都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
知覚の利用調整による都市での自然の享受
可視の立入不可空間をめぐる考察
水上 象吾
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2016 年 14 巻 4 号 p. 306-311

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抄録

本論は、立ち入り不可の雨水専用調整池を都市において自然が確保された事例として取り上げ、自然を享受する方法として、知覚の利用調整に着目した。雨水調整池の配置、立地、空間形態や囲障構造の特徴を調べ、内部の自然を都市住民が眺望できる空間として機能することを示した。また、調整池の周辺に居住する住民に対する意識調査を行い、調整池に関する印象や認識を把握し知覚する感覚別に整理した。その結果、周辺住民は視環境だけでなく音環境や温熱環境等も知覚しており、内部の自然要素が調整池の印象を良くしていることが示された。自然と人間活動とは干渉するため、触れ合いを制限し眺めを確保する等の知覚の利用調整という考え方が、都市という人工的な環境において自然を享受できる可能性が示唆された。

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