2004 年 3 巻 2 号 p. 63-70
考察の柱は次の3つで,それぞれ方法を述べる。第1は,道路を対象とすることから,子どもの交通事故の実態を統計データから詳細に把握し,日常的な係わり空間とすることの場所可能性をみる。あわせて国の道路交通安全政策についても経時的に概観し課題を探る。第2は,地域が実施する「係わり活動」について,京都市上京区中立学区をケースに,活動リーダーへの聞き取り調査によって把握し,活動が果たしている役割や抱えている課題を吟味し,通学路沿道のひとびとにおける日常的援助の必要性や通学路空間のあり方に示唆を得る。第3は,係わりの場面を,子どもに精神的・時間的ゆとりが生じていて,定時性も加わり取り組みやすい下校時に求め,子どもの行動を詳細に把握する。その場合,通学路であるから歩行交通の安全学習・体験の場であるという視点を第1にもって考察する。その上で第1と第2の成果を踏まえ,沿道居住者の日常的係わりの方向を検討する。