抄録
FMNのクロノポテンシオメトリー的挙動を検討する目的で,主として10-4~10-4mol/lの濃度範囲での遷移時間(τ),電流密度(i0)及び濃度(C*)の三者の関係を調べた。その結果上記濃度範囲及び10-4~10-3A/cm2の電流密度においては,i0・τが一定の値を示し,事実上i0τ/nFは電流を通じる前の電極電位(Est)におけるFMNの吸着密度に相当することが明かとなった。*Cの大なる場合或いはi0の小なる場合母液中からの拡散の影響が大きくなるが,10-4mol/lFMNの場合,
i0τ1/2=nF*Г/τ1/2+nF*Cπ1/2D1/2/2
なる関係に適合し,それより求められた*は8.4×10-11mol/cm2であった。i0C=一定の場合について上記の結果に基いてΓ*を求め,Γ*とC*の関係を検討した結果Freundlich型或いはTemkin型のisothermに適合することが示された。また,10-8~10-7mol/lの低濃度では*Γ と*Cは直線的関係になった. またFMN及びLeuco-FMNの吸着密度は酸性では後者が前者の約2倍,アルカリ性では両者ほぼ等しいことが認められ,ポーラログラフィーにおける従来の説明を裏づけた。