2004 年 31 巻 7 号 p. 404-411
本研究では,アジュバント関節炎ラットの後肢に42℃の高温刺激と10℃の低温刺激を負荷し,関節炎の病態におよぼす影響とヒラメ筋の廃用性筋萎縮の進行抑制効果を検討した。7週齢のLewis系雌ラット31匹を生理食塩水を投与する非関節炎群15匹と起炎剤を投与する関節炎群16匹に分け,各々の群を通常飼育群,高温刺激群,低温刺激群に分けた。そして,高温,低温刺激は起炎剤投与1週後から2週間,1日1時間,週5回負荷した。高温刺激ではタイプI・II線維とも廃用性筋萎縮の進行抑制効果を認めたが,低温刺激ではタイプI線維のみでしか効果を認めず,このことから廃用性筋萎縮の進行抑制に対しては低温刺激より高温刺激が効果的であることが示唆された。しかし,関節炎の病態に対しては高温刺激により悪影響があり,これらのことを総合的に判断するとアジュバント関節炎に対しては低温刺激が安全かつ有効な方法と思われる。