2013 年 12 巻 2 号 p. 78-81
近年、各地で短時間の集中的な豪雨による河川の氾濫によって、人的・物的被害にも多大な被害を受けている。このような災害に対応するためには、住民各自が早期に安全な場所に自主的に避難することが被害の軽減につながるとされているが、各地域の地理的・社会的条件さらには過去の経験を踏まえた個人の意思決定や避難行動は多様である。本研究では和歌山県田辺市本宮地区での平成23年12号台風を事例に実施した聞き取り調査をもとに考察する。その結果、人々は、避難の意思決定を過去の経験知と独自の判断基準を基に行い避難行動を取っていたこと、場所によっては浸水のために何度も避難場所を移動していたことが分かった。