2025 年 42 巻 1 号 p. 68-73
人工呼吸器清拭時において、殺菌機構の異なる消毒薬2種類の殺菌および静菌効果を細菌学的に比較検討した。消毒薬はシーエルファイン®(次亜塩素酸水)とセイフキープ(次亜塩素酸ナトリウム)を対象とし、人工呼吸器NKV-330(日本光電工業社)の表面で検証した。表面付着菌の測定はコンタクトプレート法とし、①消毒前、②消毒直後、③消毒から24時間後の人工呼吸器表面(画面、ガス吸入ポート、取手)のコロニー数(colony forming units:CFU)を各々10回測定した。消毒前後のコロニー総数の変化量(中央値と四分位範囲〈Inter-Quartile Range:IQR〉)は、シーエルファイン®-25.5(IQR[-31.5~(-11.3)])、セイフキープ-20.5(IQR[-30~(-10.3)])であり統計学的有意差を認めなかった。消毒から24時間後のコロニー総数の変化量は、シーエルファイン®1.5(IQR[0~2])、セイフキープ3(IQR[2~4])で、シーエルファイン®のコロニー数の変化量はセイフキープと比べて有意に低値を示した(p<0.05)。次亜塩素酸水は殺菌と静菌の二面的消毒効果に優れていることが示唆された。