論文ID: 11364
【目的】日本人の乳がん術後患者に対する肩関節の運動開始遅延プログラムが,リンパ浮腫の発症率に与える影響を検証すること。【方法】対象は早期乳がんと診断され,腋窩リンパ節郭清を含む乳がん手術を施行された女性114 名である。術後翌日から上肢挙上練習を開始した早期介入群57 名と,術後7 日間は上肢の挙上を制限した遅延介入群で,リンパ浮腫の発症率および肩関節可動域を比較した。【結果】術後1 年間で患側と健側上肢の容積差が200 ml 以上となり,リンパ浮腫と判定された者は早期介入群3 名(5.3%),遅延介入群5 名(8.8%)であり,両群の間に有意差は認められなかった。退院時の肩関節可動域制限は,遅延介入群のほうが大きかった(p<0.01)。【結論】日本人の乳がん術後患者への肩関節の運動開始遅延プログラムは,リンパ浮腫発症率の低減に寄与しないことが示唆された。