2024 年 22 巻 4 号 p. 760-764
2050年の脱炭素実現に向け、建築物由来の温室効果ガス削減が求められている。特に、東京都心部は、老朽化した小規模ビルの集積がみられ、エネルギー利用効率向上のための建替えや省エネ改修が求められている。しかし、建替え・改修は、多額の費用負担が課題となるため、適切な更新時期の選択やインセンティブ付与による事業性向上が求められている。本研究は、中小ビル街区全体の脱炭素達成に寄与する環境施策導入と、それに対するインセンティブ付与・事業スキーム構築のあり方を明らかにすることを目的とする。研究の結果、環境貢献に対する容積インセンティブを活用した協力金・補助金スキームの構築により、新築・既存建物の双方において事業性を確保した環境施策導入が可能となることが明らかとなった。