本研究は産業の衰退に伴い多くの空き家・空き地を抱える米国の衰退工業都市のゾーニングの改訂に着目する。人口が激減したNew York州Buffalo市で市が進めたゾーニングの全面改訂を事例に、空き地を多く抱える住宅地の取り扱いを分析した。当初、市は空き地が多い住宅地に対して新たに設定した「都市暫定用途」を適用し、都市農業等の暫定利用を促進し、無秩序な新規開発を抑制する方針を打ち出した。しかし、対象地区の住民の反対によって、同用途の設定は最終案では見送られた。一方で、空き地が多い住宅地の一部で、集合住宅を許容する一般住宅用途から戸建住宅用途へのゾーニング変更を実施し、密度や新規開発の方向性を制限し、人口減少により余剰となった住宅地の土地利用の緩やかな誘導を目指している。