イノベーション・マネジメント
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論文
  • 菊谷 正人
    原稿種別: 論文
    2020 年 17 巻 p. 1-19
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    平成21年に中小企業者の事業承継税制が租税特別措置法によって導入され、事業承継時に相続税または贈与税に対して租税優遇措置(事業用資産の相続または贈与に対する課税の繰延および課税価格の減額)が施されていた。制度創設以来、適用要件に関する規定が平成25年、平成27年、平成29年に部分的に修正されたが、10年間の利用件数は3,000件に満たない状況であり、十分に活用されていなかった。本制度の利用を促進するために、平成30年に租税特別措置法の規定が抜本的に改訂され、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの10年間の「特例措置」として、企業の自社株式に係る課税繰延措置に関する要件等が緩和されている。この改訂によって、事業承継税制の利用が増えるものと期待されている。本論稿では、平成29年まで利用されてきた「一般措置」と比較しながら、事業承継税制における主要な適用要件の展開が概観され、事業承継税制における課題が厳しく指摘される。

  • 坂上 学, 田口 聡志, 上枝 正幸, 廣瀬 喜貴
    原稿種別: 論文
    2020 年 17 巻 p. 21-37
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    本稿は、まず会計研究における実験研究の位置づけと、さまざまな領域における実験研究の現状を紹介した上で、どのように未来を切り開いていくべきかについて、「未来志向」「因果関係」「総力戦」といった視点からその方向性を探っている。続いて、新たな方法論的な試みとして注目を集めている事前登録制度やオンライン労働市場を利用することの意義について検討をおこない、それぞれが再現可能性を高め外的妥当性の問題を解決しうる可能性を秘めていることを示す。さらに、外的妥当性へのチャレンジとして研究プラットフォームとして期待のかかるAmazon Mechanical Turk、SurveyMonkey Audience、Qualtrics等を用いたオンライン実験の動向について、「コスト」「柔軟性」「関心のある集団へのアクセス可能性」といった視点から検討するとともに、近年増加傾向にあるリーダビリティ実験など最新の実験会計研究についても概観する。最後に、今後の研究プラットフォームとして注目されているoTreeなどを利用することにより、相互作用のあるオンライン実験の可能性についての展望を示す。

  • 高橋 宏明, 梅崎 修
    原稿種別: 論文
    2020 年 17 巻 p. 39-57
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    本稿では、コンサルタントのプロボノ経験を二つの活動システムの相互作用と捉え、その中で拡張的学習が生まれるかについて分析した。分析の結果、以下の3点が明らかになった。

    第一に、はじめに人事部へのインタビューから、コンサルタントの人事制度上のキャリアを把握した。コンサルタントは、管理能力や折衝能力が求められるマネージャーへの昇進のハードルが高い。キャリアの壁を乗り越えなければ、昇進が停滞するか、もしくは企業を去るかという選択を迫られる。この壁を乗り越えるための育成プログラムとしてプロボノ活動参加制度が機能している。

    第二に、コンサルティングとプロボノの活動システムの比較を行い、活動理論の構成諸要素(主体、対象、媒介する人工物、コミュニティ、ルール、分業)において異なる特徴を持つことを確認した。異なることが拡張的学習を生み出すと考えられる。

    第三に、活動システムの違いが生み出す四つの矛盾に直面したコンサルタントは、普段の本業を振り返りつつ、経験を概念化し、新しいモデルを提示しようとしていた。結果として、成長に結びつく行動や態度の変容を示していた。なお、少ない事例ながら拡張的学習の程度に関しては、個人差も確認された。その理由としてプロボノの実践の中で生み出されるトラブルに対して、疑問や批判ができることの重要性が示唆される。矛盾の認識が深ければ、拡張的学習の効果が大きいと推測される。

  • ―「いいね」とコメントの差異―
    竹内 淑恵
    原稿種別: 論文
    2020 年 17 巻 p. 59-88
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、特にFacebookの台頭によって、ブランドはこのデジタル空間で消費者と関わりを持つようになった。Facebookページは、従来のコミュニケーション・チャネルと統合できる追加的なものであり、マーケターにとって、Facebookページをどのように活用して消費者を引き込み、ブランドとの関係を強化することができるかは重要課題である。しかしながら、Facebookページにおける消費者エンゲージメント行動に関する学術的研究はあまり行われていない。そこで本研究では、1,094人のFacebookユーザーを対象としたアンケート調査を通じて、Facebookページ独自の特性(例えば、便益、信頼、コミットメント、相互作用、ブランド・ロイヤルティ)が消費者エンゲージメント行動に影響を与えるかどうか、また、どのように影響するのかを検討する。消費者エンゲージメント行動は、Facebookページに対する「いいね」意図、コメント意図、シェア意図で測定した。分析の結果、次の知見が得られた。

    「いいね」意図:快楽的便益、信頼、コミットメント、推奨、「いいね」経験がプラスの影響を及ぼしている。快楽的便益は「いいね」意図に対してのみ有意である。

    コメント意図:社会的便益、相互作用、コミットメント、推奨がプラスの効果を生んでいる。社会的便益はコメント意図に対してのみ有意(10%水準)である。「いいね」経験は有意ではなく、コメント経験がプラスに働いている。また、男性の方が女性より大きな影響を与えている。

    シェア意図:信頼、相互作用、コミットメント、推奨が有意な予測因子である。また、コメント経験もプラスの影響を与えている。

  • ―MSDO/MDSOからのアプローチ―
    豊田 裕貴, 木戸 茂
    原稿種別: 論文
    2020 年 17 巻 p. 89-100
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    本研究の目的は、QCA(質的比較分析)とMDSO-MSDOによる質的分析手法と、ソフトクラスタリングといった定量分析手法とを活用し、個々の顧客の差異を検討し、ブランドマネジメントに資する情報抽出方法を提案することにある。

    QCAは、ブール代数をもとにした集合論的方法である。本研究では、個々人のブランド評価構造の多様性と因果条件を明らかにする目的で応用する。もう一つのアプローチであるMDSOおよびMSDOとは、Most Different cases, Similar Outcome/Most Similar cases, Different Outcomeの頭文字からなる手法である。MDSOは「結果が類似しているグループ内で評価基準が最も異なるケース」を特定し、MSDOは「結果が異なるグループ間で評価基準が最も類似しているケースを特定する」ために用いられる。本研究では、対象となる顧客データの中から詳細に検討すべき対象を特定する目的に応用する。

    ただし、MDSO-MSDOアプローチでは、極端に変わった対象が抽出されてしまう可能性があり、特定された対象が深く検討すべき対象であるかという懸念が残る。この点に対しては、ソフトクラスタリングを用いて抽出された顧客と類似する個客がどれくらいいるかを確認することで対象の非特殊性を担保する手順についても提案する。

  • Masaatsu Doi
    原稿種別: Article
    2020 年 17 巻 p. 101-117
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    In recent years, corporate social innovations (CSI) through their businesses are required all over the world. CSI is deeply connected to corporate social responsibility (CSR). Previous studies have shown that CSR has emphasized the potential for innovation. Legitimacy has to be proven to stakeholders for resource mobilization to implement CSI. This study explores the CSI process and their legitimacies through two case studies in Japan. It also provides an insight into a new concept of “exclusiveness” in CSI, and into social entrepreneurs decision-making processes. This paper highlighted the following: first, social entrepreneurs emphasize moral or cognitive legitimacy in the promotion of CSI as well as paying attention to pragmatic legitimacy. Second, we can draw out four types of CSI legitimacies: social environmental factors, external human resource factors, internal cultural factors, and internal technical factors. And third, social entrepreneurs have their own unique reasons for these CSIs implementation, and therefore have to decrease their “exclusiveness” in CSI process.

査読付き投稿論文
  • ―地域産業政策立案手法の検討―
    永井 武
    原稿種別: 査読付き投稿論文
    2020 年 17 巻 p. 119-140
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    産業クラスターにおける知的財産の戦略的活用政策は、テック系ベンチャーなどの新産業創出、更には地域経済活性化においても重要である。本稿では、産業クラスターにおいて集積する企業の中でも、特に競争力を持つ付加価値型産業である研究開発型産業や各研究機関等(以下「R&D型産業」という)を主な研究ターゲットとしている。この産業クラスターにおいては、各地域に特徴的な知的財産(本稿では「特許」を対象とする)も集積している。この知的財産が集積しているということは、知的財産を生み出す発明者の知識も集積していることが想定される。

    更には、この知識の集積現象を捉え、且つそのメカニズムを活用することができるならば、地域経済活性化を実現していくための地域産業政策を導き出していくことが可能となる。

    そこで本稿では、前述してきた問題意識を持ち、産業クラスター地域として首都圏と地方を結ぶ3地域を対象に、特許情報を活用して地域系特許集積から形成される特許集積群(パテントクラスターと称する)を導出し、分析結果の現象を活用した地域産業政策立案手法について検討を行った。

査読付き研究ノート
  • ―革新的新薬創製の競争優位に寄与する新しい能力概念とその成因―
    奥山 亮, 辻本 将晴
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2020 年 17 巻 p. 141-156
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    創薬は典型的なサイエンス型研究開発であり、基礎研究が新薬創出に大きく貢献してきたことは繰り返し指摘されている。しかしながら、医科学の基礎研究は主に生体機能の解明を目指してなされており、創薬を一義的に狙ったものではない。このことは、基礎研究で明らかにされる多数の新規生体分子や生理的機序といった科学的知見の中から、実際に創薬に結びつく分子やメカニズムを正しく選別する能力(本稿では「創薬標的選定能力」と呼ぶ)が創薬研究者に極めて重要であることを意味する。しかしながら、この「創薬標的選定能力」の概念は、これまでの研究では殆ど考慮されてこなかった。本稿では、日本発の革新的創薬事例を取り上げ、その研究プロセスの詳細な分析より、基礎研究成果の中から適切な創薬標的となる分子やメカニズムを選択する研究者の「創薬標的選定能力」が、創薬研究の競争優位を生むことを述べる。また、「創薬標的選定能力」の醸成には、生体機能を解明する医科学基礎研究への理解に加え、疾患の発症機序や先行薬剤の作用機序に対する深い理解と洞察が必要なことを述べる。本研究がもたらす学術的、実務的意義についても論ずる。

  • ―株式会社サイトウ製作所を事例にして―
    藤坂 浩司
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2020 年 17 巻 p. 157-170
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/31
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    工業製品の設計・開発から製造に至る範囲でデジタル技術が広く利用されている。デジタル技術はその特性から企業経営や製造現場に様々な影響をもたらす。本稿はその特性のうち「技術の平準化」に着目し、中小製造業にどのような影響を及ぼすのかケーススタディから検証し、中小製造業のデジタル技術への対応戦略について考察する。

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