2016 年 15 巻 1 号 p. 18-24
アメリカの住宅地安定化プログラム(NSP)は、住宅地に悪影響をもたらす抵当融資差押えの急増に対応するために実施された。NSPは、放棄住宅・危険住宅の除却、住宅を修繕して取得希望者に譲渡を行うとともに、住宅地のポジティブな将来イメージの醸成をねらった。主な特徴は、1)既存プログラムの一部として実施し、2)NSP1は全州に財源を配分し、NSP2・3は選択的に配分あい、3) NSP2・3はリスク点により対象地区を選定し、4)NSP2はプロポーザル方式で州・郡・市だけではなく、NPOにも財源を配分し、5)対象使途ごとに国家目標を設定したことである。NSPは一定の成果をもたらしたが、税差押え物件の多い州では、住宅地安定化のため、別途、巨額の財源が必要である。