都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
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都市計画報告集
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  • 「第6回 両河内ロゲイニング」における参加チームの居住地属性に着目して
    今津 海, 水上 泰章
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、地域活性化を目的としたスポーツイベントの事例研究として、「第6回 両河内ロゲイニング」事業における参加チームの居住地属性に着目し、データの整理・分析を実施した。結果として、(1) 全66組の参加チームのうち、静岡県内からの参加チームが全体の9割程度を占めていたこと、(2) 神奈川、愛知などの隣県からの参加も少数ながら確認できたこと、(3) 静岡県内の自治体に限定すると、静岡市内からの参加が6割以上で、静岡市葵区からの参加割合が最も高いこと、(4) 静岡市以外の自治体からの参加チームは3割程度で、静岡市に隣接する藤枝市や富士市、焼津市のほか、清水町や湖西市、浜松市などからの参加もあったこと、の4点が明らかとなった。

  • 大阪府河内長野市の高野街道を事例として
    外山 由佳, 佐久間 康富
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    歴史街道とは日本の歴史や文化を体感できる地域の貴重な資源といえる。 しかし多くの歴史街道は、伝統的建造物群保存地区に定められておらず、保全のための法律や条令、ルールがつくられていないため、歴史街道の景観を保全し続けることは難しい。本研究はそのような伝統的建造物群保存地区に定められていない、歴史的景観をもつ歴史街道の景観保全のあり方を検討することを目的とする。そこで、大阪府河内長野市の高野街道を事例として、高野街道沿いの景観の変遷と高野街道で行われた行政と住民の取り組みを調査した。その結果、伝統的建造物群保存地区のような位置づけはなくとも、住民主体で街の景観を保全・活用する歴史街道の景観保全のあり方が明らかになった。

  • 相模原市緑区藤野地区をモデルとして
    道祖 英一, 瀬田 史彦
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 175-181
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、30年以上前から芸術のまちづくりを展開し、近年人口の社会増となっている相模原市緑区藤野地区を対象として、行政主導から住民主体へと変遷を辿ってきた芸術のまちづくりを体系的に整理するとともに、アンケートやヒアリングを通じて、移住者が移住動機として決め手となった要因等を明らかにし、保全された自然と学校法人シュタイナー学園が主要因であることを確認できた。また、芸術のまちづくりは、保全された自然を移住の決め手とした者に対して移住に影響を与えていることが指摘できる一方、シュタイナー学園を移住の決め手とした者に対して相応の影響を与えないことから、移住動機として限定的に影響を与えていることが明らかになった。

  • イノベーション、メンタルヘルス、生産性、エンゲージメントを指標として
    宮本 万理子, 尾形 和哉
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    働き手が職場や自宅を離れ、仕事をしながら余暇も過ごす「ワーケーション」が注目されている。本稿では、約50名の被験者を対象に、イノベーション、メンタルヘルス、生産性、エンゲージメントを指標に、ワーケーションが従業員の心理的側面に与える影響について効果検証を行った。その結果、ワーケーションは主にイノベーション、メンタルヘルスを改善する効果があることが解明された。

  • 校歌・視覚・イメージの3分析の総合考察
    村居 真緒, 轟 慎一
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、伊吹山から近距離・中距離・遠距離にある滋賀・岐阜の小学校からみた景観構造について、校歌を用いたテクスト景観分析、景観構成と平面・断面からみた視覚構造分析、経験と意識からみた居住者イメージ分析の3分析をもとに考察をはかった。滋賀では幼少期に伊吹山に直接登るなど身体的経験を持つ場合が多く、また教育的側面からの認知が少なくないことが校歌からもうかがえる。空間構造の特性から、滋賀側では独立峰として眺望される小学校が多い。一方、岐阜では、伊吹山ドライブウェイがあることもあって身体的経験が多くはない。山地から奥まった位置となり連嶺の1つ、奥山の景として眺望される。校歌においても、遥かな景として謳われている。

  • 植田 直樹, 村上 暁信, 横張 真
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 194-197
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    国土交通省の「民間投資による良質な都市緑地の確保に向けた評価の在り方検討会」の中間とりまとめによれば,これからの緑地の多様な価値の発揮に向けて民間の投資を誘導し,自律的な取り組みを誘導できるような仕組みの構築が必要であり,そのためには評価認証制度が有効とされている。既往研究では,緑地の存在価値と利用価値について,単独の緑地によるものか,複数の緑地によるものかの視点を加えて整理するSMEU-Matrix という概念が提示されており,既存の評価認証制度はそのうちの利用価値の発揮や複数の緑地による価値の発揮の程度を評価判断に加えていることが判明している。また民間の取り組みは「他律的なもの」と「自律的なもの」に大別され,評価認証制度は後者に資する短期的な動機である。長期的な動機となり得るような資産価値の向上に対する見込みが将来に担保されるようなエリアマネジメントと緑地の連動した仕組みの構築も必要と考えられる。

  • 尾形 和哉, 宮本 万理子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 198-202
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では、当社が実施した実証実験を基に、ワーケーションが実施された和歌山県・長崎県・徳島県の3県について、産業連関分析による経済波及効果の推計を試みた。実証実験を基に算出した各県の一人一泊当たりの平均支出額と、推計した各県の年間ワーケーション参加者数を用いて経済波及効果を推計したところ、和歌山県では約5億円、徳島県では約2億720万円、長崎県では約2億7,500万円となった。また、ワーケーションに加えて、再訪、移住・定住、二拠点居住につながった場合の経済波及効果も算出し、10年間で生じる経済波及効果の合計は、和歌山県では約123億円、徳島県では約58億円、長崎県では約136億円となった。

  • 時間的偏在と変動に着目して
    石橋 澄子, 松浦 海斗, 谷口 守
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 203-209
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    インフラの効率化につながる交通の「ピークレス化」は、COVID-19流行以降ますます注目が高まっている。しかし、ピークレス自体の定義が曖昧であり、その定量的な評価指標もこれまで存在していなかった。本研究ではまず、ピークレスの概念について整理したうえで、ピークのない平準な状態からの乖離と時間帯による交通需要の変動幅を考慮した、ピークレスの評価指標を提案した。そして、COVID-19流行下に交通のピークレス化が実現しているのかを個人の行動データを用いて検証した。その結果、(i)公共交通は利用量が減少し、かつピークレス化する方向の変化であったこと、(ii)車バイクは三大都市圏中心都市を除くとピークレス化と逆行する変化を見せていたことが明らかになった。

  • 札幌市と福岡市における通り抜け利用と送迎空間に着目して
    大山 万智, 岩水 桂亮, 黒瀬 武史
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 210-216
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    鉄道の駅前空間は、商業施設等が集積する⽣活の拠点となることが多く、街の顔として地区の魅⼒を左右する重要な場所でもある。地上の鉄道駅では、駅前広場の整備が進められており、駅や駅近傍の都市空間を対象に、整備主体の垣根を超えた⼀体的な整備の事例が増加している。一方、地下鉄駅は⼀般に駅舎や駅前広場を地上に持たず、当該地区における重要性は高いものの、駅と駅近傍の空間を一体的に計画する事例は都心部に限られている。本研究は、地下鉄駅の駅まち空間の概念を提⽰し、地下鉄駅周辺の都市空間の利⽤実態を把握し、周辺の大型商業施設や街路空間と地下鉄駅との関連性を分析した。都市構造や地区の形成過程を背景として、駅周辺の⼈⼝密度や駅までの交通⼿段に違いがあり、それが地下鉄駅近傍の商業・交通の機能の複合性に影響を与えていた。地下鉄駅に接続する⼤型施設は、施設内が通り抜けとして利⽤され、地上への導線として重要な役割を担っていることを指摘した。また、駅周辺の道路が、送迎空間として駅前広場と類似する機能を担っていること、札幌市と福岡市では利用実態に異なる傾向があることが明らかとなった。

  • 宮本 万理子, 岡田 豊
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    全ての都道府県において現在空き家の増加戸新設が同時並行で進行している。その背景に「単独世帯」の増加が挙げられるが、「単独世帯」の動向と住宅需給には地域特性が見られる。東京都では中高年の「単独世帯」の増加に伴いゆとりある住生活へのニーズが高まり、長年若年「単独世帯」向けであった住宅マーケットへの影響は大きい。また、和歌山県では夫婦と子どもの世帯向けの一戸建ては子どもを持たない世帯には合わず、空き家の増加が避けられない。今後の空き家対策は、全国一律ではなく、各地の状況に合わせた処方箋が必要と思われる。東京都のような経済活動が盛んなエリアでは、市場のニーズに敏感な企業やNPO等の取り組み事例が参考になろう。一方で地域経済の衰退が空き家を増加させるため、和歌山市のリノベーションまちづくりのような経済の活性化と空き家対策の連携も重要である。

  • イメージマップ法とテキスト分析を用いて
    柳 未来, 佐野 浩祥
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 223-226
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    盛岡市における中心市街地活性化基本計画「中心市街地活性化つながるまちづくりプラン」において、「盛岡らしさ」という言葉が多用されているが、「盛岡らしさ」とは何か。本研究では、盛岡市民を対象としたイメージマップ法と、50年以上発刊されている盛岡市のタウン誌を対象としたテキスト分析によって、盛岡市のローカルイメージを明らかにしたものである。分析の結果、盛岡市のローカルイメージとして、「川」「歴史的遺産」「祭り」「人」といったキーワードが浮かび上がった。こうしたローカルイメージを保全・活用するような中心市街地活性化策が望まれる。

  • 栃木県宇都宮市を対象としたケーススタディ
    藤代 真奈, 森本 章倫
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    様々な社会課題の解決策として,近年進められているコンパクトシティ政策の1つには「街なか居住の推進」があり,街なか居住には行政や住民等の各立場において多数のメリットがある.一方で,円滑に進んでいない地域が多い現状がある.本研究では街なか居住の促進を図るため,街なかの将来像を情報提供ツールとして有効な3DVRにより可視化し,施策の具体的内容と将来価値の認知を高めることによる,居住意向や居住地選択に関わる要素への影響を明らかにした.その結果,街なか居住の希望が増加し,特にLRTの沿線地域への居住や,都市機能が集積した地域への居住に対する価値理解が高まることが分かった.加えて,その情報提供の効果は個人属性によって異なる傾向があるが,若年層に特に大きな効果があることを得た.

  • 古田 航己, 轟 慎一
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    滋賀県南部では近年、駅周辺地域への都市集積が進んでいるが、その実態は各市の都市形成・都市計画によって異なる。本研究では、滋賀県野洲・守山を対象にJR駅周辺の徒歩圏域における商業・医療福祉・公共施設の立地特性と都市構造・都市計画との関係を明らかにする。1km圏内の施設立地分析では、小売業で施設数の減少が進む一方、サービス業や福祉系で施設の増加がみられた。また、地区計画等の都市計画により市街地整備が進むエリアもみられた。1km圏内外の分析では、市街化区域が狭い野洲では中心拠点の駅周辺の施設集中が高い一方、幹線道路を中心に発展した守山では駅周辺に施設が集中していない等、都市構造・都市形成による施設立地への影響が捉えられた。

  • 東京都内の都市公園を対象として
    西浦 定継, 小林 利夫
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 239-244
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、コロナ禍における公園機能の検証を行うことを目的とする。対象とする期間は、2020年4月1日から2022年7月31日までの852日間とした。分析の視点として、1)広域空間レベルでのコロナ感染者数と公園面積との統計的関係性、2)個別の公園における利用者動向、の二つの視点から検証を行った。 BYMモデルを使った限りにおいては、商業業務面積に比べて公園面積の方がコロナ感染者数増加への影響が小さいと現れた。第 2 波から第 2 波と第 3 波の間では、パーク利用者が 2 倍近く増加していることが明らかになった。 特に千代田区の都市公園では、郊外からの利用者が増加。 これは、新型コロナウイルス感染症の終息時に従業員が一時的にオフィスに戻り、公園を利用して重要な業務を行ったためではないかと推測される。

  • 高知県室戸地域を対象としたケーススタディ
    田中 伸彦, 梶田 佳孝, 平沢 隆之, 髙橋 美里, 霜田 孝太郎, 中村 麟太郎
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 245-249
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本の地方におけるMaaSシステムの高度化を念頭において、高知県室戸地域の9市町村を対象に、「ある地域の来訪目的地(destination)と宿泊地(accommodation)の集積状況は地理的に異なる部分がある」という操作仮説を置いて、5×5フィルタリング法を用いた分析を行った。その結果、操作仮説は支持され、両者のメッシュ得点の相関係数は0.041と低い値になることを示すことができた。ただし、この相関関係の低さは、宿泊地(accommodation)の集積地は来訪目的地(destination)の集積地と対応するが、逆は真ならずという関係性にあることに起因することが示唆された。つまり、地方におけるMaaSを高度化するためには、導線としての二次交通(transportation)について、この様な地理的分散に配慮した計画が必要であるということが提言できた。

  • スポーツ施設の利用動向を軸にして
    細田 隆
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 250-255
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大は、未だ終息には至っていない。 政府では、新型コロナウィルス感染症対策本部会議において、新型コロナウィルス感染症対策専門家会議の提言を参考に、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成することなどを求め、スポーツ庁も「社会体育施設の再開に向けた感染拡大予防ガイドライン」を策定した。以上の背景を踏まえ、本論文では、事例調査として、埼玉県内のスポーツ施設の利用動向に着目し、スポーツに参画する者が、新型コロナウィルス感染拡大前から今日まで、具体的にどのようなスポーツ活動を行っているのか、ポストコロナ社会におけるスポーツ活動のあり方について、明らかにすることを目的とする。

  • 東京都渋谷区を事例として
    芦野 光憲, 東 佐由美, 本間 芳和, 横山 和理
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 256-261
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、渋谷区でのケーススタディを通じて、まちの創り手育成のため、まちづくり科学教育プログラムのプロトタイプを明らかにする。まちづくり科学教育プログラムは、人間の思考をベースにした科学的な課題把握方法とその課題を解決する創造力を醸成するものである。本研究については、今後他都市への適用の一助とすることを目的とする。ケーススタディでは、渋谷区の小学校「シブヤ未来科」の未来の渋谷の創り手育成に注目し、渋谷駅周辺の再開発をモチーフに、小学校の教育現場に適用可能なことを目標とする。

  • 桐岡 真歩, 井上 亮, 小林 久高
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 262-267
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年では、夜間景観の重要性が高まっているが、十分な制度や運用実績がある自治体は少ない。本研究の目的は、夜間景観計画のない松江市における夜間景観の実態を調査・分類し、その特徴を把握することで、今後の夜間景観のあり方を考察することである。巡回調査の結果と松江市が「水の都」であることを踏まえ、水辺の夜景に着目することとした。また、本研究では松江市内に数多く存在する水辺空間のうち、松江城周辺地区を調査対象区域として選定した。この地区の夜間と昼間の歩行実験を比較することで、夜間景観では「町並み」が良好であると評価され、「水辺」が重要であることが明らかになった。また、本対象エリアを6つのエリアに分割し、エリアごとの分析を行ない、今後の夜景の形成について検討した。

  • 2010年から2020年の10年間に着目して
    広兼 靖也, 雨宮 護
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 268-274
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本報告ではつくば市として大きな変化が発生していた2010年から2020年における社会の変化を捉えるために,社会地区分析を用いて,その結果からつくば市の変容の様子を記述した.分析の結果,①研究学園地区,TX沿線開発地区,周辺開発地区という区分に対応した社会地区が形成される一方で,この10年間で社会地区が多様化したこと,②特にTX沿線開発地区において大きな社会変化があったこと,③国家公務員宿舎廃止後の社会変化は,社会地区を変えるほどのものではなかったこと,④市南部で,他県に通勤する層やサービス職の増加があったことが明らかになった.

  • 政令指定都市の文化芸術振興条例が掲げる「基本理念」に焦点を当てて
    今津 海
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 275-278
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、政令指定都市の文化芸術振興条例が掲げる「基本理念」の内容に焦点を当て、その特性を把握することを目的として調査を行った。結果として、政令指定都市の文化芸術振興条例の「基本理念」においては、「文化芸術の継承・発展・活用へ向けた活動に対する支援」や「文化芸術活動の環境整備」に関する記載が多い傾向にあることが確認できた。加えて、他の地域との交流や文化芸術活動を担う人材の育成、多様な分野との連携等にも意識が向けられていることが示唆された。

  • 全国98のエリアプラットフォーム団体の実態整理を踏まえて
    小野寺 瑞穂, 一之瀬 大雅, 泉山 塁威
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 279-286
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、エリアマネジメントが展開するとともに、都市再生推進法人制度等により公民連携まちづくりが展開されている。本研究では、公民連携によるまちづくりの一つである「エリアプラットフォーム」に着目し、その支援事業である「官民連携まちなか再生推進事業」に採択された98団体を対象に、地域特性による分類・分析を通じて、エリアプラットフォームの組織及び活動の特徴を明らかにすることを目的とする。アンケート調査によりエリアプラットフォームの現状と実態を明らかにした上で、地域特性による分類を行い、4つのパターンに整理した。また、各パターンの組織や活動内容を複合的に分析することで、比較分析を行った。本研究により、各エリアプラットフォームが現状の立ち位置を把握した上で、類似事例を参照しやすくする点に有用性があると考える。

  • 上杉 昌也, 森山 聡之, 小山 和孝, 和田 亨, 新山 悠紀, 石本 俊亮
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 287-292
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿は,モバイル向け位置情報ゲームアプリの防災教育への活用の可能性を検討することである.防災アプリ「防災Go!2.0」は,ゲーミフィケーションを導入することで,利用者が地域内の災害危険リスクを学び,理解する動機を与えるように設計されたものである.利用者にはモバイルアプリを通じて地域のハザードマップが提供され,災害危険箇所や避難場所などの特定の場所を訪れるとポイントが獲得できる.熊本県甲佐町の小中学生とその保護者を対象とした実証実験やアンケート調査の結果,本アプリを通して,児童生徒たちが地域の防災について主体的かつ体験的に学ぶ力を育むことができることが示唆された.また,防災教育における位置情報ゲームアプリの導入における課題と機会についても議論した.

  • 井出 光起, 森本 章倫
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 293-299
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    LRTは従来の路面電車を高度化させた公共交通システムであり、定時性や速達性、環境性能に優れていると言われている。現時点では、国内に全線新設でのLRTが導入された事例はなく、今年度に宇都宮へ初めて導入される。本研究では、ダイクストラ法を用いてLRTの導入前後の交通ネットワーク分析を行い、最小所要時間の算出を行った。これにより、公共交通での移動にかかる時間短縮効果を推計した。また、バスとLRTの遅延の程度を仮定し比較することで、LRTという交通機関を導入する効果を推定した。

  • 湊本 早紀, 﨑山 晧平, 佐々木 希望, 飯塚 隆寛, 佐久間 康富, 深堀 清隆
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 300-305
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    モンゴル国ウランバートル市では、人口と自動車交通量が増加しており、都市一極集中により歩行環境の悪化や交通量が増加し、日常的な交通渋滞が発生している。2022年9月ウランバートル市Tokyo Streetを対象に、筆者ら日本人学生とモンゴル科学技術大学の学生で、緑化とバリアフリーに関する提案を行った。「すべての人を受け入れるまち」とのコンセプトを掲げ、「誰もがひとりで歩くことができる」、「安全・安心」、「居心地のいい」を三本柱とした提案となった。成果発表会では、提案の実現可能性について疑義が提示され、提案の意義の共有には課題は残った。異なる出自の学生の共同作業によってひとつの将来像を描くことができたことは意義があった。

  • 先行して避難指示が解除された2町を対象として
    齊藤 充弘
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 306-311
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,原発事故からの復興期に着目して,避難や帰還,移住などが進む中での人口変化の実態を明らかにすることを目的とする。事故発生後の全町避難から先行して避難指示が解除されて復旧・復興事業が進む広野町と楢葉町を対象として,人口構造や小地域に着目してデータベースを構築して事故発生前からの変化を分析した。その結果,事故発生前の総人口に回復しつつあるものの,性別や年齢5歳階級別にみると特徴があり,また就業者の産業構造も事故発生前と異なり,さらに小地域でみると既成市街地よりも農村集落や森林部として位置づけられる新たな地域で人口が増加していることがわかった。原発事故からの復興過程においては都市計画上のさまざまな課題があり,個別課題を解決するために事業ごとの関係性を構築した都市計画の実行が求められる。

  • 全国自治体へのアンケート調査より
    竹内 萌恵, 福島 渓太, 衣笠 匠斗, 小山 桜馨, 中村 圭汰, 成澤 拓実, 山田 拓実, 菊池 宏幸, 井上 茂, 樋野 公宏
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 312-316
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、健康増進を目指すまちづくりへの関心が高まっている。本研究では、日本の都市計画における健康増進への取り組みの実態の解明に寄与することを目的に、全国の基礎自治体を対象に、都市計画に関連する諸計画での健康・身体活動への言及、施設整備状況をアンケートし、社会・経済指標とともに分析した。その結果、人口規模や高齢化率と計画内での健康への言及、計画内での健康への言及と身体活動促進に寄与する施設整備に正の相関があること、鉄道駅徒歩圏内の人口割合と身体活動に関する数値目標の設定、鉄道の分担率と徒歩圏を考慮したサービス施設の配置に負の相関があることが明らかとなった。以上の結果より、健康に対する課題意識が施設整備に結び付いている可能性や、身体活動促進に不利な都市構造が取り組みの有無に正の影響を与えている可能性が示唆された。

  • 南池袋公園と天王寺公園の比較を通して
    竹中 彩, 水信 夏穂, 溝口 萌, 山﨑 正代, 泉山 塁威
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 317-324
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、設置管理許可制度の導入による都心部の都市公園整備がもたらす周辺地域の変化を明らかにすることを目的とする。加えて、今後の都市公園整備を実施する自治体及び民間事業者に向けて周辺地域の変化を考慮したパークマネジメントの留意点を示す。 設置管理許可制度の導入前後における、南池袋公園及び天王寺公園の周辺地域の建物用途、路線価、都市公園と店舗の関係を分析し、インタビュー調査を行うことで、都市公園の空間整備が周辺地域の変化と関連していることが明らかになった。今後は、都市公園と周辺地域の関係をより詳細に明らかにするため、都市公園沿道の店舗以外や都市公園整備前から店舗を構える既存店舗など、周辺店舗の調査を拡大することが望まれる。

  • Asphalt artの事例から
    中川 晴賀, 薬袋 奈美子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 325-331
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、近年欧米で事例が増加している路面アートの道路デバイス的利用に関して着目し、これらを数多く手掛けるBloomberg PhilanthropiesのAsphalt artを対象に、路面アートのデザインや設置方法を整理し、安全性に関する効果が立証されたプロジェクトの分析から路面アートの道路デバイスとしての可能性を検証した。結果、多くの事例が交通静穏化や道路の安全性の向上、地域の活性化を目的として設置されることや、地域のアイデンティティを活かした多様なデザインが施されている等、設置目的やデザインに関する知見を深めることができた。また、安全性の効果が立証されたプロジェクトの分析から、誘目性の高いデザインであっても事故発生数を減少させており、デザインの誘目性の高さが必ずしもリスクの見落としへつながるとは言えないことが確認された。

  • 吉廣 玲志, 澤木 昌典, 紀伊 雅敦, 松本 邦彦
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 332-339
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、周辺の地域組織との連携が、津波避難ビルに指定された集合住宅での避難者受け入れ体制構築に与える影響を明らかにすることを目的とした。該当する集合住宅の管理組織へのアンケート調査の分析結果から、地域組織と津波避難ビル指定の集合住宅の管理組織が連携し、情報共有手段の確保や津波の危険性を周知することが、集合住宅の津波発生時における積極的な対応行動に特に大きな影響を与えていることが明らかになった。

  • 一級河川109水系121河川を対象として
    荻野 恵太, 志摩 憲寿
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 340-347
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年の水害の激甚化・頻発化を踏まえて、国土交通省によって令和3年、一級河川109水系121河川を対象に「流域治水プロジェクト」が策定・公表された。流域治水プロジェクトはハード対策からソフト対策までを扱う総合的な治水であり、かつ単一市町村に留まらない複数の自治体による広域的な治水である。中でも土地利用対策に着目すると、広域的な行政単位である都道府県の役割の重要性は高く、近年では都道府県が先導する萌芽的な取り組みがみられ、経験の共有が求められる。本研究では、流域治水プロジェクトにおける諸対策の特性を概観した上で、土地利用対策の手法と各主体の役割を分析したのち、流域治水プロジェクトと連携する都道府県の取り組みに着目し、流域治水プロジェクトにおける土地利用対策の展開可能性を考察する。

  • 近江八幡市の住居系地区計画を事例として
    森河 京子, 轟 慎一
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 348-355
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    地方都市郊外では防災・防犯・交通安全や環境活動など、地域住民が安心して暮らすための様々な取り組みが、自治会等の地域活動によって維持されており、近接する新規住宅地もこれらを受益している。近江八幡市の市街化調整区域ではそれら地域課題の改善等を目途として、既存集落型をはじめ住居系地区計画が活用されてきた。本研究では、近江八幡市郊外における新規住宅地の展開や自治会活動の実態を調査し、それらの関係性や課題を分析した。自治会活動の実施状況やその必要性を把握するとともに、新規住宅地の開発時期や規模による自治会参加状況の差異、新規住宅地に伴う自治会の変容等を捉え、既存住民と新規住民が地域コミュニティに及ぼす影響を考察した。

  • 福井県・まちづくり小浜(おばま観光局)を対象として
    中田 諒, 谷川 陸, 山口 敬太, 川﨑 雅史
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 356-359
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,古民家再生事業を核とした自主財源開発を先駆的に実施している株式会社まちづくり小浜(おばま観光局)を対象に,資金や人材確保における課題解決プロセスを明らかにした.おばま観光局は行政の出資率を削減することを視野に設立され,市の資金や補助金を活用して道の駅の物販・飲食事業による経営基盤を固めた.また,その自主財源を用いて新たに古民家再生事業を開始・拡大し,市の出資率を徐々に下げ,自立した運営体制を構築していた.

  • 神戸市におけるケーススタディ
    山本 真規子, 越山 健治
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 360-363
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、費用便益分析を通じて水災害被災前の居住移転誘導事業の評価を検証すること及び、地域特性と純便益の関係を明らかにすることの2点である。水災害被災前の居住移転の事例はほぼ無い。地域特性が事業効果に与える影響を検証することは、この居住移転誘導事業の発展に寄与するだろう。居住移転誘導事業は移転補助事業と嵩上げ事業の2つの柱を持つ。結果は、洪水浸水想定区域内の地価と住宅量が事業の効果に影響を与える可能性があることを示している。高地価の地域を移転元又は移転先とする本事業は実現不可能であり、妥当性が無い。移転補助事業による純便益が負の地域は、嵩上げ事業による純便益が高い地域と組み合わせる必要がある。

  • 徳井 夢有人, 山口 敬太, 谷川 陸, 川崎 雅史
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 364-367
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,近世初期を景観年代とする風俗画に描かれた通り,境内,水辺における人々の活動に関する分析を通して,近世京都の都市空間と人の活動の関係性を明らかにした.近世京都では,通り,寺社,水辺などの都市空間において,地域ごとに特色のある多様な活動が盛んに行われていたことが明らかになった.特に道空間は,運搬・運送だけでなく,行商や見世物などの交流・滞留の場として利用されていたことが明らかとなった.水辺や寺社などの名所では,特有の文化が周辺の活動や商品等に現れていたことが明らかになった.

  • 茨城県桜川市の事例
    関本 崇志
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 368-375
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    茨城県桜川市では、調整区域地区計画と自主条例「桜川市土地利用基本条例」を組み合わせた独自の土地利用計画制度及び土地利用調整手法を社会実装している。本稿では、筆者が実際に携わった茨城県桜川市における独自の土地利用計画制度及び土地利用調整手法の政策形成過程の概要について報告する。

  • 茨城県桜川市の事例
    関本 崇志
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 376-383
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    茨城県桜川市では、調整区域地区計画と自主条例「桜川市土地利用基本条例」を組み合わせた独自の土地利用計画制度及び土地利用調整手法を社会実装している。本稿では、筆者が実際に携わった茨城県桜川市における独自の土地利用計画制度及び土地利用調整手法の制度設計の概要について報告する。

  • 虎ノ門ヒルズ周辺における年間調査
    高橋 和敬, 高野 盛信, 塩澤 敬祐, 上杉 哲郎, 竹内 智子
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 384-391
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、まちに「居心地のよさ」が改めて求められるようになり、都市において心身の安らぎが得られる場としての身近な公園や緑地の重要性が改めて認識されています。本稿は、株式会社日比谷アメニスと千葉大学との共同研究の一環として、オフィス街における小規模オープンスペースにおいて人々の利用特性を把握し、今後のオフィス街のオープンスペース整備・管理に関する基礎的な知見を得ることを目的として実施した2022年7月~2023年6月の調査結果の速報である。

  • 関係者へのヒアリング調査と類型化を通して
    篠岡 果, 金 度源, 大窪 健之
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 392-339
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本稿では、ユネスコエコパーク選定地を対象として、その枠組みにおける地域区分において、まちづくり・観光・資源に対する認識の差異を調査することにより、各ゾーニングにおける現状を把握し、観光活動の方針策定による活性化に寄与することを目的とした。 結果として、地域区分に基づく差異によって自然資源は各地域とも共通して存在するが、生活環境の違いがあることにより、資源保全に対する重要度が変動することが確認された。また、観光活動・まちづくり活動に対し、その成果・課題を評価する共通の尺度や、目標とする項目を何らかの形で示す必要があることが示唆された。

  • 太田 航平, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2023 年 22 巻 2 号 p. 400-405
    発行日: 2023/09/07
    公開日: 2023/09/07
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、2018年に創設された、低未利用地の集約等による利用促進と公共空間創出に向けた「低未利用土地権利設定等促進計画制度」と「立地誘導促進施設協定」の2制度に着目した。2023年8月時点で両制度の活用事例は、前者が0件、後者が青森県むつ市での2事例のみである。本研究は両制度の自治体ニーズとの適合性、及び低未利用地の利用促進や公共空間創出という観点での制度活用の課題や障壁を明らかにすることを目的とした。2022年7月時点で立地適正化計画に両制度に関する記述のある112自治体中、89自治体へのアンケート調査、制度活用の意向の高い11自治体へのヒアリング調査、協定締結事例を有するむつ市並びに協定締結者へのヒアリング調査を行った。その結果、前者は、地権者等との合意形成等が、後者は、地権者から協定締結の申出がないことが課題として最も多く挙げられた。以上から、前者は地権者等との合意形成に向けた支援、後者は土地所有者による公共空間創出を動機付ける市街地の魅力向上に資する自治体の取り組み、並びに民間組織との連携体制構築の必要性が明らかとなった。

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