2017 年 45 巻 1 号 p. 32-37
【目的】今回,視床下核出血によって生じたヘミバリズムに対し,経頭蓋直流電気刺激(以下,tDCS)を実施したので報告する。【症例】症例は81 歳男性で,左視床下核出血を発症して右上下肢にヘミバリズムが出現した。【方法】tDCS は,左運動野に陰極,右運動野に陽極を設置し,2.0 mA で20 分間の刺激を2 週間実施した。ヘミバリズムの評価は,初回と2 週間後のtDCS 直前および直後に実施し,三軸加速度計を四肢に設置して右上肢挙上運動,左上肢挙上運動,座位保持の3 課題中の加速度を計測した。【結果】初回のtDCS 実施直後に課題中の加速度が低下し,課題終了後に持続する不随意運動が早期に収束した。また,2 週間継続して実施した後のヘミバリズムは,初期と比較しどの課題でも軽減する傾向にあった。【結論】tDCS は,視床下核出血に伴って生じるヘミバリズムを軽減させる可能性が示唆された。