2021 年 19 巻 4 号 p. 346-349
東京都における中小ビル街区は、建物の老朽化が課題となっており、今後、老朽化したオフィスビルの更新が見込まれる。行政は、都市開発諸制度を用いた規制緩和やインセンティブによる公共貢献を推進している。ところで、都市開発諸制度を用いた公開空地の供給が都市の快適性といった公共貢献に寄与する手法として用いられてきた。しかし、中小ビル街区は、小規模な公開空地の供給が懸念される。そのため、公共貢献を柔軟に評価する新たな制度の検討が必要とされている。本研究の目的は、市街地整備と連動した地区単位での公共貢献展開のあり方を明らかにすることである。その結果、東京では、提案制度と事業スキームの活用により、地区単位での公共貢献施策の事業性向上が可能であることが明らかとなった。