先行研究では、M&Aを成功させるための組織能力である「M&Aコンピタンス(M&A competence)」を獲得する企業の存在が明らかにされている。しかしながら、中小企業においてもこうした概念が適用できるのかについては、明らかにされていない。
そこで本稿では、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスの概念を援用して、M&Aを実施した中小企業の特徴を、質問票調査から探索的に分析した。その結果、以下の5点を明らかにした。
第一に、M&Aを実施した中小企業の多くが戦略目標を策定している。また、戦略目標を達成する手段としてM&Aを選択している企業も多い。
第二に、中小企業では主に経営者がM&Aを推進している。
第三に、M&A推進体制の構築やM&Aプロセスのシステム化が十分でない企業が多い。
第四に、経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識しているものの、社内に対してはM&Aを重視する意識を浸透できていない企業が多い。
第五に、M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている企業は多くはないものの、ポストM&A(買収後の経営統合)に必要な能力を有するとする企業が比較的多い。
Previous research has revealed the existence of companies that acquire “M&A competence”, an organizational capability that enables them to successfully carry out M&A. However, it is not clear whether this concept can also be applied to small and medium-sized enterprises.
For this study, through a questionnaire survey we apply the concept of M&A competence proposed by Nakamura (2003) to explore the characteristics of small and medium-sized enterprises that have carried out M&A. As a result, we have identified the following five points.
First, many of the small and medium-sized enterprises that have carried out M&A have formulated strategic goals, and chosen M&A as a means of achieving those goals.
Second, it is the leader of the company who is taking the initiative in M&A.
Third, the M&A implementation structure and M&A process are not sufficiently systematized in many smaller companies.
Fourth, while the leader is aware of the importance of M&A to achieving the strategic goals, in many companies this awareness is not shared among all.
Fifth, while there are not many companies that gain competitive advantage by being able to implement M&A, many more have the ability required for post-M&A (integration of management after merger or acquisition).
近年、中小企業の事業承継問題の解決策として、M&Aが注目されている。実際、中小企業によるM&Aは、増加傾向にある(中小企業庁, 2024)。一方で、M&Aに関する研究は、これまで主に大企業を対象としており、中小企業のM&Aに関する研究蓄積は十分ではない。
そうしたなか、大企業を対象とした先行研究では、M&Aを成功させるための組織能力である「M&Aコンピタンス(M&A competence)」を獲得する企業の存在が明らかにされている(中村, 2003)。しかしながら、中小企業においてもこうした概念が適用できるのかについては、明らかにされていない。
そこで、本稿では、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスの概念を踏まえたうえで、M&Aを実施した中小企業には、どのような特徴があるのかを質問票調査から探索的に分析する。
本稿の構成は、以下のとおりである。
2.では、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスについて確認する。3.では、質問票調査の概要と分析枠組みを説明する。4.では、質問票調査の結果を分析する。5.では、本稿の結論と課題について述べる。
中村(2003)は、M&Aを成功的に行う際に必要な組織能力として「M&Aコンピタンス」という概念を提唱している。M&Aコンピタンスとは、個々の意思決定から統合というM&Aプロセスを効果的にマネジメントしていく企業特殊的な能力であり、企業の競争優位の源泉であるコア・コンピタンスの1つであるとし、具体的には、そのプロセスに関連するさまざまな専門知識やスキルの集合体であるとしている。M&Aコンピタンスは、単独のM&Aの場合にも当然要求されるものであるが、複数の企業を連続して買収するマルチプルM&Aにおいて、重要な成功要因になるとしている。
M&Aコンピタンスは、①プレM&Aにおけるコンピタンスと、②ポストM&Aにおけるコンピタンスに分けられる(表1)。①プレM&Aにおけるコンピタンスとしては、戦略目標の目標の達成に貢献する買収企業候補を特定化するための分析評価能力や、被買収企業からの信頼関係を構築しつつ、価格交渉を行うための交渉能力があげられている。②ポストM&Aにおけるコンピタンスとしては、両企業間における組織構造や人的資源・組織文化の統合から発生する組織的問題を調整する能力や、戦略的ケイパビリティの移転や新しい知識を創造するための企業間学習を行う能力をあげる。
コンピタンス | 具体的な内容 | |
---|---|---|
プレM&A | 分析評価 | 戦略目標の達成に貢献する買収企業候補を特定化するための能力 |
交渉 | 被買収企業からの信頼関係を構築しつつ、価格交渉を行うための能力 | |
ポストM&A | 調整 | 両企業間における組織構造や人的資源・組織文化の統合から発生する組織的問題を調整するための能力 |
企業間学習 | 戦略的ケイパビリティの移転や新しい知識を創造するための企業間学習を行う能力 |
(出所)中村(2003)pp.85–90をもとに筆者作成。
そして、M&Aコンピタンスを形成するための要因として、①戦略目標、②マルチプルM&A、③組織体制、④内部的影響要因、⑤外部的影響要因の5つを挙げ、これらが互いに関連しあうことで⑥M&Aコンピタンスが形成されるとしている(図1)。
(出所)中村(2003)、p.209を一部加筆修正。
まず、①戦略目標と、②マルチプルM&Aに関しては、戦略目標を明確にし、その上で、戦略目標を達成するための手段としてマルチプルM&Aが実行されることが重要であるとしている。そして、③組織体制を形成する要因として、(a)M&A推進体制、(b)M&Aプロセスのシステム化の2点を挙げている。(a)M&A推進体制とは、専門担当者や専門部署を設置し、集合させることにより、M&Aに関連する専門知識やスキルの蓄積を促すことである。(b)M&Aプロセスのシステム化は、M&Aに関連する専門知識やスキルを属人的な暗黙知から形式知化することで、M&Aプロセスの最適化や強化を図るものである。
また、M&Aコンピタンスの形成においては、買収企業内部と外部の影響要因も考慮する必要があるとしている。④内部影響要因とは、買収企業の組織内におけるM&Aに対する認識の度合いや風土・雰囲気であり、⑤外部影響要因は、マルチプルM&Aの実施・成功によって形成される社外の評判や威信・名声等を挙げている。
中村(2003)が示したM&Aコンピタンスとその形成要因は、M&Aを通じた競争優位構築プロセスを分析するうえで、有意義な枠組みを示している。一方で、中村(2003)で分析対象となっている事例企業は、いずれも大企業である。そのため、M&Aコンピタンスの形成要因が中小企業においても適用できるのかについては、明らかにされていない。
以上を踏まえて、本稿では、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスとその形成要因について、M&Aを実施した中小企業ではどのような状況なのか、質問票調査により分析を行う。
本稿の目的を果たすべく、筆者は、(株)M&A総合研究所と共同で、質問票調査を実施した。概要は、表2のとおりである1。
質問票調査名 | 「企業の危機対応と競争優位構築への取り組み」に関するアンケート ((株)M&A総合研究所と法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科丹下研究室が共同で実施) |
調査時点 | 2023年4月 |
調査方法 | 郵送(QRコードよりパソコン、スマートフォンでの回答も可能) |
調査対象 | 従業者数20人以上、設立7年以上、年商5億円以上の企業10,000社 (一部業種を除く) |
調査対象の 抽出方法 |
(株)M&A総合研究所のデータベースから一部業種を除き、以下の条件に該当する企業10,000社を抽出。 ・従業者数20人以上、設立7年以上、年商5億円以上。 |
有効回答数 | 431件(回収率4.3%) |
(出所)筆者作成。
なお、同質問票調査の回答先には、中小企業以外の企業も含まれているが、本稿の分析については、業種ごとの資本金および従業員数から中小企業のみを抽出し、分析した。
3.2 分析の枠組み分析の枠組みとしては、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスの概念を援用する。
なお、中村(2003)が示したM&Aコンピタンス・形成要因と本稿で分析する質問票項目の対応は、表3のとおりである。
M&A コンピタンス ・形成要因 |
質問票項目 |
---|---|
①戦略目標 | ・「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を策定している」 ・「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を達成するための手段として、M&Aを実施している」 |
②マルチプルM&A | ・「貴社は設立以来、M&A(国内または海外企業の合併や買収)を行ったことがありますか」 ・「M&Aの実施回数」 |
③組織体制 | ・「専門担当者や専門部署の設置など、組織内においてM&Aを推進するための体制が確立されている」 ・「主に経営者がM&Aを推進している」 ・「M&Aプロセスおける最も効果的な方法を抽出し、体系化するなど、M&Aプロセスのシステム化が行われている」 ・「貴社は、M&A実施プロセスにおいて、公的支援機関を活用している」 ・「貴社は、M&A実施プロセスにおいて、民間のM&A仲介機関を活用している」 ・「貴社は、M&A実施プロセスにおいて、公認会計士や税理士などの士業を活用している」 |
④内部的影響要因 | ・「経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識している」 ・「社内では、戦略目標達成の手段として、M&Aを重視する意識が浸透している」 |
⑤外部的影響要因 | ・「貴社は、M&Aを成功的に行った企業として、社外から評価されている」 ・「貴社には、金融機関などからM&A売却案件が持ち込まれる」 |
⑥M&Aコンピタンス | ●M&Aコンピタンス ・「貴社では、M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている」 ●プレM&A ・「貴社は、買収候補企業の置かれている市場環境や事業内容を分析し、評価する能力を有している」 ・「貴社は、買収候補企業との間で、円滑に交渉を行う能力を有している」 ●ポストM&A ・「貴社は、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築するための能力を有している」 ・「貴社は、買収後、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う能力を有している」 ・「貴社は、被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進する能力を有している」 |
(出所)筆者作成。
はじめにM&Aを実施した企業(以下、M&A実施企業)の割合や、M&A実施企業の年商などの属性について確認する。
表4は、M&A(国内または海外企業の合併や買収)の経験の有無を聞いたものである。これをみると、M&A実施企業の割合は、19.3%となっている。また、「検討したことはあるが、実施には至らなかった」とする企業の割合は、17.5%となっている。
ある | 検討したことはあるが、 実施には至らなかった |
検討したことも、 実施したこともない |
合計 | |
---|---|---|---|---|
社数 | 77 | 70 | 252 | 399 |
% | 19.3% | 17.5% | 63.2% | 100% |
(出所)筆者作成。
表5は、M&A実施企業に対して、M&Aの実施回数を聞いたものである。「1回」との回答割合が87.0%となっており、大半を占めている。一方で、複数回実施した経験のある企業の割合は13.0%となっている。M&A実施企業の多くは、1回のM&A実施となっており、マルチプルM&Aを実施した経験のある中小企業は少ないことがわかる。
1回 | 2回 | 4回 | 5回 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
社数 | 67 | 6 | 3 | 1 | 77 |
% | 87.0% | 7.8% | 3.9% | 1.3% | 100% |
(出所)筆者作成。
海外M&A(海外企業の合併または買収)の経験は、どの程度あるのだろうか。表6は、M&A実施企業に対して、海外M&Aの経験の有無を聞いたものである。これを見ると、最も多いのが「検討したことも、実施したこともない」(84.0%)となっている。海外M&Aを実施したことのある企業の割合は、5.3%となっており、それほど多くないことがわかる。一方で、「検討したことはあるが、実施には至らなかった」企業の割合は10.7%となっており、一定数の企業が海外M&Aを検討していることもわかる。
ある | 検討したことはあるが、 実施には至らなかった |
検討したことも、 実施したこともない |
合計 | |
---|---|---|---|---|
度数 | 4 | 8 | 63 | 75 |
% | 5.3% | 10.7% | 84.0% | 100% |
(出所)筆者作成。
M&A実施企業の年商をM&Aを実施した経験のない企業(以下、M&A未実施企業)と比較すると、「年商10億円超~」の割合は、M&A未実施企業が50.7%であるのに対し、M&A実施企業は、68.4%と高く、M&A実施企業のほうが、企業規模が大きいことがわかる(表7)。
M&A実施経験の有無 | 1億円以下 | 1億円超~ 10億円以下 |
10億円超~ 50億円以下 |
50億円超~ 100億円以下 |
100億円超~ 1,000億円以下 |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
なし | 度数 | 2 | 156 | 134 | 23 | 5 | 320 |
% | 0.6% | 48.8% | 41.9% | 7.2% | 1.6% | 100% | |
あり | 度数 | 2 | 22 | 33 | 9 | 10 | 76 |
% | 2.6% | 28.9% | 43.4% | 11.8% | 13.2% | 100% | |
合計 | 度数 | 4 | 178 | 167 | 32 | 15 | 396 |
% | 1.0% | 44.9% | 42.2% | 8.1% | 3.8% | 100% |
(出所)筆者作成。
ここからは、M&A実施企業を対象として分析を行う。最初に、2.で示したM&Aコンピタンスを形成する要因のうち、戦略目標に関する質問項目についてみてみよう。
表8は、M&A実施企業に対して、「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を策定している」かどうかを聞いたものである。これをみると、「あてはまる」(28.6%)が最も多く、「ややあてはまる」(27.3%)「非常にあてはまる」(14.3%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、70.2%と高い割合を示しており、M&A実施企業のほとんどは、競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を策定していることがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 11 | 22 | 21 | 10 | 3 | 5 | 5 | 77 |
% | 14.3% | 28.6% | 27.3% | 13.0% | 3.9% | 6.5% | 6.5% | 100% |
(注)「貴社は設立以来、M&A(国内または海外企業の合併や買収)を行ったことがありますか」との問いに対して「ある」と回答した先(M&A実施企業)のみを集計(以下、表25まで同じ)。
(出所)筆者作成。
表9は、M&A実施企業に対して、「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を達成するための手段として、M&Aを実施している」かどうかを聞いたものである。「ややあてはまる」(26.0%)が最も多く、「どちらともいえない」(19.5%)、「あてはまらない」(16.9%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、49.4%となっており、約半数の企業が競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を達成するための手段として、M&Aを実施している。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 7 | 11 | 20 | 15 | 1 | 13 | 10 | 77 |
% | 9.1% | 14.3% | 26.0% | 19.5% | 1.3% | 16.9% | 13.0% | 100% |
(出所)筆者作成。
以上より、M&A実施企業の多くが戦略目標を策定しており、戦略目標を達成する手段としてM&Aを選択していると考える。
4.3 M&A組織体制次に、M&Aコンピタンスの形成要因のうち、M&A組織体制に関する質問項目についてみてみよう。
表10は、「専門担当者や専門部署の設置など、組織内においてM&Aを推進するための体制が確立されている」かどうかを聞いたものである。これをみると、「あてはまらない」(38.2%)が最も多く、「まったくあてはまらない」(23.7%)、「どちらともいえない」(15.8%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、15.8%にとどまっており、多くの企業では、専門担当者や専門部署の設置など、組織内においてM&Aを推進するための体制が確立されていないことがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 1 | 4 | 7 | 12 | 5 | 29 | 18 | 76 |
% | 1.3% | 5.3% | 9.2% | 15.8% | 6.6% | 38.2% | 23.7% | 100% |
(出所)筆者作成。
では、中小企業において、M&Aを推進する体制はどのようになっているのだろうか。M&Aに限らず、中小企業においては、経営者の役割が重要とされる。そこで、「主に経営者がM&Aを推進している」かどうかを聞いてみた(表11)。これをみると、「あてはまる」(26.0%)が最も多く、「非常にあてはまる」(23.4%)、「どちらともいえない」(19.5%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、61.1%と高い割合を示しており、中小企業では、主に経営者がM&Aを推進していることがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 18 | 20 | 9 | 15 | 0 | 8 | 7 | 77 |
% | 23.4% | 26.0% | 11.7% | 19.5% | 0.0% | 10.4% | 9.1% | 100% |
(出所)筆者作成。
M&Aプロセスのシステム化については、どうだろうか。表12は、「M&Aプロセスおける最も効果的な方法を抽出し、体系化するなど、M&Aプロセスのシステム化が行われている」かどうかを聞いたものである。「あてはまらない」(34.2%)が最も多く、「まったくあてはまらない」(27.6%)、「どちらともいえない」(18.4%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、17.1%にとどまることからも、M&Aプロセスのシステム化が行われてる企業の割合は低いことがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 0 | 3 | 10 | 14 | 2 | 26 | 21 | 76 |
% | 0.0% | 3.9% | 13.2% | 18.4% | 2.6% | 34.2% | 27.6% | 100% |
(出所)筆者作成。
M&Aを実施する際には、どのような外部機関を活用しているのだろうか。表13~15は、M&A実施プロセスにおいて、公的支援機関、民間のM&A仲介機関、公認会計士や税理士などの士業といった外部機関の活用状況を聞いたものである。これらをみると、まず、公的支援機関の活用はそれほど高くない。表13をみると、「あてはまらない」(27.6%)が最も多く、「まったくあてはまらない」(26.3%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、22.3%にとどまっている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 0 | 3 | 14 | 14 | 4 | 21 | 20 | 76 |
% | 0.0% | 3.9% | 18.4% | 18.4% | 5.3% | 27.6% | 26.3% | 100% |
(出所)筆者作成。
民間のM&A仲介機関の活用もそれほど高くはない。表14をみると、「まったくあてはまらない」(22.7%)が最も多く、「どちらともいえない」(18.7%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、36.0%となる一方で、「ややあてはまらない」「あてはまらない」「まったくあてはまらない」の合計も45.4%となっており、M&A仲介機関を活用する企業がいる一方で、あまり活用しない企業もいるなど、二つに分かれている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 5 | 12 | 10 | 14 | 5 | 12 | 17 | 75 |
% | 6.7% | 16.0% | 13.3% | 18.7% | 6.7% | 16.0% | 22.7% | 100% |
(出所)筆者作成。
民間のM&A仲介機関の活用割合がそれほど高くない理由として、M&A仲介機関以外のきっかけが多いことが考えられる。日本政策金融公庫総合研究所(2016)では、M&A実施企業に対して、M&Aを検討したきっかけを聞いている。これをみると、最も多いのは、「相手企業からの自社への働きかけ」(45.7%)であり、「自社から相手企業への働きかけ」(13.9%)、「金融機関からの紹介」(12.6%)が続く。このようにM&A仲介機関以外のきっかけが多いことが、民間のM&A仲介機関の活用割合がそれほど高くない理由と考える。
一方、公認会計士や税理士などの士業を活用している企業の割合は高い。表15をみると、「ややあてはまる」(26.7%)が最も多く、「あてはまる」(20.0%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、60.0%と高い割合を示しており、M&A実施プロセスにおいて、公認会計士や税理士などの士業を活用している企業が多いことがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 10 | 15 | 20 | 10 | 4 | 6 | 10 | 75 |
% | 13.3% | 20.0% | 26.7% | 13.3% | 5.3% | 8.0% | 13.3% | 100% |
(出所)筆者作成。
以上、M&Aを実施する際の外部機関の活用状況を見ると、公的支援機関や、民間のM&A仲介機関を利用している企業の割合はそれほど高くない。一方で、公認会計士や税理士などの士業を活用している企業の割合は高い。
4.4 内部環境要因次に、M&Aコンピタンスの形成要因のうち、内部環境要因に関する質問項目についてみてみよう。
表16は、「経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識している」かどうかを聞いたものである。これをみると、「ややあてはまる」(29.9%)が最も多く、「あてはまる」(20.8%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、62.4%となっており、多くの企業では、経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識している。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 9 | 16 | 23 | 9 | 1 | 13 | 6 | 77 |
% | 11.7% | 20.8% | 29.9% | 11.7% | 1.3% | 16.9% | 7.8% | 100% |
(出所)筆者作成。
一方で、社内では、戦略目標達成の手段として、M&Aを重視する意識が浸透している状況ではない。表17は、「社内では、戦略目標達成の手段として、M&Aを重視する意識が浸透している」かどうかを聞いたものである。「あてはまらない」(32.9%)が最も多く、「まったくあてはまらない」(18.4%)、「どちらともいえない」(18.4%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、23.7%にとどまっており、多くの企業では、社内では、戦略目標達成の手段として、M&Aを重視する意識がそれほど浸透していないことがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 1 | 4 | 13 | 14 | 5 | 25 | 14 | 76 |
% | 1.3% | 5.3% | 17.1% | 18.4% | 6.6% | 32.9% | 18.4% | 100% |
(出所)筆者作成。
ここでは、M&Aコンピタンスの形成要因のうち、外部環境要因に関する質問項目についてみてみよう。
表18は、「貴社は、M&Aを成功的に行った企業として、社外から評価されている」かどうかを聞いたものである。これをみると、「どちらともいえない」(26.0%)が最も多く、「ややあてはまる」(23.4%)、「まったくあてはまらない」(19.5%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、39.0%となっており、一定数の企業において、M&Aを成功的に行った企業として、社外から評価されている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 3 | 9 | 18 | 20 | 1 | 11 | 15 | 77 |
% | 3.9% | 11.7% | 23.4% | 26.0% | 1.3% | 14.3% | 19.5% | 100% |
(出所)筆者作成。
金融機関などからM&A売却案件が持ち込まれる企業の割合は高い。表19は、「貴社には、金融機関などからM&A売却案件が持ち込まれる」かどうかを聞いたものである。「あてはまる」(36.0%)が最も多く、「ややあてはまる」(24.0%)、「まったくあてはまらない」(12.0%)と続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、68.0%と高い。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 6 | 27 | 18 | 8 | 1 | 6 | 9 | 75 |
% | 8.0% | 36.0% | 24.0% | 10.7% | 1.3% | 8.0% | 12.0% | 100% |
(出所)筆者作成。
ただし、この点については、慎重な解釈が必要と考える。前述「貴社は、M&Aを成功的に行った企業として、社外から評価されている」への回答結果や、M&A仲介機関による中小企業への近年の積極的な営業姿勢を踏まえると、M&A売却案件が持ち込まれるのは、必ずしも外部からの評価が高まった結果とはいえない可能性がある。
以上を考慮すると、外部環境要因として、M&A実施企業として社外から評価されている企業は、一定数にとどまっていると考える。
4.6 M&Aコンピタンスの形成状況と内容ここでは、M&Aコンピタンスの形成状況とその内容について分析する。
まず、M&Aコンピタンス形成の有無を直接的に聞いてみた結果を確認する。表20は、「貴社では、M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている」かどうかを聞いたものである。これをみると、「どちらともいえない」(26.3%)が最も多く、「まったくあてはまらない」(21.1%)、「あてはまらない」(19.7%)と続く。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 5 | 7 | 11 | 20 | 2 | 15 | 16 | 76 |
% | 6.6% | 9.2% | 14.5% | 26.3% | 2.6% | 19.7% | 21.1% | 100% |
(出所)筆者作成。
「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計が30.3%であるのに対し、「まったくあてはまらない」「あてはまらない」「ややあてはまらない」の合計が43.4%と上回っていることから、一定数の企業が、M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている一方で、そうではないと考えている企業も多いことがわかる。
次に、M&Aコンピタンスの内容について、プレM&AとポストM&Aに分けて、それぞれみてみよう。
まず、プレM&Aについて、表21~22についてみる。表21は、「貴社は、買収候補企業の置かれている市場環境や事業内容を分析し、評価する能力を有している」かどうかを聞いたものである。「ややあてはまる」(23.7%)が最も多く、「どちらともいえない」(22.4%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、38.2%となっており、一定数の企業が、買収候補企業の置かれている市場環境や事業内容を分析し、評価する能力を有していると考えている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 1 | 10 | 18 | 17 | 8 | 11 | 11 | 76 |
% | 1.3% | 13.2% | 23.7% | 22.4% | 10.5% | 14.5% | 14.5% | 100% |
(出所)筆者作成。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 2 | 14 | 13 | 26 | 5 | 9 | 8 | 77 |
% | 2.6% | 18.2% | 16.9% | 33.8% | 6.5% | 11.7% | 10.4% | 100% |
(出所)筆者作成。
表22は、「貴社は、買収候補企業との間で、円滑に交渉を行う能力を有している」かどうかを聞いたものである。これをみると、「どちらともいえない」(33.8%)が最も多く、「あてはまる」(18.2%)、「ややあてはまる」(16.9%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、37.2%となっており、一定数の企業が、買収候補企業との間で、円滑に交渉を行う能力を有していると考えていることがわかる。
以上の通り、プレM&Aに関しては、一定数の企業が、買収候補企業の置かれている市場環境や事業内容を分析し、評価したり、買収候補企業との間で、円滑に交渉を行ったりする能力を有していると考えている。
次に、ポストM&Aについてみる。表23は、「貴社は、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築するための能力を有している」かどうかを聞いたものである。「どちらともいえない」(27.3%)が最も多く、「あてはまる」(23.4%)、「ややあてはまる」(23.4%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、49.4%となっており、半数近い企業が、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築するための能力を有していると考えている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 2 | 18 | 18 | 21 | 2 | 6 | 10 | 77 |
% | 2.6% | 23.4% | 23.4% | 27.3% | 2.6% | 7.8% | 13.0% | 100% |
(出所)筆者作成。
買収後、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う能力を有していると考える企業の割合も高い。表24は、「貴社は、買収後、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う能力を有している」かどうかを聞いたものである。これをみると、「あてはまる」(25.0%)、「ややあてはまる」(25.0%)が最も多く、「どちらともいえない」(19.7%)が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、51.3%となっており、半数を超える企業が、買収後、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う能力を有していると考えていることがわかる。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 1 | 19 | 19 | 15 | 5 | 7 | 10 | 76 |
% | 1.3% | 25.0% | 25.0% | 19.7% | 6.6% | 9.2% | 13.2% | 100% |
(出所)筆者作成。
被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進する能力を有していると考える企業の割合も高い。表25は、「被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進する能力を有している」かどうかを聞いたものである。「ややあてはまる」(23.7%)が最も多く、「どちらともいえない」(22.4%)、「あてはまる」(18.4%)、が続く。「非常にあてはまる」「あてはまる」「ややあてはまる」の合計は、44.7%となっており、半数近い企業が、被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進する能力を有していると考えている。
非常に あてはまる |
あてはまる | やや あてはまる |
どちらとも いえない |
やや あてはまらない |
あてはまらない | まったく あてはまらない |
合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
度数 | 2 | 14 | 18 | 17 | 5 | 11 | 9 | 76 |
% | 2.6% | 18.4% | 23.7% | 22.4% | 6.6% | 14.5% | 11.8% | 100% |
(出所)筆者作成。
以上の通り、PMI(買収後の統合)において能力を有するとする企業の割合が高い。半数前後の企業が、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築したり、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う、さらには被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進したりする能力を有していると考えている。
本稿では、中村(2003)が示したM&Aコンピタンスの概念を踏まえたうえで、M&Aを実施した中小企業には、どのような特徴があるのかを質問票調査から探索的に分析した。その結果、以下の5点を明らかにした。
第一に、M&A実施企業の多くが戦略目標を策定している。またM&A実施企業の約半数が、戦略目標を達成する手段としてM&Aを選択している。「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を策定している」とする企業の割合は70.2%と高く、「競争優位構築に向けた成長戦略や戦略目標を達成するための手段として、M&Aを実施している」とする企業も約半数にのぼる。
第二に、「主に経営者がM&Aを推進している」とする企業の割合は61.1%と高く、中小企業では主に経営者がM&Aを推進している。
第三に、M&A推進体制の構築やM&Aプロセスのシステム化が十分でない企業が多い。「専門担当者や専門部署の設置など、組織内においてM&Aを推進するための体制が確立されている」とする企業の割合は15.8%にとどまっており、「M&Aプロセスおける最も効果的な方法を抽出し、体系化するなど、M&Aプロセスのシステム化が行われている」とする企業の割合も17.1%にとどまっている。
第四に、経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識しているものの、社内に対してはM&Aを重視する意識を浸透できていない企業が多い。「経営者は、戦略目標達成の手段として、M&Aを重要な戦略として認識している」とする企業の割合は62.4%と高い一方で、「社内では、戦略目標達成の手段として、M&Aを重視する意識が浸透している」とする企業の割合は、23.7%にとどまる。M&Aに対する経営者と社内との意識にギャップがあることがわかる。
第五に、M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている企業は多くはないものの、ポストM&Aに必要な能力を有するとする企業が比較的多い。「M&Aを実施する能力が競争優位の源泉となっている」とする企業の割合は30.3%にとどまる一方、ポストM&Aに関しては、半数前後の企業が、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築したり、被買収企業への経営支援や、経営資源の移転を円滑に行う、さらには被買収企業との間で、新しい知識を創造するための企業間学習を促進したりする能力を有していると回答している。
本稿の意義として、中小企業のM&Aの実態を定量調査により明らかにした点が指摘できる。特に、M&Aコンピタンスの概念を手掛かりに、M&Aを実施した中小企業がM&Aをどのように位置づけているのか、またM&Aに向けた社内体制をどのように構築し、どのような課題を抱えているのか、M&Aに必要などのような能力を獲得しているのかについて明らかにしたことは、貢献と考える。
一方で、本稿には課題も存在する。第一に、中村(2003)が示したM&Aコンピタンス概念の妥当性について検討する必要がある。ダイナミック・ケイパビリティをはじめ、組織能力に関する研究が中村(2003)以降、蓄積されている。そうした先行研究を踏まえたうえで、M&Aコンピタンス概念の位置づけや批判的吟味を行ったうえで、中小企業への応用の可能性について検証する必要があるだろう。
第二に、経営者個人の能力と組織能力との関係性である。本稿では、買収後、被買収企業の従業員との間に信頼を構築するなどのポストM&Aに必要な能力を有するとする企業が比較的多いことを明らかにした。しかしながら、それが組織能力にまで高められているのか、あるいは経営者個人の能力にとどまっているのかについては、明らかにできなかった。中小企業においては、M&A推進体制の構築やM&Aプロセスのシステム化など、組織能力を構築するのがよいのか、あるいは経営者が主体となる体制がいいのかも含めて、今後も検証が必要と考える。
第三に、統計的な検証が必要と考える。本稿では、質問票調査の結果紹介にとどまっており、統計的な検証を行っていない。例えば、M&Aコンピタンスを形成しているとする企業とそうでない企業とでは、どのような要因が影響しているのかなどについて、統計的に検証する必要がある。
以上の課題を解決するべく、今後も研究を進めていきたい。