理学療法学
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症例研究
褥瘡部を陰極とした微弱直流電流刺激療法による創の縮小効果
吉川 義之杉元 雅晴前重 伯壮植村 弥希子高尾 篤松田 一浩寺師 浩人
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2013 年 40 巻 3 号 p. 200-206

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抄録

【目的】本研究の目的は,褥瘡部を陰極とした低強度の微弱直流電流刺激(以下,LIDC)療法が褥瘡治癒期間の短縮に効果があるかを検討することである。【対象】対象は褥瘡を有する高齢者7名とした。褥瘡部位は仙骨部褥瘡2例,胸椎部褥瘡2例,腸骨部褥瘡1例,大転子部褥瘡1例,外果部褥瘡1例であり,すべての褥瘡で治癒が停滞していた。褥瘡創面評価DESIGN-Rは13〜19点であった。【方法】創面上のドレッシング材に陰極の塩化銀電極を挿入し,褥瘡周囲の健常皮膚に陽極を貼付した。刺激強度80μA,周波数2Hz,パルス幅250ms,治療時間40分として週5回実施した。治療時,LIDC療法後に両極間のシャント作業を行った。【結果】LIDC療法を実施することで創が縮小しはじめ,5〜10週で完治した。【結語】LIDC療法により停滞していた褥瘡に創の縮小が認められ,早期に治癒した。それゆえに,褥瘡部を陰極とした低強度のLIDC療法は褥瘡治癒期間の短縮に効果があることが示唆された。

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© 2013 公益社団法人 日本理学療法士協会
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