理学療法学
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研究論文
サイドステップ動作に関する身体運動学的研究
藤澤 宏幸武田 涼子渡邉 裕美吉澤 智貴窪田 ひと美高桑 有加佐々木 歩川村 江里
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2009 年 36 巻 2 号 p. 49-57

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抄録

【目的】本研究の目的は,サイドステップ動作においてステップ長を変化させたときの重心軌道,関節運動,床反力,筋活動を解析し,サイドステップ長毎に重心軌道を形成する関節運動と力源の関連性を明らかにすることである。【方法】対象は健常青年男子9名(年齢20.3 ± 1.0歳)とした。サイドステップ長は棘果長の25%,50%,75%,100%,125%の5条件とし,測定項目は骨指標の3次元座標,床反力,および筋電図とした。また,測定データから重心軌道,関節運動,筋活動,および体重心と圧中心の距離から重心の推進力および制動力の指標となるモーメント・アームを求めた。【結果】条件25%と50%以上とでは重心移動のための運動戦略が異なり,条件50%以上では推進力を得るために後方脚の膝関節伸展運動と足関節底屈運動が必要となった。また,側方への推進力として作用するモーメント・アームはステップ長の増加とともに大きくなった。さらに,中殿筋および大殿筋は動作をとおして高い活動がみられた。【結論】サイドステップ長を増加させるためには,重力のモーメントに加えて下肢の伸展運動による推進力が重要であった。さらに,ステップ長の増加にともなうモーメント・アームの増加は姿勢の不安定性を強めるため,大きくサイドステップするにはより高いバランス能力が必要であると考えられた。

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© 2009 公益社団法人 日本理学療法士協会
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