2024 年 22 巻 4 号 p. 629-634
本報告は、地方分権下の都市計画において、都道府県は何ができるのか。市町村に対しどのような支援ができるのか。千葉県の取り組みを事例として、都道府県の役割について検証する。 これまでの都市計画は、人口の増加、産業の拡大を前提としたが、今後の人口減少を受け、大きな転換期を迎えている。そして、生活圏・経済圏の拡大により、市町村の区域を越えた広域的な都市計画が必要となっている。千葉県は、現在の都市計画区域の区域を越えた県全域を対象とし、広域的な視点から本県の将来の都市づくりの⽅向性を⽰した都市づくりビジョン」を策定した。このビジョンに基づき、都市計画の見直し基本方針を策定した。都市計画区域マスタープランを広域都市計画マスタープランへの転換することとした。 広域都市計画マスタープランは、都市計画区域外も含め6つの広域都市圏を設定した。都道府県の役割は、県全域における都市計画・まちづくりの指針となるビジョンを策定すること。そして、広域マスタープランにより、広域的に必要な道路や施設の決定や一体的な整備、そして土地利用や開発のルールを調整し、示していくことが重要な役割である。加えて、都道府県と市町村が連携・協力して都市計画を行っていくための仕組みづくり、マネージメントが、今後の都道府県の担うべき役目でもある。