理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
下肢ダイナミックアライメントの相違が1ステップ動作時の床反力に及ぼす影響
粟井 瞳木村 護郎今野 宏亮徳元 仁美松原 由未子佐々木 誠
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2004 年 19 巻 4 号 p. 317-322

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抄録

本研究の目的は,膝関節外反・下腿外旋位(knee-in & toe-out)の肢位が基礎的研究で前十字靱帯(anterior cruciate ligament:以下ACL)へのストレスが少ないとされる一方で,この肢位で非接触型ACL損傷が発生しやすいという矛盾を解決する一要因を明らかにすることである。健常女性20名(平均年齢21.6±4.6歳)を対象に,knee-in & toe-out,膝関節内反・下腿内旋位(knee-out & toe-in),膝と足部が正面を向いた中間位(neutral)の3つのダイナミックアライメントでの1ステップ動作時の床反力を測定した。knee-out & toe-inは,neutralよりも1ステップ動作時に身体外側に床反力が作用していた。対してknee-in & toe-outは,反対方向の身体内側に床反力が作用し,加えてneutralよりもステップ時の前後方向制動力が弱かった。結果より,knee-out & toe-inでは,下腿内旋位で張力が高まったACLが,脛骨が外側へのトルクを受け大腿骨に対する外側への剪断力が生じるため,neutralよりもACLが損傷しやすいと考えられた。また,knee-in & toe-outでは,膝関節の外反・外旋ストレスを増長すると同時に,前方への制動力を発揮しづらく脛骨が前方へのトルクを受け大腿骨に対する前方への剪断力が発生して,ACL損傷の受傷率が高くなるものと考えられた。

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© 2004 by the Society of Physical Therapy Science
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