2025 年 22 巻 p. 237-259
本論文では、①木質バイオマスを燃料とするバイオマス発電が持続的にコスト競争力を有するために必要となる炭素価格(Carbon Price; CP)の設定額と技術改善/技術革新の関係、②CPが導入された場合の設定額とバイオマス発電が一定のコスト競争力を有するために必要となる技術改善策と条件を技術シナリオに基づいて定量的に明らかにした。現状では木質バイオマス発電がコスト競争力を有するためには世界で最も高い北欧並みの100USD/t-CO2以上のCPを設定する必要がある。同発電コストに最も大きな影響を与える燃料・バイオマス自体のコストが現状の3割まで低減し、次世代の発電技術の1つである化学ループ法を用いた場合には発生するCO2を利活用することでCPを導入することなく設定した発電コスト目標(27.3JPY/kWh。CO2分離・回収コストを含む)と同等のコスト競争力を有することを定量的に明らかにした。
This paper quantitatively clarifies based on technical scenarios: (1) the relationship between technological improvement/innovation and the carbon price (CP) required for woody biomass power generation to achieve sustainable cost competitiveness, and (2) the required technological improvements and conditions to achieve sustainably competitive biomass power generation where a CP has been adopted.
At present, a CP of at least USD100/t-CO2, which is the highest globally and at the level of the Nordic countries, is required to make woody biomass power generation cost-competitive. Yet were biomass fuel, which has the greatest impact on generation cost, to fall to 30% of the current price, and CO2 generated by chemical looping combustion, a next-generation power generation technology, utilized, biomass power generation could achieve the target cost 27.3JPY/kWh including CO2 capture cost and become cost-competitive without CP.
地球温暖化対策は、世界各国が協調して取り組むべき喫緊の課題であり、我が国においてもその対策が急務である。日本における温室効果ガスの総排出量は2018年度に12.4億トン(CO2換算)であり、1990年度比で2.8%の減少、2013年度比で12%に留まっている(国立環境研究所地球環境研究センター, 2020)。この現状は、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にて世界各国が合意し、2016年に発効したパリ協定における日本の公約「2030年度の新たな温室効果ガス削減目標として、2013年度から46%削減」(内閣官房他, 2021)の実現に向けて、あらゆる技術革新と政策を総動員することが不可欠である。とりわけパリ協定では温室効果ガス排出削減の主要な手段の1つとして森林・林業対策の推進による温室効果ガス吸収源対策の推進を掲げている(国立環境研究所地球環境研究センター, 2020)。温室効果ガスの排出量の削減にあたっては、バイオマス以外の再生可能エネルギーを効果的に組み合わせることが重要であるが、本研究では上記の背景を踏まえ、林地残材等の未利用の木質バイオマスを対象として評価を行った。
地球温暖化対策において重要な位置付けにある日本の森林面積は約25万km2で国土の70%近くを占めている(農林水産省, 2019)。木質バイオマスは従来の用材利用に加えて、2012年に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT;Feed-in Tariff)が施行されて以降、豊富かつ全国各地で利用可能なカーボンニュートラルのエネルギー資源として、その需要が急増している(農林水産省, 2012a, 2012b, 2019a, 2019b)。その一方で木質バイオマスの劣位性として、物理化学的な炭素固定法よりも炭素固定の時間軸が長いことや、エネルギーとして利用する場合に木質バイオマス発電(以下、「バイオマス発電」という)の発電コストは火力発電等の系統電力(政策経費を除く)のそれと比較して、木質バイオマスが広範囲に分散分布することによる収集コスト等の発生や発電効率が劣ること等から、現状では約2~3倍(資源エネルギー庁, 2015)にもなり、FIT等の政策的支援なくして自立することは厳しい状況にある。
バイオマス発電の利用が自立的に拡大していくためには、そのコスト競争力を系統電力と同程度まで高めること(以下、「コスト競争力」)が必要不可欠である。そのためには、①既存のプロセス(バイオマス生産やエネルギー変換)において抜本的な技術改善(新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2014a, 2014b;新潟県, 2014)や革新的な技術の導入、②バイオマスの生産からエネルギー利用に至るまでのプロセスに付随する収益の確保、③温室効果ガス排出削減を推進するための排出権取引や税制・補助金をはじめとする政策手法(環境省中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会, 2018)による競争力の向上が必要である。
我が国における森林の賦存量(蓄積量)は約50億m3とされ(林野庁, 2019)、バイオマスの利活用が普及しているEU諸国のそれと比較(日本経済調査協議会, 2011)しても豊かであり、エネルギー利用を行う上でその潜在力は高い。その一方で林業を取り巻く経済環境は立木価格の低迷によって厳しい状況にあり、伐期を迎えた人工林がそのまま放置されている場合も多い。そのような背景から用材生産目的だけではなく、近年、需要が急増しているエネルギー利用との併用も想定した新しい林業のあり方を技術的及び政策的観点から検討・構築していく必要がある。
日本におけるエネルギー資源としての木質バイオマスは、2次利用に伴う製材工場残材や建築発生木材等と、森林に放置されている林地残材に大別することができる。前者のうち利用可能な木質バイオマスの大半は既にチップやペレット化され、エネルギー利用が普及している(バイオマス活用推進会議, 2012)。その一方で、後者の林地残材は、前者と比較してその賦存量は多いがその大半は利用されていない(バイオマス活用推進会議, 2012)。日本の再生可能エネルギーに占めるバイオマスの割合は2割程度(資源エネルギー庁, 2019)とされ、4割を超える国々が多い欧米各国のそれ(IEA, 2017;経済産業省, 2019)と比較して低い状況にある。その大きな理由として、木質バイオマスの①生産コストが高いこと(浅田ら, 2017;経済産業省, 2019)や、生産から伐出、燃料化、エネルギー利用に至るまでの効率的なエネルギー供給網の確立が不十分であること(経済産業省, 2019;梶山, 2018)、それらの結果、バイオマス発電の発電コスト高いこと等が挙げられる。
筆者らはこれまで木質バイオマスのエネルギー利用拡大に向けて、その生産コストや発電コスト低減に向けた技術的改善等に関する技術シナリオについて研究を進めてきた(海邉ら, 2014;浅田ら, 2017;海邉ら, 2018)。木質バイオマスのエネルギー利用をさらに拡大していくためには技術改善に加えて、温室効果ガス排出削減に向けた政策の推進がより効果を発揮するものであると認識した。
その政策手法の1つに炭素に価格を付け、排出者の行動を変容させるカーボンプライシングがある。日本では環境省等に審議会が設置され、その活用等について審議が進められている(環境省中央環境審議会地球環境部会カーボンプライシングの活用に関する小委員会, 2018)。また学術的にはこれまで、カーボンプライシング導入の方向性に関する検討(小嶋ら, 2018;小嶋・淺川, 2019; Bento et al., 2020)や費用対効果(武田, 2017;有村ら, 2018)、産業等への影響(亀山・有村, 2019)、気候変動とカーボンプライシングの関係性(OECD, 2013;CARBON PRICING LEADERSHIP COALITION, 2017)等の検討、さらに政策手法によって温暖化ガスを追加的に1単位削減するのに要する限界削減費用と温室効果ガス排出削減目標を達成するために必要となる炭素価格の関係性を明らかにし(小嶋・淺川, 2019;Toshi et al., 2021)、また炭素価格水準・政策実績評価の研究事例を分析している(小田・秋元, 2017)。しかしながらこれらの既往研究では、主に施策の枠組みにおける課題の抽出や、社会に対する経済的な波及効果・影響に関する検討が中心で、技術的観点からカーボンプライシングの効果や炭素価格との関係性を検討している事例は少数に限られている(Streimikiene, 2010)。
このような背景から本研究では、木質バイオマスがカーボンニュートラルなエネルギー資源であることを前提として、木質バイオマスの生産から発電に至るまでのバイオマス発電の諸条件を変化させた場合に、①抜本的な技術改善や革新的な技術導入として生産コスト低減(浅田ら, 2017)や次世代の発電技術の1つと目される化学ループ法(Chemical Looping Combustion;以下「CLC」;Jin & Ishida, 2004;Abad et al., 2013;Mendiara et al., 2018;Gogolev et al., 2019;Mei et al., 2021)の導入(海邉ら, 2018)と、②発電に至るまでの付随収益の確保として発電に伴い排出されるCO2の利活用の2つの観点も交えて以下の2点を明らかにすることを目的とする。
(1)木質バイオマスをエネルギーとして活用するために、バイオマス発電が持続的にコスト競争力を有するために必要となる炭素価格(Carbon Price;以下、「CP」という。)の設定額が、「技術改善/技術革新の進展」に応じてどのように変遷するか定量的に提示する。
(2)逆にCPの設定額に応じて、バイオマス発電が一定のコスト競争力を有するためには、どのような技術改善がどの程度必要であるかを提示する。
なお、本研究では日本を対象とし、インフラとして熱利用のための熱導管等が十分には発達していないことやFITにおいて熱利用が政策的支援の対象外となっているため、熱利用は評価の対象外とした。
本研究では、温室効果ガス排出量に応じた費用負担となる明示的なカーボンプライシングの導入を前提とし(図1)、バイオマス発電が設定した発電コスト目標である限界削減費用を達成するために必要となる費用・CPについて売り手(事業者)の立場から議論を行う。本研究におけるCPは、バイオマス発電が設定した発電コスト目標である限界削減費用を達成するために必要となる費用と定義する。図2を用いてCPを具体的に説明する(経済産業省, 2022;秋元, 2023)。現時点(図2(a))の限界削減費用(P0)における二酸化炭素排出削減量をT0とし、CPをα(USD/t-CO2)だけ導入するとその分、限界削減費用がP1まで上昇する。限界削減費用が上がることで技術改善がない場合でも二酸化炭素削減量が増加する場合もあるが、本論文では二酸化炭素の排出削減を加速的に促進する観点から技術改善を想定し、バイオマスの生産コスト低減をはじめ技術改善が進むと現在よりも二酸化炭素排出削減効果がある技術の普及が進み、二酸化炭素排出削減量はT1まで増加する。この時の二酸化炭素排出削減量を目標とする二酸化炭素排出削減量とする。続いて、将来(図2(b))、イノベーションによって既存技術よりも優れた新たな技術が開発されると、同じ二酸化炭素排出削減量T1でも限界削減費用はP2まで下がる。その結果、既存技術と比較した場合のCPはβ(USD/t-CO2)(α>β)まで減少する。またCPを現在と同じα(USD/t-CO2)で維持すると二酸化炭素排出削減量は目標のそれを上回るT2まで増加する。なお、バイオマス発電を対象とした温室効果ガス排出削減の限界費用については英国・気候変動委員会等において議論が行われている(Committee on Climate Change, 2008;日本木質バイオマスエネルギー協会, 2021年5月29日参照)。本研究と同様の考え方に基づく海外の取組み1つとしてスウェーデンの事例をあげることができる。同国では1991年に炭素税を導入した。同国の1993年~1997年の石炭価格の市場価格は4.4SEK/kWhに対し、森林燃料は10.2SEK/kWhで燃料自体は石炭価格の方が安い。しかし石炭には炭素税、硫黄税、エネルギー税が課されて16.8SEK/kWhとなり、森林燃料にはそれらの課税がないために森林燃料がコスト競争力を有することになる(日本木質バイオマスエネルギー協会, 2021年5月29日参照)。本研究におけるCPは、スウェーデンのCPの制度を日本国内に当てはめて議論を行ったもので、CPを導入することで化石燃料による発電コストが上がり、相対的にバイオマス発電がコスト競争力を持つことを表している。
(出所)有村(2017)及び日本エネルギー経済研究所(2017)を元に筆者作成。
(出所)筆者作成。
発電コストやCPは、筆者らが構築をした「発電コスト算出モデル(プロセスモデル)」(海邉ら, 2018)を用いて算出した。このモデルは発電種別毎にプロセスを確定した後、発電コストを詳細な積み上げ法により算出し、また出力規模や稼働率、燃料含水率等の諸条件の変更に広く対応できるように要素毎の関数化(プロセス設計)しており、実用化前の発電種別についても予測的に技術を評価することができる。本研究における発電コスト算出に関する概念図(海邉ら, 2018)を補遺1に、研究のコンセプトを図3に示す。さらに発電コスト及びCPに影響を及ぼす様々な要素(木質バイオマスの生産コスト、含水率、出力規模、蒸気条件等を含む発電効率、発電コスト目標)について感度解析を行った。その上で本研究では、特にCPへの影響が大きい発電様式、出力規模、木質バイオマスの生産コスト、発電コストの設定目標、CO2の分離・回収、貯蔵、利活用に関する諸条件の変更がCPに与える影響に焦点をあて、後述する7つの技術シナリオについてバイオマス発電がコスト競争力を有するためのCP及び、CPの設定額に応じてバイオマス発電が一定のコスト競争力を有するために必要となる対策について議論を行う。
(出所)筆者作成。
本研究では、日本において普及が進んでいるDC発電と、将来の木質バイオマスの主なエネルギー変換技術の1つと目され、CO2の分離・回収に新たな装置やエネルギーを必要としないCLCによる発電の2つの発電種別を対象として、現状及び技術改善/技術革新が進んだ場合において、バイオマス発電がコスト競争力を有するために必要となるCPの設定額及び、CPの設定額に応じて必要となるバイオマス発電の技術改善策とその程度について検討を行った。なお、DCの発電プロセスは 海邉ら(2018)の図3を、CLCのそれは同文献図A2のとおりである。CLCはDC発電の進化した発電様式であると言える。還元炉と酸化炉の二塔式で酸素キャリア(鉄粒子等)が2つの炉間を循環しながら酸化還元反応を繰り返す(Jin & Ishida, 2004)。木質バイオマス等の燃料は還元炉に投入された後、炭化水素ガスからなる燃焼性ガスとチャーになる。チャーは還元炉でガス化剤である水蒸気によってガス化され、これらのガスは酸素キャリア粒子によって酸化されCO2と水になる。還元された粒子は酸化炉に移動して導入される空気によって酸化され、この酸化反応によって発生する熱エネルギーで水を蒸気に変換し、蒸気タービンで発電する。CLCは現在、100kW規模の実証段階(Abad et al., 2013;Mendiara et al., 2018;Gogolev et al., 2019; Mei et al., 2021)で類似の2塔式ガス化炉も本格実証段階にあり、既存の循環型流動層と同程度(数万kW)の出力規模(川崎重工,2024年4月30日参照)で実用化に一定の目途が見通されつつある技術である。本研究では技術改善として発電コスト低減に最も影響が大きいバイオマスの生産コスト低減を、技術革新はCLCの導入を指すものとする。
2.1 CPの算出方法筆者らはこれまで木質バイオマスの生産・燃料製造・エネルギー利用を統合的な評価対象とし、各プロセス(生産、チップ化、発電)を作業工程/機器構成/操作条件等の要素毎(伐採方法、破砕方法、蒸気条件等)に階層化し、更に各要素をデータベース化・モデル化して技術開発・改善の方向性予測とそれらが最終的な数値(発電コスト)に及ぼす影響を評価できるプロセスモデルを構築してきた(海邉ら, 2018)。諸条件に基づく発電コストは当該モデルに基づき、初期費用として機器コスト、建設コストをそれぞれ合算して償却年数で除した値を、運転費用として燃料コスト、一般管理費、保険コスト、人件費、メンテナンスコストをプロセス毎に積み上げて式(1)に従って算出した。発電コスト及びCPの算出方法詳細を補遺2に示す。なお、本研究ではバイオマス発電に直接的に関わる機器やエネルギー等を対象とし、発電所内の電力自己消費量は所内率として発電コストに反映する一方で、車両運搬具等は評価の対象外とした。
(1) |
ここで、PGC: Power Generation Cost, EQ: Equipment Cost, FC: Fuel Cost, FCM: Feedstock consumption, EG: Electricity generation, GAC: General Administrative Cost, IC: Insurance Cost, LC: Labor Cost, MC: Maintenance Cost, PCC: Plant Construction Cost, CRC: CO2 related costを表し、EQ, GAC, IC, LC, MC, PCC, CRCは(海邉ら, 2018)の表A2に基づいて算出した。FCの単位はJPY/t、FCMはt/year、EGはkWh/yearでそれ以外の各コストの単位はJPY/kWhである。なお、FCMの算出にあたっては出力規模に年間稼働時間を乗じて発電効率及び高位発熱量で除して算出し、本研究では含水率もパラメータとしているため、水の潜熱もコスト計算に反映するため高位発熱量を用いた。
またCO2の分離・回収、貯蔵及び利活用に関するコストは式(2)に従って算出した。
(2) |
ここで、CRC: CO2 related cost, CCC: CO2 capture/sequestration cost, CPC: CO2 pressurized cost, CTC: CO2 transportation cost, CUC: CO2 utilization costを表し、各costの単位はJPY/kWhである。なお、DC発電におけるCCCは4,200JPY/t-CO2(新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010)、CPCは2,300JPY/t-CO2(新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010)、CTC(20km想定)は800JPY/t-CO2(新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010)、CUCは2,000JPY/t-CO2((炭酸ガスの実取引や東京都における温室効果ガスの排出量取引のクレジット価格等(若林・木村, 2018)を考慮し、平均的な炭酸ガスの市場販売価格(約20,000JPY/t;経済産業省, 2016)の10分の1程度で売却)として算出をした。CUCは発電コストの原価低減に寄与する付随利益として差し引いた。Fuel Costは式(3)に従って算出した。
(3) |
ここで、FC: Fuel cost, BC: Biomass cost, BCR: Biomass cost reduction rate, TRC: Transportation costを表し、各costの単位はJPY/kWhである。
またCPを算出するにあたり、バイオマス発電がコスト競争力を有するための発電コスト目標として、火力発電の発電コストをはじめとして様々なコスト指標があるが、本研究では既報(海邉ら, 2018)と同様に経済的に成立している系統電力の家庭用電気料金(経済産業省, 2017)から送電コスト(東北電力, 2018)を減じて算出した家庭用電力の発電コスト(原価ベース)と同程度の25.0JPY/kWh にCO2分離・回収コスト2.3JPY/kWh((経済産業省, 2017)をもとに算出)を加えた27.3JPY/kWhを上限として、我が国における多様な発電種別のそれと実現可能性のある範囲で同程度となるように目標とする発電コストを27.3~22.3JPY/kWh(CO2分離・回収コストを含めた場合)に設定した(図4;(資源エネルギー庁, 2015)を改変して作成)。
(出所)A report on verification of power generation costs, etc. by Long-term Energy Supply and Demand Outlook Subcommittee, the Ministry of Economy, Trade and Industry, Japanを元に筆者作成。
前項に示したプロセスモデルを用いて、燃料条件、システム稼働率、発電条件、出力規模、CO2の分離・回収/貯蔵/利活用の有無に関し、それらの条件変更が発電コストに与える影響について感度解析を行い、2.1に記載した発電コスト目標と同程度以下になる条件を抽出した。またCPを補遺2にて発電コストを算出した後、式(4)に従って算出した。
(4) |
ここで、CP: Carbon Price (USD/t-CO2), PGC: Power generation cost, TC: Target cost of power generation, Enet: Net electricity generation, AC: Available CO2, ER: Exchange rate(2019年度年間平均為替1USD=109JPY)(三菱UFJリサーチ&コンサルティング, 2024年4月30日参照)を表す。なお、為替レートについてはCPに大きな影響を与える要素の1つであるが、本論文では技術的内容から議論を行うことを目的としているため、為替レートによる感度解析を行っていない。その一方で為替レートの影響を考慮し、2000年から2023年までの長期的な為替レートの平均値(109.20)を算出して、この平均値に最も近い2019年の数値を代表値としてCPの算出に用いた。
また利用可能CO2は(5)式に従って算出した。
(5) |
ここでAC: Available CO2 (t), FCM: Feedstock consumption, CEF: CO2 emissions per feedstock, CR: CO2 capture rateを表す。なお、CRは60%として算出した(Abad 2013)。
発電コストを構成する諸条件から実現可能性の高い技術改善によるバイオマス発電コスト低減効果と、バイオマス発電がコスト競争力を有するために必要となるCPの設定額について感度分析を行い、バイオマス発電の潜在的なコスト競争力を定量的に評価した。
なお、日本のCPに関して、世界銀行の報告書(WORLD BANK GROUP, 2019)では3USD/t-CO2程度のみがカウントされていが、石油・石炭税、揮発油税、軽油引取税等のエネルギー関係諸税が含まれておらず、それらを含めると北欧に次いで世界で高い水準にあるという議論もある(国際環境経済研究所, 2024年4月30日参照;有馬, 2017;日本エネルギー経済研究所, 2017)。本研究では、これらの議論を把握しつつ、CPの直接的な効果を評価するため、炭素排出量ではなくエネルギー消費量に対して課されている既存の暗示的なカーボンプライシングは本研究のCP算出にあたっては対象外とした。
2.3 技術シナリオCPによる発電コスト低減効果を、(1)発電種別(DC発電/CLC)及び(2)CO2の分離・回収/貯蔵/利活用(①現状:CO2の分離・回収なし/DC発電のみ、②分離・回収有、③分離・回収・貯蔵、④分離・回収・利活用)に基づき、表1に示す7つの技術シナリオについて検討した。
Scenario 1 | Scenario 2 | Scenario 3 | Scenario 4 | Scenario 5 | Scenario 6 | Scenario 7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
Power generation | DC | DC | DC | DC | CLC | CLC | CLC |
(a) CO2 capture | — | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ | ✓ |
(b) CO2 storage | — | — | ✓ | — | — | ✓ | — |
(c) CO2 utilization | — | — | — | ✓ | — | — | ✓ |
Remarks | Present situation | CCS (a) and (b) | CO2 utilization (a) and (c) | CCS (a) and (b) | CO2 utilization (a) and (c) | ||
Fig. No. | Fig. A2 | Fig. 5 | Fig. 6 | Fig. 8 | Fig. A2 | Fig. 7 | Fig. 9 |
(出所)筆者作成。
本研究ではカーボンプライシングが導入されている国々のCPの設定額(WORLD BANK GROUP, 2019)(表2)と比較をしつつ、CO2 1tあたり100USD以上のCPを「Super high CP」、50USD以上のCPを「High CP」、10USD以上50USD未満を「Medium CP」、10USD未満を「Low CP」を定義する。
Carbon price level | Country name | Carbon price (USD/t-CO2) |
---|---|---|
Super high CP (over USD100) |
Sweden | 127 |
High CP (USD50~100) |
Switzerland | 96 |
Finland | 69~70 | |
Norway | 59 | |
France | 50 | |
Medium CP (USD50~10) |
Denmark | 26 |
UK | 24 | |
Slovenia | 19 | |
Korea | 18 | |
Spain | 17 | |
Québec(Canada), California(USA) |
16 | |
Portugal | 14 | |
Low CP (Less than USD10) |
Argentina | 6 |
Colombia, Chile | 5 | |
Mexico | 3~1 | |
Poland, Ukraine | <1 |
(出所)WORLD BANK GROUP(2019)を元に筆者作成。
本研究では、DC発電(シナリオ1–4)とCLC(シナリオ5–7)を対象としてCO2の分離・回収、貯蔵、利活用の有無によってシナリオを分類した。その上で各シナリオについて、特にCPへの影響が大きい出力規模(500kW~10,000kW)、木質バイオマスの生産コスト、発電コストの設定目標に焦点をあてて感度解析を行い、バイオマス発電がコスト競争力を有するために必要となるCPを算出した。
(1) 現状現状のDC発電の発電コスト(CO2の分離・回収なし)をシナリオ1、CLCをシナリオ5とし、一例として5,000kWでは前者が32.8JPY/kWh、後者が37.0JPY/kWhである(補遺2;(海邉ら, 2018)図A2)。現状ではDC発電及びCLC(実証段階としての現状における想定)ともに発電コスト目標が27.3JPY/kWhの場合でもコスト競争力を有するためにはHigh CP以上の設定が必要である。その一方で発電コストに最も大きな影響を与える燃料・バイオマス自体のコストが技術改善等によって生産者が現在と同等の利益を確保しつつ現状の3割まで低減(浅田ら, 2017)した場合のCLCにおける出力規模とCPの関係(発電コスト目標27.3JPY/kWh)を表3に示す。発電コスト目標が22.3JPY/kWhの場合に3,000kW以下の出力規模ではHigh CPの設定が、それ以上の出力規模でもMedium CPの設定が必要であるが、発電コスト目標が27.3JPY/kWhの場合、CLCでは5,000kW以上の出力規模でCPを導入することなく、コスト競争力を有する可能性があることがわかった。
Power Generation Scale | kW | 500 | 1,000 | 2,000 | 3,000 | 5,000 | 7,000 | 10,000 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Power Generation Cost | JPY/kWh | 43.9 | 37.5 | 30.9 | 29.2 | 26.8 | 26.3 | 25.3 |
CO2 Sequestration and capture | JPY/kWh | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
Target cost | JPY/kWh | 27.3 | 27.3 | 27.3 | 27.3 | 27.3 | 27.3 | 27.3 |
Cost to reduce | JPY/kWh | 16.6 | 10.2 | 3.60 | 1.90 | −0.500 | −1.00 | −2.00 |
Captured CO2 (Available CO2) | 103t | 9.19 | 15.8 | 26.2 | 36.5 | 54.3 | 72.3 | 95.0 |
Carbon price | 103 JPY/t-CO2 | 6.10 | 4.36 | 1.88 | 1.03 | −0.331 | −0.658 | −1.43 |
Carbon price | USD/t-CO2 | 55.9 | 40.0 | 17.2 | 9.50 | −3.00 | −6.00 | −13.1 |
1 USD=109.05 (average of 2019)
(出所)筆者作成。
DC発電にてCO2の分離・回収(現実的ではないが、他との比較のために設定)をした場合(シナリオ2)の出力規模とCPの関係を図5に示す。分離・回収コストがそのまま発電コストに追加の負担となるため、コスト競争力を有するには発電コスト目標:22.3JPY/kWh~27.3JPY/kWhにおいて、ほぼすべての出力規模でSuper high CPの設定が必要となる。
(出所)筆者作成。
続いてCO2の分離・回収・貯蔵をした場合について、DC発電をシナリオ3、CLCをシナリオ6として、出力規模とCPの関係を図6及び図7に示す。DC発電については、分離・回収・貯蔵コストがそのまま発電コストに追加の負担となるため、コスト競争力を有するためには発電コスト目標:22.3JPY/kWh~27.3JPY/kWhにおいて、すべての出力規模でSuper high CPの設定が必要となる(図6(a))。また燃料・バイオマスのコストが現状の3割まで低減できたとしても少なくともhigh CPの設定が必要となる(図6(b))。
(出所)筆者作成。
(出所)筆者作成。
一方でCLCは、CO2の分離・回収に新たな装置やエネルギーを必要としないが、貯蔵するためのコストが発電コストに追加の負担となる。現状ではいずれの出力規模においてもSuper high CPの設定が必要であり(図7(a))、燃料・バイオマスのコストが現状の3割まで低減できたとしてもコスト競争力を有するためにはHigh CP(図7(b))という高い負担が必要である。
(4) CO2の分離・回収・利活用CO2を分離・回収し、それを平均的な炭酸ガスの市場販売価格(約20,000JPY/t)(経済産業省, 2016)の10分の1程度で売却して利活用することを想定した場合について、DC発電をシナリオ4、CLCをシナリオ7として、出力規模とCPの関係を図8及び図9に示す。
(出所)筆者作成。
(出所)筆者作成。
DC発電に関して、現状では少なくともhigh CPの設定が必要であるが(図8(a)、燃料・バイオマスのコストが現状の3割まで低減できるとMedium CPまでCPを低減することができる(図8(b))。その一方、CLCでは技術改善等を行わない現状において発電コスト目標を27.3JPY/kWhとすると5,000kW以上の出力規模においてはMedium CPまで負担が軽減する(図9(a))。さらに燃料・バイオマスのコストが現状の3割まで低減できるとコスト競争力を有するためには、発電コスト目標が22.3JPY/kWhの場合でも3,000kW以下でMedium CPに、それ以上の出力規模ではLow CPまで負担が低減される。また発電コスト目標が27.3JPY/kWhの場合には、出力規模2,000kW以上でCPを導入することなく、コスト競争力を有することが可能になることを定量的に明らかにした(図9(b))。
3.2 想定したCP毎の発電コスト達成に向けた技術改善と必要条件についてCPの設定額に応じて、バイオマス発電の場合において一定のコスト競争力を有するための技術改善を予め検討をする。CPの設定(CPが導入されない場合、Low CP, Medium CP, High CP, Super High CPの導入)に応じて、バイオマス発電がコスト競争力を有するために求められる技術改善策及び条件(抜粋)を表4に示し、以下に要点を記す。
CP | Scenario No. | Power generation type | Power generation target cost (JPY/kWh) | CO2 capture | CO2 storage | CO2 utilization | Biomass production cost reduction ratio*1 | Power generation scale (kW) | Remarks | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Non-price policies | 5 | CLC | 27.3 | ✓ | — | — | 0.3 | over 5000 | ||
0.4 | over 10000 | |||||||||
7 | CLC | 27.3 | ✓ | — | ✓ | 0.3 | over 2000 | (1) | ||
0.4 | over 3000 | |||||||||
0.5 | over 5000 | |||||||||
Low CP | 7 | CLC | 27.3 | ✓ | — | ✓ | 0.4 | over 2000 | (2-1) | In addition to (1) |
0.5 | over 3000 | |||||||||
0.6 | over 5000 | |||||||||
0.7 | over 7000 | |||||||||
22.3 | 0.3 | over 7000 | (2-2) | In addition to (1) & (2-1) | ||||||
Medium CP | 4 | DC | 27.3 | ✓ | — | ✓ | 0.3 | over 2000 | (3-1) | |
0.6 | over 5000 | |||||||||
CLC7 | CLC | 27.3 | ✓ | — | ✓ | less than 0.4 | over 500 | (3-2) | In addition to (1) & (2-1) | |
0.9 | over 2000 | |||||||||
1 | over 3000 | |||||||||
22.3 | less than 0.4 | over 1000 | (3-3) | In addition to (1), (2) & (3-2) | ||||||
0.8 | over 5000 | |||||||||
High CP | 1 | DC | 25.0*2 | — | — | — | 1 | over 500 | (4-1) | |
2 | 27.3 | ✓ | — | — | less than 0.5 | over 500 | (4-2) | |||
0.8 | over 5000 | |||||||||
2 | 22.3 | 0.5 | over 2000 | (4-3) | ||||||
0.3 | over 1000 | |||||||||
3 | 27.3 | ✓ | ✓ | — | 0.3 | over 3000 | (4-4) | |||
0.4 | over 5000 | |||||||||
4 | 27.3 | ✓ | — | ✓ | 0.7 | over 500 | (4-5) | |||
1 | over 2000 | |||||||||
22.3 | 0.4 | over 500 | (4-6) | |||||||
0.7 | over 2000 | |||||||||
5 | CLC | 27.3 | ✓ | — | — | 0.3 | over 1000 | (4-7) | ||
0.8 | over 5000 | |||||||||
22.3 | 0.3 | over 3000 | (4-8) | |||||||
6 | 27.3 | ✓ | ✓ | — | 0.3 | over 1000 | (4-9) | |||
0.8 | over 5000 | |||||||||
22.3 | 0.3 | over 3000 | (4-10) | |||||||
0.4 | over 5000 | |||||||||
7 | 27.3 | ✓ | — | ✓ | 1 | over 500 | (4-11) | In addition to (1), (2) & (3-2) | ||
22.3 | 1 | over 2000 | (4-12) | In addition to (1), (2), (3) & (4-11) | ||||||
0.9 | over 1000 | |||||||||
0.8 | over 500 |
*1 The present production cost is 1.
*2 Without CO2 capture and storage
(出所)筆者作成。
CPが導入されない場合でも複数の技術改善等を組み合わせることで、バイオマス発電がコスト競争力を有するために必要となる条件を定量的に明らかにした。具体的には、シナリオ7において①発電コスト目標を27.3JPY/kWhとし②次世代の発電技術の1つと目されるCLCを用いて、③CO2の分離・回収、利活用と④燃料・バイオマス自体のコストを現状の3割~5割程度(7割~5割のコスト削減)まで低減できる技術改善を実現することで、出力規模2,000~5,000kWのバイオマス発電においてコスト競争力を有する可能性がある。これらの条件では、CPを導入されると逆にそれに見合うCP分相当がバイオマス発電の収益改善となることが期待される。
(2) Low CPが導入された場合Low CPが導入されると(1)の条件が緩和され、発電コスト目標を22.3JPY/kWhとした場合でも燃料・バイオマス自体のコストを現状の3割程度(7割のコスト削減)まで低減できると、出力規模が5,000kW 以上においてコスト競争力を有する潜在力がある。
(3) Medium CPが導入された場合Medium CPが導入されるとバイオマス発電がコスト競争力を有するために必要となる技術的な負担が軽減される。その結果、CLCに加えて既に普及しているDC発電においもコスト競争力を有するための条件を抽出することができた。後者(DC発電)の条件として具体的には、シナリオ4において①発電コスト目標を27.3JPY/kWhとし、②CO2の分離・回収、利活用と③燃料・バイオマス自体のコストを現状の3割~6割程度(7割~4割のコスト削減)まで低減できるよう技術改善を実現することで、出力規模2,000~5,000kWのバイオマス発電においてコスト競争力を有する可能性があることがわかった。
(4) High CP/Super High CPが導入された場合High CPやSuper High CPが導入されると技術改善の負担が大幅に軽減され、バイオマス発電がコスト競争力を有するための条件範囲が広がる。その結果、本研究で設定した7つすべてのシナリオおいて、バイオマス発電がコスト競争力を有するための条件を抽出することができた。
本研究では、低炭素社会の実現に向けて、バイオマス発電を事例として技術的観点から、(1)バイオマス発電の「技術改善/技術革新の進展」とコスト競争力を有するために必要となるCP及び、(2)CPが導入された場合にその設定に応じて実施すべき技術改善と程度や条件を定量的に提示した。1点目はバイオマス発電コストに最も大きな影響を与える燃料・バイオマス自体のコスト低減に向けた技術改善に重点的に取り組む必要があること、2点目は発電に伴って排出されるCO2の分離・回収を低コストで行い、利活用することが重要であることが明らかになった。
現状から技術改善や技術革新がないままバイオマス発電にコスト競争力を持たせるためにCPを導入すると社会への経済的負担が大きくなる。その一方で木質バイオマスのコスト低減を中心とした技術改善や、次世代の発電技術の1つと目されるCLCを既存施設の更新時等にあわせて導入することによって、CPによる経済的負担を軽減することができる。これらの取組みによりCP導入のタイミングを見通しつつ、技術の進展に応じて経済的な社会負担を軽減しつつ、カーボンニュートラルとされる環境負荷の少ない木質バイオマスの更なる利用拡大が期待される。
本研究は、一部JST低炭素社会実現のための社会シナリオ研究事業「カーボンニュートラル移行の加速に向けた総合知に基づく社会シナリオ」(JPMJCN2301)の支援を受けたものです。関係各位に感謝いたします。
補遺1 本研究における発電コスト算出の概念図を図A1に示す。
(出所)筆者作成。
補遺2 発電コストの算出方法詳細を表A1に示す。
Abbreviation | Cost Component | Unit | Factor and Setting Conditions | Reference |
---|---|---|---|---|
AC | Available CO2 | t/year | AC=FCM·CEF·CR | |
AP | Auxiliary power ratio | kWh/kWh | AP=0.1505 exp(−1.841·10−5·PS) | (斎藤, 2000) |
BC | Biomass cost | JPY/t | 8,700 | (海邉ら, 2018) |
BCR | Biomass cost reduction rate | Range from 1 (the present) to 0.3 | (浅田ら, 2017) | |
BD | Biomass density | t/m2·year | 7.64 | (経済産業省, 2015) |
CEF | CO2 emissions per feedstock | kg/kg-fuel | 1.38 | |
CP | Carbon Pricing | USD/t-CO2 | CP=((PGC−TC)×Enet)/(AC×ER) | |
CR | CO2 capture rate | % | 60 | (A.Abad,et al.,2013) |
CRC | CO2 related cost | JPY/kWh | CRC=CCC+CPC+CTC−CUC | |
CCC | CO2 capture/sequestration cost | JPY/kWh | CCC=(4,200×AC)/EG | (新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010) |
CPC | CO2 pressurized cost | JPY/kWh | CPC=(2,300×AC)/EG | (新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010) |
CTC | CO2 transportation cost | JPY/kWh | CTC=(800×AC)/EG | (新エネルギー・産業技術総合開発機構, 2010) |
CUC | CO2 utilization cost | JPY/kWh | CUC=(2,000×AC)/EG | (経済産業省, 2016) |
EG | Electricity generation | kWh/year | EG=PS·OH | |
Enet | Net electricity generation | kWh/year | Enet=EG·(1−AP) | (海邉ら, 2018) |
ER | Exchange rate | JPY/USD | 109(2019 year average rate) | (三菱UFJリサーチ&コンサルティング) |
FC | Fuel cost | JPY/t | FC=BC·BCR+TRC | |
FCM | Feedstock consumption | t/year | FCM=PS·OH·3600/η/Hh/1000 | |
Hh | Higher heating value HHV of wet fuel | kJ/kg-fuel | Hh=(407/12c+240/2×(h−o/8)+296.1/32s−2.5×(1.13o+w)+2.5×(9h+w))·1000 c: 50.2, h: 6.2, s: 0.0, o: 43.5, w: weight per unit weight of fuel for carbon, hydrogen, sulfur, oxygen, and water, respectively (kg/kg-fuel) |
(越智ら, 2009) |
OH | Annual operating hours | Hours/year | Annual operating days·24 | |
PS | Plant scale (generating-end output) | kW | Range from 500 to 10,000 | |
PGC | Power generation cost | JPY/kWh | PGC=EQ+FC·FCM/EG+GAC+IC+LC+MC+PCC+CRC EQ: Equipment Cost, GAC: General Administrative Cost, IC: Insurance Cost, LC: Labor Cost, MC: Maintenance Cost, PCC: Plant Construction Cost |
(海邉ら, 2018) |
TC | Target cost of power generation | JPY/kWh | Range from 22.3 to 27.3 | (海邉ら, 2018) |
TRC | Transportation cost | JPY/t | TRC= a: Maximum collection distance (km), r: collection radius (km), rs: road straight ratio; 2 |
(経済産業省, 2015) |
TU | Transportation unit cost | JPY/t·km | 90 | (経済産業省, 2015) |
η | Power generation efficiency | — | η=(input energy of woody biomass—Sensible heat of exhaust gas—Heat loss from reactor—Heat loss from Rankine cycle)/input energy of woody biomass | (海邉ら, 2018) |
(出所)筆者作成。
補遺3 5,000kWにおけるDC発電及びCLCの発電コスト(CO2の分離回収なし)(シナリオ1及び5)を図A2に示す。
(出所)筆者作成。