2003 年 30 巻 5 号 p. 314-318
慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD)急性増悪患者の人工呼吸器装着中の呼吸理学療法においては一定したプロトコルは確立していない。今回重症COPD急性増悪後の人工呼吸器からのウィーニングに難渋した1症例のウィーニングおよび呼吸理学療法において,吸気筋トレーニングは施行せずにon-off法を施行し,早期より離床,移動動作獲得を目的とした下肢筋力増強・歩行トレーニングを施行した。その結果,吸気筋力はウィーニングが可能になるまで改善し,下肢筋力は連続歩行距離150mまでの自立歩行が可能になるまで改善した。よって今回の症例からは,on-off法自体が吸気筋トレーニングの役割を果たし,早期より下肢筋力増強トレーニング,アンビューバッグ等の換気補助を利用しての歩行トレーニングを実施することで,良好な帰結が得られたと考えられた。