2001 年 28 巻 4 号 p. 181-186
本研究では健常成人10名を対象として,端坐位での膝関節伸展運動テストにおける反対側(以下,固定側)膝関節屈曲固定が,テスト側膝関節伸展ピークトルク値に与える影響及び運動中の固定側大腿二頭筋の活動について検討した。KIN/COM上端坐位にて,固定側膝関節角度0°,45°,90°及び固定なしの4条件のもとで,(テスト側の)膝関節伸展ピークトルク値と固定側膝関節屈曲力及び大腿二頭筋の筋活動を測定した。その結果,固定側膝関節屈曲固定角度3条件及び固定なし間において,テスト側膝関節伸展ピークトルク値に差はなかった。固定側膝関節屈曲力は固定角度が増すに従い減少する傾向を示した。それに対して固定側大腿二頭筋の筋活動量は膝関節屈曲固定角度が増すに従い増加する傾向にあり,固定なしが最も低かった。固定側膝関節を屈曲位固定することで大腿二頭筋の筋活動及び膝関節屈曲力が変化すると考えられた。その結果として,骨盤後傾位固定に作用する力が変化し,測定肢(側)の膝関節伸展ピークトルク値に影響を及ぼすとの仮説をたてたが,結果はこの仮説に一致しなかった。固定側膝関節屈曲角度が小さいほど,大腿二頭筋の活動が少なく効率がよい固定が得られると考えられたが,骨盤後傾位固定への関与については明確にされなかった。