示唆された。
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曜日別・世代別にみる活動時間の推移
亀井 俊佑, 松浦 海斗, 小林 泰輝, 谷口 守
2025 年24 巻2 号 p.
268-274
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
人々の日常の生活行動は,ICTの普及や価値観の変化,働き方改革などの社会変化により大きく変化している.そこで,本研究ではコロナ禍を含め長期的に人々の多様な生活行動の実態を調査し、それらがどのように変化しているのかを明らかにした.本研究により,1)土曜日において仕事や学校などの活動に費やす時間が減少していること,2)若年世代では家事などの活動時間は減少している一方で趣味・娯楽に費やす時間は増加していること,3)高齢者世代では買い物などの活動に費やす時間が増加していること,4) くつろぎ時間の増加や交際時間の減少はコロナによる一過性のものではないことが明らかになった.
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熊本県熊本市をケーススタディとして
山之内 陽起, 本田 薫子, 五味 桃花, 小野寺 瑞穂, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
275-282
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は、熊本市中心市街地地区をケーススタディとして、行政計画及びエリアビジョン等からみたパブリックスペース活用の戦略と、社会実験及びイベント実施等からみたパブリックスペース活用の戦術を複合分析し、戦術の戦略化に向けた複数のパブリックスペース活用手法を明らかにすることである。研究方法として、文献調査、自治体及び管理運営者に対するヒアリング調査を実施した。研究の結果、複数のパブリックスペース活用における戦略・戦術を位置づける効果及び公民が担う役割が知見として得られた。本研究の結論として、戦略・戦術の双方のアプローチが相互に補完し合うことで、パブリックスペースの活用は単発的な取組にとどまらず、地域の実情に応じた空間づくりの実現に寄与すると考える。
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コロナ道路占用特例からの制度移行を通じて
飛田 龍佑, 中村 佳乃, 吉田 明斗, 原田 夏実, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
283-286
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究の目的は、コロナ特例からほこみち制度を含めた他制度への移行状況及び移行後の道路空間活用の傾向から、ほこみち制度の課題及び展望を明らかにすることである。コロナ特例の道路占用に関する緩和基準で継続的な道路占用が可能であることが確認できた。他制度への移行時には、❶「構造基準への不適合」、❷「指定要件への不適合」、❸「店舗の利用ルール」の3つの課題を確認することができた。
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旭川市、鷹栖町、東神楽町を対象として
吉田 隼斗, 岡井 有佳
2025 年24 巻2 号 p.
287-293
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、旭川市、鷹栖町、東神楽町を対象とし、立適計画の都市機能における広域連携の背景と実態を整理することを目的とする。鷹栖町と東神楽町は立適計画の中で、旭川市内の公共施設を活用することで、公共施設の過剰供給を防ぎ、持続可能な都市運営を実現することを明記している。さらに、町内と旭川市を結ぶバス路線を維持することで、住民が施設にアクセスできるよう配慮している。こういった広域連携の背景には、定住自立圏構想といった既存の取り組みを立適計画に反映したという経緯がある。1市2町の取り組みは単一の都市のコンパクト化を前提とした立適計画の枠組みを柔軟化し、実態の生活に即したコンパクトシティ形成を推進する取り組みである。
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飛田 晴哉, 藤井 さやか
2025 年24 巻2 号 p.
294-301
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
工場立地法に基づく敷地外緑地制度は、敷地内の緑地確保が困難なために機能の更新が困難な工場に対し、敷地外への緑地整備により、工場立地法の緑地要件の達成を認めるものである。本研究は、この制度の制定・実施状況及び課題について、各自治体の事例研究を通じて検証し、効果的な活用手法を明らかにすることを目的とする。同制度は規制の緩和によって工場の更新を可能とし、各自治体の工場立地法管轄部署と環境・緑地関連の部署間連携により、公有地における質の高い緑化を促進する一方で、私有地における緑化では自治体の管理が不十分となり、低品質な緑地空間の発生や規制緩和の抜け穴としての制度利用といった問題が生じている。
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福岡市都心部をケーススタディとして
髙下 紫雄, 辰巳 浩, 田部井 優也, 吉城 秀治
2025 年24 巻2 号 p.
302-309
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、福岡市都心部における休日の回遊行動を、一般来街者と子連れ来街者の2つの属性で比較した。また七隈線延伸前後およびCovit-19の発生前後の経年変化を分析するために、11年間にわたるアンケート調査結果を分析に利用した。天神地区における11年間の回遊行動を経年分析した結果、Covit-19の影響を受け回遊箇所数が減少傾向にあることを明らかにした。また、天神・キャナル・博多の3地区間における2022年から2024年の3か年での回遊行動の分析では、一般来街者と子連れ来街者で異なる傾向にあることを示し、特に子連れ来街者において回遊箇所数、滞在時間ともに減少傾向にあり、また地下鉄七隈線の利用割合が減少傾向にあることを明らかにした。以上から子連れ来街者にも快適に都心部で回遊できる環境の構築が重要であることを示した。
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王 晴, 高取 千佳, 木藤 健二郎
2025 年24 巻2 号 p.
310-317
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究は、第4回北京林業大学国際ガーデンフェスティバル(成都)において受賞した竹構造作品「Interstellar」を分析するものである。本作品はワームホールを着想源とした竹構造であり、没入型の空間体験を提供すると同時に、公共空間における社会実験として機能した。専門家からは独創性が高く評価され、市民からは美的・娯楽的・情緒的価値が認識された。また、デジタル媒体を通じた拡散によって、その影響は展示会場を超えて広がった。さらに、中国と日本の比較検討を通じて、人口減少と高齢化の下での竹資源活用に関して以下の三点の知見が得られた。第一に、世代間参加は公共空間の社会的・経済的潜在力を高める。第二に、「放置竹林」を「公共資産」へと転換することは、生態的およびガバナンス上の利益をもたらす。第三に、文化的象徴性とデジタルメディアを接続することにより、一時的なインスタレーションが持続的な影響を獲得することが可能となる。
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雨宮 護, 鈴木 あい, 栗田 英治, 島田 貴仁
2025 年24 巻2 号 p.
318-321
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本稿では,全国の農業協同組合(JA)563機関を対象とした果物盗被害に関するアンケート調査の結果を報告する。260の回答を集計した結果、約半数のJAが果物盗被害を経験しており、被害品目はぶどう、みかん、なしが上位を占めた。被害は7-9月の収穫期の深夜に多発し、犯人の多くは不明であった。果物盗への対策としてパトロールや防犯カメラ設置が実施されており、生産者に対しては施錠徹底や保険加入の呼びかけが中心となっている。本報告は,日本の農村犯罪学発展に向けた基礎資料を提供するものとしての意義がある。
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坂本 愛佳, 鈴木 雷真, 菅原 悠希, 深津 壮, 竹中 彩, 泉山 塁威
2025 年24 巻2 号 p.
322-329
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
フリー
本研究では、Park-PFIを用いた公園の「周辺環境」に焦点を当て、公募対象公園施設の「施設計画」の特徴を明らかにした。公募対象公園施設には6種類の配置パターンが存在し、公園の「周辺環境」や公園特性を考慮した上で、それぞれ異なる方法で活用する必要があることが明らかとなった。民間事業者は配置パターンの特性を考慮して「施設計画」を策定していることが判明した。さらに、「周辺環境」を踏まえた事業を行うためには、公園整備後の管理運営内容だけでなく、Park-PFI事業の方針を検討する「施設計画」の段階から、「周辺環境」を踏まえて検討する必要があることが明らかになった。
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土地利用に着目して
東條 秀祐, 中島 直人
2025 年24 巻2 号 p.
330-336
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本研究では、年齢・性別・居住地・ペース・頻度・距離といったランナーの属性が、東京都臨海部における地区選好にどのような影響を与えるかを検討した。2025年5月のStrava公開GPSデータと東京都の土地利用調査データを用いて小地域ごとの走行特性と地区特性を導出し、関連を分析した。手法としては、相関分析、重回帰分析(残差のMoran’s I検定を含む)、およびk-meansクラスタリングを実施した。その結果、女性や外国人のランナーは周縁の余暇地区を選好する傾向が、低速のランナーは公園を重視する傾向が確認された。また、高齢や高頻度のランナーは都心に近い居住地区に集中する傾向が、長距離のランナーは周縁の産業地区を利用する傾向が示された。これらの知見は、包摂的な「走りたくなるまち」の実現に向けた一助となり得る。
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東京都小金井市における空地活用社会実験「小金井リビング」を対象として
斎藤 青葉, 根本 晴佳, 萩原 悠, 山田 莉央, 西川 亮
2025 年24 巻2 号 p.
337-343
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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まちづくりに関わる人々が減少しているため、市民の主体性を高めていく必要がある。その中で、公共空間の活用は、より幅広い市民がまちづくりに参加すること促す手段になりえると考えられる。本研究では、東京都小金井市で実施された社会実験「小金井リビング」における来場者および出展者への調査をもとに、空地を活用した賑わいづくりにおける市民の主体意識の醸成と市民による空地活用の可能性を検証することを目的とした。第1回社会実験では、来場者の主体性が低いことが示された。第2回社会実験では、イベントの趣旨理解が意欲を高めること、友人と共に出展したいと考える人が多いことが明らかになった。第3回社会実験では、来場者が一時的に主体を担うことで、主体者意識の醸成に効果的であることが分かった。また、出展者は来場者との交流を重視していることが明らかになった。
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大島 優紀, 北崎 朋希
2025 年24 巻2 号 p.
344-347
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本研究は、母子世帯、とりわけ未就学児を抱える世帯を対象に、就労と居住を一体的に支援する「職住一体型アフォーダブル住宅」の事業可能性を検討したものである。母子世帯の多くは非正規雇用で収入が低く、都市部の民間賃貸住宅では家賃負担率が適正水準を大きく上回る。こうした背景の下、既往研究の整理と東京都区部を対象とした事業収支シミュレーションを行った。その結果、マンション管理員業務と住戸の提供を組み合わせることで、派遣会社へのマージン料相当分や家賃低廉化補助金を活用し、一定の家賃軽減効果が得られることを確認した。また、賃料水準の低い地域では追加的支援を必要とせず事業成立の可能性が高いことが明らかとなった。
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東京都臨海部エリアを対象として
中本 拓也, 甘粕 裕明, 土田 冴恵子, 田﨑 智之, 大村 珠太郎, 生富 直孝, 堀田 剛士, 煤田 遼祐, 田中 啓, 陣内 寛大
2025 年24 巻2 号 p.
348-353
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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都市開発において開発後の人流効果を予測することは重要であり、事業性検討・都市環境や交通への影響評価の観点からも適切に事前評価を行う必要がある。本研究では近年発達が著しい携帯電話の基地局データやGPS技術を活用した人流分析が注目されている事を背景に、人流データと機械学習技術を活用することで、建物開発単位(6次メッシュスケール)での滞在人口推定モデルツール開発を行った。東京都江東区中央区の学習データに対して特徴量選択を行い、一定の推定水準のモデルを構築した後、最終的には学習データに新たに港区を追加する事で更なる改善を行った。また面的開発におけるケーススタディとして、虎ノ門麻布台地区の再開発メッシュを対象に推定を行い、一定の推定精度を確認できた事から開発初期段階活用での有効性が示された。
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月島もんじゃストリートを事例として
王 茜, 志村 秀明
2025 年24 巻2 号 p.
354-359
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本研究は、都市の「テーマパーク化」現象を具体的に明らかにするために、東京都中央区月島の「もんじゃストリート」を研究対象地区として、特に地域資本による店舗と外部資本による店舗着目し、もんじゃ店と非もんじゃ店の現状・変遷およびファサードデザインについて、①「月島=もんじゃのまち」というイメージは、外部資本による店舗によってかなりの割合で形成されていること、②2015年以降、もんじゃストリートの観光地化に伴い外部資本店舗が急増していること、③外部資本店舗は、地域資本店舗のファサードデザインに同化しつつ増加していること、を明らかにした。
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東京都渋谷区・原宿はらっぱファームの事例より
新保 奈穂美, 山田 桜
2025 年24 巻2 号 p.
360-361
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本稿は、東京都心部の約1,500m²の未利用国有地に一時的に開発されたコミュニティガーデン「原宿はらっぱファーム」の設立経緯を報告し、展望を述べる。地域住民が開始した本プロジェクトは、多主体間の協働により国有地利用の障壁を克服した。実験区画・共有区画・教育区画を設け、堆肥化と地域資源循環を重視している。本事例は、都市計画の観点から、環境教育・地域づくり・都市における循環型資源管理のための公共用地の暫定利用の可能性を示している。また、都市の未活用空間を再生可能かつ市民主導で活用する政策枠組みの構築の必要性が示唆される。
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都立猿江恩賜公園を例に
高橋 和敬, 角 知咲希, 越智 楓, 日下田 貴彦, 藤本 美晴, 孫崎 莉那, 上杉 哲郎, 竹内 智子
2025 年24 巻2 号 p.
362-369
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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本研究は都市公園の社会的価値向上を目的に、非利用者層に焦点を当てた。猿江恩賜公園の分析では、周辺居住者比率と比較し、成人・高齢者・青少年層の利用頻度が未就学児・小学生層を下回ることが判明した。社会実験とインタビューを通じ、成人・高齢者層は自然観察や写真ワークショップへの高い満足度を示した。一方、中学生層はスポーツ活動・SNS発信効果・学習効果への関心が顕著であった。非利用者へのアンケートでは、公園に「明確な目的」と「特別な体験」を求める傾向が確認された。これらの知見は、各年齢層のニーズに応じた管理が利用者のウェルビーイングに寄与し得ることを示唆している。本研究は都市公園の社会的価値向上を目的に、非利用者層に焦点を当てた。猿江恩賜公園の分析では、周辺居住者比率と比較し、成人・高齢者・青少年層の利用頻度が未就学児・小学生層を下回ることが判明した。社会実験とインタビューを通じ、成人・高齢者層は自然観察や写真ワークショップへの高い満足度を示した。一方、中学生層はスポーツ活動・SNS発信効果・学習効果への関心が顕著であった。非利用者へのアンケートでは、公園に「明確な目的」と「特別な体験」を求める傾向が確認された。これらの知見は、各年齢層のニーズに応じた管理が利用者のウェルビーイングに寄与し得ることを示唆している。
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つくばセンター地区を対象に
岩崎 真由子, 藤井 さやか
2025 年24 巻2 号 p.
370-376
発行日: 2025/09/10
公開日: 2025/09/10
研究報告書・技術報告書
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近年、日本においては都市中心部の再生を目的とした公共空間の活用が進展している。公共空間を市民にとって快適な場とするためには、実際の滞留行動を把握し、その促進に資する戦略を構築することが不可欠である。本研究は、つくば市のつくばセンター広場を対象に、滞留行動調査、滞留空間の設置、参加型ワークショップを実施し、その効果を検証した。調査の結果、周辺に集積する公共・商業施設に伴う活動の影響により、滞留行動が大きく変動することが明らかとなった。また、新たに設置した「リラックススペース」はグループでの交流を支援した一方で、個人利用や静穏な利用には適さない傾向が見られた。さらに、家族向けに実施したランタン作りワークショップは空間への関心を喚起する効果を示したものの、参加者の多くはもともと関心の高い層であり、関心の低い市民層へのアプローチが課題として浮き彫りになった。
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