論文ID: 12269
【目的】脳卒中片麻痺患者1例に対し,ウェルウォークのアシスト機能を用いた高速度歩行練習がトレッドミル練習と比較し歩行速度の改善に有効か検証した。【対象および方法】対象は視床出血により右片麻痺を呈した50歳代女性である。AB型シングルケースデザインを用いて,A期はトレッドミル,B期はウェルウォークを用いた歩行練習を各8日間実施した。評価項目は快適および最大歩行速度とした。解析は各期の回帰係数を比較するとともに,標準偏差帯法によりA期の平均値+2 Standard-deviation(SD)に対するB期の上位数を二項分布で検定した。【結果】快適,最大歩行速度いずれもB期の回帰係数が大きく,二項分布の結果,B期で有意な改善を認めた(p<0.05)。練習中のトレッドミル速度はB期において高値であった。【結論】脳卒中片麻痺患者に対するウェルウォークのアシスト機能を用いた歩行練習は,高速度な練習環境の提供を可能にし,歩行速度の向上に有効な可能性が考えられる。