理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
短報
人工股関節全置換術後の健康関連QOLの変化
伊藤 沙夜香中村 真弓林 久恵渡井 陽子廣瀬 和義
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 33 巻 1 号 p. 38-40

詳細
抄録

人工股関節置換術(THA)後は,術後に疼痛が改善し歩行能力が向上する一方で,退院後の活動量の制限や脱臼に対する不安などが出現するといった報告がされている。今回,我々はTHA後の生活状況を患者自身から得るためSF-36を用いて健康関連QOL(HRQOL)の評価を行い,術後のHRQOLの変化や股関節機能とHRQOLの関連について検討した。対象は片側にTHAを施行した患者29名であり,術前,術後3ヶ月,術後6ヶ月における股関節機能評価,10m歩行所要時間,HRQOLを評価した。術後3ヶ月では股関節機能や歩行能力の改善に伴い,HRQOLの痛みや身体機能の項目が改善した。日常生活,社会生活に対する身体的,精神的制限を示す項目は術後6ヶ月で改善がみられた。一方,健康感や精神心理面を表す項目ではTHA後に変化が認められなかった。また,THA後に改善がみられたが国民標準値に達していない項目もあり,今後も継続した評価を行い,6ヶ月以降のHRQOLの推移やHRQOLに影響を与える要因など検討していく必要がある。

著者関連情報
© 2006 公益社団法人 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top