2024 年 22 巻 4 号 p. 609-615
本研究では重要伝統的建造物群保存地区を対象に、住民の防災対策行動へ至る過程とそれにかかわる要因を調査した。本研究により、重要伝統的建造物群保存地区の住民が防災対策を実践する過程が明らかになった。また、当該地区では、地域によって住民の住宅改修工事の目的が異なることが明らかになった。それを踏まえたうえで、目的に応じて支援を変える必要性を考察した。また、住宅の防火対策に対する住民の関心が意思決定に直接関係していないことが明らかになった。住民が防災対策を講じる過程には2つのパターンが存在する可能性を考察した。地域差や住民一人ひとりの防災レベルを理解した上での行政支援が必要であると結論づける。