理学療法学
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片麻痺患者の車いす駆動能力に影響する因子
―シート高・奥行きについて―
植松 光俊山田 美佳江口 英範
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1994 年 21 巻 4 号 p. 256-263

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抄録

片麻痺者の車いす自力駆動のための最適シート高・奥行きを知る目的で,患者10名と健常者12名を対象に種々のシート高と奥行きの車いすにて10mの平地直進駆動とスラローム駆動を施行し,その所要時間,駆動ピッチ数,足部駆動パターン,殿部ズレの有無を評価した。結果は,1. シート高が低い程,患者群の直進および,健常群の直進,スラローム速度は速くなった。患者群ではシート高が高い程,つま先駆動での下肢ピッチ数が増え,殿部ズレが多く生じた。2. 奥行きが浅いほど健常群の速度は速くなり,患者群では(大腿長-10cm)までは速くなりさらに浅くなると遅くなった。下肢ピッチ数も減少し混合駆動型も多くなった。この関係はシート高(下腿長+6cm)で顕著であった。
片麻痺者の自力駆動のための車いすはケースによりシート高と奥行きの組み合わせを考えた処方の必要性が示唆された。

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© 1994 公益社団法人 日本理学療法士協会
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