2006 年 4 巻 3 号 p. 51-56
本研究は欧米や環太平洋の諸国を事例として,海外の市街地における建築物の現況データ整備に関する制度を比較することにより,建築物の現況データがいかなる主体によってどのような目的で整備され,どういった内容・形式で収集されているかを明らかにするものである。調査対象はアメリカ合衆国,オーストラリア,韓国,中国,ドイツ,フランス,スウェーデンの7カ国である。第1章において本研究の意義・位置づけなどについて論じた後,第2章において調査の実施方法と事例都市の特徴を概説する。第3章では各国の現況データの実態をまとめ,第4章において調査結果を比較検討し,主要国の特徴ならびに現況データ利用に関する課題を考察する。さらに結論において日本での現況データのあり方も考慮しながら,本研究の知見をまとめる。