論文ID: 11567
【目的】人工心肺非使用冠動脈バイパス術(以下,OPCAB)後の中等度貧血が身体機能低下に及ぼす影響を検討する。【方法】2013 ~2017 年の間に待機的かつ無輸血にてOPCAB を施行した135 例(男性83%,年齢70 ± 7 歳)を,術後3 病日目までヘモグロビン値10 g/dl 未満であった術後貧血群,10 g/dl 以上であった術後非貧血群に分類した。術前Short physical performance battery(以下,SPPB)得点に比べて退院時SPPB 得点が低下した場合を身体機能低下と定義し,危険因子を調査した。【結果】術後貧血群は,身体機能低下割合が有意に高値であり(32 vs. 14%,p = 0.017),術後貧血は身体機能低下の独立した危険因子であった(OR: 2.80, 95%CI 1.18–6.65, p = 0.020)。【結論】OPCAB 後に中等度貧血を呈する患者では,身体機能低下のリスクが高い。