イノベーション・マネジメント
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査読付き研究ノート
  • 石谷 康人
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2019 年 16 巻 p. 103-120
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    本論文では、企業家によるアイデンティティ形成が新製品開発に結びつき、ひいては事業の競争優位に波及するプロセスとメカニズムを説明した。そのために、東京芝浦電気株式会社が1978年に発表し、翌年から販売を開始した世界初となる日本語ワードプロセッサJW-10の製品開発事例に着目した。テクノロジー・アントレプレナーの天野真家によるアイデンティティ形成が、かな漢字変換技術の開発とJW-10の製品開発に作用し、ワープロ事業の競争優位に波及した事例を取り上げた。そして、G. H.ミードの社会的自我論のアナロジーとして企業家的自我論を導出するとともに、それを理論枠組みとして用いて天野によるテクノロジー・アントレプレナーシップを分析した。その結果、意味のあるシンボルとしての製品設計と製品アーキテクチャを介した企業家と市場のコミュニケーションが好循環すると、企業家が創発的内省性を発揮してブレークスルーを達成し、競争優位の源泉となる製品開発を成功に導く企業家的自我のダイナミクスを具体的に示すことができた。企業家のアイデンティティ形成を自我のダイナミクスの一部として捉えることが、アイデンティティ形成と製品開発および戦略遂行の結びつきを記述するのに有効であることが分かった。しかし、本論文は、テクノロジー・アントレプレナーシップを前提とし、単一の事例研究を用いていることから、普遍性の面で限界がある。

  • 王 亦菲
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2019 年 16 巻 p. 121-139
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    中国においてB2Bプラットフォーム型流通企業が台頭し注目を集めている。同型企業は包括的なリテールサポートを展開し、伝統的な中小零細小売店舗の経営能力を強化することによって、大規模組織小売企業と大規模ネット通販企業に対抗する流通サプライチェーンの構築を狙う。本研究では、理論的サンプリングで先駆的なB2Bプラットフォーム型流通企業である星利源社を調査対象に選定し、同社に対する事例研究を行う。そのうえで、流通システムのイノベーションの視点から、同社のリテールサポートの実態と構成要素を解明するとともに、流通システムのダイナミズムという視点から、中国流通システムの進化プロセスにおけるB2Bプラットフォーム型流通企業のもたらすインパクトを考察する。

  • 岸田 泰則
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2019 年 16 巻 p. 141-156
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    本稿では、中小企業4社において、高齢者雇用促進のソーシャル・イノベーションが波及した事例を分析した。本稿では、就労困難な状況に置かれた高齢者に雇用を提供することにより、居場所などの労働過程の持つ価値や経済的自立を補佐する生活資金といった労働統合型社会的企業と同様の社会的包摂を、営利企業が市場メカニズムの中で実現できることを明らかにした。また、先行研究では、社会的課題の認知がソーシャル・イノベーションの起点となっていたが、本稿の事例により必ずしも社会的課題の認知が起点ではなく、経済的課題の解決策(ビジネスモデル)がソーシャル・イノベーションに変容していくプロセスが発見された。いわば、「意図せざる創発的ソーシャル・イノベーション」の可能性が提示された。また、複合的な学びのネットワーク、すなわち実践共同体における多重成員性が社会的企業家に高齢者雇用の社会的課題を認知させ、高齢者雇用促進のソーシャル・イノベーションの創出・普及を促すプロセスが示唆された。

  • 楽 奕平
    原稿種別: 査読付き研究ノート
    2019 年 16 巻 p. 157-169
    発行日: 2019/03/29
    公開日: 2019/03/29
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    本稿は、日本におけるオープンデータ政策の変遷と、変化する国際情勢の中におかれた日本政府の問題意識について考察するものである。国内外のオープンデータに関する動向とそれに応じた政府決定の変遷の分析から、オープンデータに関する日本の政策が、政府の透明性を主眼においた行政情報の提供の段階、公共データの利活用による新サービス創出や産業振興を重視した段階、そして、新サービスの創出を全面に出して事業者の保有するデータについても行政データを補完するものとしてオープン化を推進するという段階へと3段階の変遷を遂げたことを示した。また、データ活用の社会的意義及び民間データのオープン化に関する今後の展開について考察した。

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