理学療法学
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研究論文(原著)
  • 熊谷 雄基, 丸岡 弘, 善田 督史, 木戸 聡史
    2022 年 49 巻 3 号 p. 195-203
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    【目的】異なる強度の運動が肺気腫マウスの骨格筋機能に及ぼす影響を検証することを目的とした。【方法】10週齢の野生型雄性マウス20匹を使用した。肺気腫群15匹とControl群5匹に分け,肺気腫群はタバコ煙溶液の気管内投与により肺気腫を誘発するモデルを作製した。肺気腫群をさらにトレッドミルで低強度,中強度の運動を行う群,非運動群に5匹ずつ分けモデルの作製と同時期に4週間の運動介入を行った。各群の運動耐容能を漸増負荷試験により,腓腹筋の筋線維タイプ割合をAdenosine Triphosphatase染色とSuccinate Dehydrogenase染色により評価した。【結果】Control群,非運動群と比べ中強度運動群で運動耐容能が有意に上昇した。筋線維タイプ割合は,Control群と比べ中強度運動群でtype II A線維割合が有意に減少した。【結論】中強度の運動は,肺気腫マウスにおいて骨格筋のtype II A線維割合を減少させ,有酸素系酵素とは関係なく運動耐容能を改善させる可能性がある。

  • 八木 拓磨, 井上 達朗, 小川 真人, 岡村 正嗣, 島田 雄輔, 平郡 康則, 岡田 梨沙, 岩田 脩聡
    2022 年 49 巻 3 号 p. 204-211
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    【目的】回復期リハビリテーション(以下,回リハ)病棟に入棟した患者のサルコペニアが実績指数に与える影響を明らかにすること。【方法】2019年5月~2020年6月に単一の回リハ病棟に入棟した65歳以上の連続症例128例。主要アウトカムは日常生活動作能力の改善度を示す実績指数とした。サルコペニアと実績指数の関連について重回帰分析を実施した。【結果】対象者(平均年齢81.5歳)のうちサルコペニアの有病率は76.6%であり,サルコペニア群の実績指数は非サルコペニア群と比較して有意に低値を示した(サルコペニア群:42.2 vs.非サルコペニア群:52.2, p=0.039)。重回帰分析の結果,サルコペニアは独立して実績指数と関連していた(β=−20.91, p=0.003)。また,Skeletal Muscle Mass Index(β=−18.82, p=0.008)が独立して実績指数と関連していた。【結論】回リハ病棟入棟患者のサルコペニアは実績指数の独立した予測因子であった。

  • 小林 達矢, 竹中 裕人, 立松 典篤, 井上 倫恵, 白井 祐也, 野口 泰司, 野嶌 一平, 杉浦 英志
    2022 年 49 巻 3 号 p. 212-219
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    【目的】ロコモ度1と判定された地域在住高齢者の身体機能評価の特徴を明らかにし,ロコモ度1以上に対する身体機能評価のカットオフ値を探索すること。【方法】2019年に名古屋大学近郊自治体で行われた健診事業に参加した65歳以上の高齢者182名を解析対象とした。対象者を非ロコモ群,ロコモ度1群に分け,2群間で身体機能評価との関連性を分析し,有意な関連がみられた因子についてロコモ度1以上に対するカットオフ値を検討した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,開眼片脚立位時間がロコモ度1と有意な関連を示した(p<0.01)。ロコモ度1以上に対する開眼片脚立位時間のカットオフ値として17.0秒が示唆された。(AUC=0.66, 感度:42%,特異度:88%)。【結論】ロコモ度1と最も関連する身体機能評価は開眼片脚立位時間であることが示唆された。ロコモ度1以上に対するカットオフ値として開眼片脚立位時間17.0秒が示唆された。

  • 澤島 佑規, 矢部 広樹, 足立 浩孝, 田中 善大
    2022 年 49 巻 3 号 p. 220-226
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    【目的】目的は重度の下肢運動障害をきたした被殻出血患者の運動機能の改善に関わる予測因子を明らかにすることである。【方法】対象は回復期リハビリテーション病棟(回復期病棟)入棟時に脳卒中機能評価法(Stroke Impairment Assessment Set:以下,SIAS)の下肢運動合計点数が3点以下の被殻出血患者42例とした。調査項目は年齢,性別,発症から回復期病棟入退棟までの日数,脳損傷側,回復期病棟入棟時のSIASの下肢運動合計・腱反射・筋緊張・触覚・位置覚・腹筋力・体幹垂直性・視空間認知点数,機能的自立度評価法(Functional Independence Measure)の運動・認知合計点数,発症数日後の皮質脊髄路走行領域の損傷度,血腫量,脳室穿破の有無とした。【結果】改善度を従属変数,改善度と有意な相関を認めた項目を独立変数とした重回帰分析を行った結果,年齢が若く,皮質脊髄路走行領域の損傷度が低く,SIAS体幹垂直性点数が高いほど改善度が大きかった。【結論】予測には年齢,皮質脊髄路走行領域の損傷度,重症例特有の予測因子と考える座位能力を用いることが重要である。

症例報告
  • 宮本 清隆, 楠本 泰士, 山際 陽子, 小野 知子, 川田 恵祐
    2022 年 49 巻 3 号 p. 227-233
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    【目的】14歳の重症心身障害児(以下,重症児)1症例に対し,6か月間の集中的な電動車いす操作練習を実施し,運動機能および認知機能に向上がみられたので報告する。【症例と経過】症例は14歳の重症児の女性,座位保持不可・言語理解不可で,日常生活において意図的に移動する様子はみられなかった。電動車いすを特別支援学校と外来理学療法で6か月間練習し,その前後1か月間を含めた8か月間に電動車いす操作,上肢操作,座位バランス,認知機能の評価を行った。【結果】電動車いす操作は,実施回数,走行時間が増加した。上肢操作や座位バランスに向上がみられ,認知機能にもわずかな向上が確認された。また,自宅では,物品に向かって寝返り移動する活動が観察されるようになった。【結論】青年期の重症児に対し,集中的な電動車いす練習がさまざまな認知機能などを改善させる可能性があることが示唆された。

  • 野々垣 政志, 阪井 裕一, 大林 茂, 山本 満
    2022 年 49 巻 3 号 p. 234-240
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/20
    ジャーナル フリー

    【目的】髄芽腫摘出後に重度の運動麻痺,平衡機能障害,精神症状を呈した小児に対して理学療法を行い,運動機能の改善を認めたので報告する。【症例】5歳男児,小脳虫部の髄芽腫に対して摘出術が施行された。【経過】理学療法は,術後7日目に開始した。当初,発語はなく,四肢にわずかな自動運動を認めたが,従命は困難であった。術後6か月目,会話が可能となり,四肢の従命も可能となったが,座位保持は平衡機能障害により最大介助を要した。術前にはなかった癇癪,強い不安,固執性がより顕著となり,介入に難渋した。術後16か月目に退院となり,室内移動は膝屈伸を伴う長座でのいざりにて自立し,院内移動はSRCウォーカーにて自立した。【結論】髄芽腫摘出後,重度の運動麻痺,平衡機能障害,精神症状を呈した小児に理学療法を行い,術後16か月目には室内移動は膝屈伸を伴う長座でのいざりにて自立し,院内移動はSRCウォーカーにて自立した。

  • 阿部 広和, 岡田 洋一, 花町 芽生, 平良 勝章, 栗原 淳
    2022 年 49 巻 3 号 p. 241-246
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/05/26
    ジャーナル フリー

    【目的】近年,感覚運動経験を重視する発達理論に基づいたアプローチへの変化が求められているが,本邦では定義がまだ明確ではない。今回,ダウン症候群を併存した脳性麻痺痙直型両側性麻痺GMFCSレベルIVの男児に対して選択的脊髄後根切断術(以下,SDR)後に感覚運動経験アプローチを行ったことで,両親の目標設定項目と粗大運動能力の改善を認めたため報告する。【症例と経過】6歳2ヶ月時にSDRを行い,その後,子どもにとって意味のある課題(遊び)で,探索に焦点を当てた能動的な問題解決,試行錯誤学習をサポートする,感覚運動経験アプローチを行った。術前の2点間では変化は見られなかったが,術後2~6ヶ月で目標設定項目と粗大運動能力で改善がみられた。また,遊び方にも変化がみられた。【結論】SDR後の感覚運動経験アプローチが,両親の目標と粗大運動能力の改善につながったと考える。

  • 中村 兼張, 渕上 健, 荷宮 敏弘
    2022 年 49 巻 3 号 p. 247-252
    発行日: 2022/06/20
    公開日: 2022/06/20
    [早期公開] 公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー

    【目的】高齢の両側大腿切断患者は増加傾向にあるにも関わらず,症例報告は少ないのが現状である。本症例は義足歩行が困難であると予測し,義足なしでのセルフケアの獲得や自宅退院を目的に理学療法を実施した。【対象】80歳代前半,女性,両側大腿切断(断端長右1 cm,左10 cm)【方法】動作練習や筋力強化練習に重点を置き,1日2時間・週7回の頻度で理学療法を実施した。【結果】退院時には座位が自立,移乗動作が修正自立となり第217病日(入院60日目)で自宅退院できた。【結論】治療計画や予後予測に難渋したが,早期からの積極的な座位保持や臀部引きずり動作などの移乗動作練習は効果的であり,短断端であっても積極的な理学療法により動作獲得が可能であった。

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