2014 年 41 巻 1 号 p. 7-12
【目的】風に吹かれた変形(Windswept Deformity:以下,WD)は成長に伴い進行し,股関節脱臼の合併も多い。WDにおける股関節脱臼の有無が理学療法介入効果に与える影響について検討した。【対象と方法】対象はWDを呈する17名(男性7名,女性10名,平均年齢24.75歳,大島分類I,GMFCS V)とした。介入は側臥位練習を30分とROM練習を左右の股関節に対し各5分ずつ行った。頻度は週1回,期間は半年とし,その後観察期間を3ヵ月設けた。介入前と後,観察期間後にGoldsmith index(以下,GI)と股関節ROMを計測し,股関節脱臼群と対照群に分けて介入効果を検討した。【結果】GIでは,脱臼群,対照群とも介入後に有意に減少したが,観察期間後は脱臼群では差がなくなった。ROMでは,介入後に脱臼群の風上側伸展と外転が,対照群でも風上側外転が有意に増加したが,どちらも観察期間後には差がなくなった。【結論】脱臼の有無にかかわらずWDの改善を期待できるが,脱臼群では理学療法介入を継続的に行う必要がある。同時に,股関節脱臼の予防的介入の重要性を示唆している。