2002 年 29 巻 7 号 p. 250-254
本研究では足底部位別での感覚情報の増加が立位姿勢調節に与える影響に着目し,足底部位別での機械受容感覚情報の役割を検討することを目的とした。対象は健常女子学生14名とした。被験者の足に合わせた4種類の足底刺激板(刺激なし,前足部中内側部,前足部外側部,後足部)上で静止立位足圧中心動揺を測定し,続いてクロステストによる足圧中心移動範囲を測定し分析した。クロステストにおける後方向移動範囲において,後足部刺激が刺激なしと前足部中内側刺激に比し有意に移動範囲の増大を認めた。今回の研究から足底部位別の役割として,視覚情報が低下した状況下では後足部の機械受容感覚情報増加は,後方向への足圧中心移動範囲を増大させるのに重要な情報を提供する機能を有していることが推測された。