論文ID: 11461
【目的】片麻痺を呈した2 症例に対し,下肢装具を用いて倒立振子モデルの形成をめざした歩行練習を施行し,歩行能力と歩容の改善を認めたため報告する。【対象と方法】麻痺側下肢の支持性が低下し歩行が全介助であった重度片麻痺例に対し,足部に可動性を有す長下肢装具(以下,KAFO)を用いて前型歩行練習を施行した。また,無装具で独歩可能だが歩容異常を呈した生活期片麻痺例に対し,あえて下肢装具を用いて歩行練習を実施した。【結果】重度片麻痺例は下肢の支持性が向上し,倒立振子を形成した歩容での歩行を獲得した。生活期片麻痺例においても歩行能力と歩容が改善した。【結論】重度片麻痺例に対するKAFO を用いた前型歩行練習は,下肢の支持性を向上させ,より高い歩行能力を獲得することに貢献できる可能性がある。また,無装具でも歩行可能な片麻痺例の歩行能力や歩容の改善においても下肢装具を用いて倒立振子を再現する歩行練習を応用できる可能性があると思われた。