論文ID: 11782
【目的】熟達理学療法士(以下,PT)の経験学習プロセスから成長を促す経験と学習内容を明らかにし,そこからPT に対する経験学習支援方法を示唆すること。【方法】対象は熟達PT3 名であった。方法は質的研究の手法と松尾の経験学習プロセス解明の枠組みを用いた。【結果】熟達PT はキャリアの初期に「障がいを有した患者の社会参加に向けた実践経験」から〈人とのかかわりや社会・生活に対する実感〉を,初期~中期に「予期できぬ否定的な経験」から〈医療の厳しさ〉等や「重度患者を基本的理学療法で改善した経験」から〈基本的理学療法技術の有効性〉等を,中期~後期に「実習生や新人に対するサポート経験」から〈自己内省による知識・技術の整理〉等や「多職種連携による介入経験」から〈コミュニケーション〉等を学習していた。【結論】熟達PT の成功を促す経験に焦点化し経験を積ませることは,PT の経験学習支援につながると考えられる。