2016 年 14 巻 4 号 p. 317-321
全国の地域で、観光振興による地域活性化の取り組みが行われる中、広域連携による観光地域づくりが注目されている。本稿は、観光圏整備法に基づく観光地域づくりに着目し、佐世保・小値賀観光圏の事例を通して、広域連携の意義と課題について考察することを目的とした。佐世保・小値賀観光圏では、観光圏制度の枠組みのもとで連携体制が構築され、観光圏のパンフレットの作成・配布による情報発信力の強化などの成果が見られた。また、交流地区における自発的な組織づくりや、「海」に関わる自然環境・景観保全の認識も見られた。一方で、様々な事業者との連携、自治体の壁を超えた連携の深化は今後の課題であり、中核都市と離島という特性の違いが連携を難しくしている面も明らかになった。