理学療法学
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実践報告
地域在住虚弱高齢者の身体活動セルフ・エフィカシー向上のための取り組み
石毛 里美柴 喜崇上出 直人大塚 美保隅田 祥子
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2010 年 37 巻 6 号 p. 417-423

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抄録

【目的】介護予防事業において,自己効力感(self-efficacy: SE)を向上させる4つの情報源に対応した取り組みを行い参加者のSEの変化を観察した。【方法】1回90分,週1回,3ヵ月間行われた介護予防事業の運動教室に参加した虚弱高齢者9名(男1名,女8名,平均年齢72.6 ± 6.4歳)に対し,4つの情報源である遂行行動の達成,代理的体験,言語的説得,生理的・情緒的状態に着目した取り組みを行い,3ヵ月間の前後において虚弱高齢者の身体活動SE,老研式活動能力指標(以下TMIG-IC),WHO-5精神的健康状態表(以下WHO-5),身体機能を聴取,測定した。【結果】虚弱高齢者の身体活動SE合計点は有意に向上し,下位項目の歩行SEにおいて大きな効果量が得られた。またTMIG-IC,WHO-5,8項目中6項目の身体機能に有意な改善,大きな効果量が得られた。また身体活動SEと歩行時間に有意な相関がみられた。【結論】介護予防事業におけるSEに着目した取り組みを紹介した。今後は統制群を設定するなどさらに検証が必要である。

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© 2010 公益社団法人 日本理学療法士協会
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