2025 年 40 巻 1 号 p. 38-46
本稿では、歩行車を使用した歩行における骨盤への理学療法士による介助の力学的影響を分析し、介助による外部からの力および外部からの骨盤モーメントが歩行動作に及ぼす影響を、シミュレーションにより検証した。はじめに健常成人4名を対象とし、右下肢への荷重を体重の70%に制約し歩行車にて歩行させ、理学療法士が提供する介助力とトルクを測定した。その結果、遊脚相を支援する介助パターンを特定することができた。次に、シミュレーションソフトウェアを用いて作成した人体モデルにおいて、遊脚期を再現し、理学療法士の介助から得られた介助パターンを入力することで、遊脚相における骨盤への介助による外部からの力および外部からの骨盤モーメントが下肢運動に及ぼす影響を明らかにした。これらの知見は、歩行ロボット支援デバイス開発の一助となりうる。