理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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会 告
原 著
  • 大塚 洸希, 田中 正二, 川瀬 智隆, 松山 尚生, 藤田 恋凪, 阪東 美加
    2026 年41 巻5 号 p. 112-117
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,脳梗塞患者の転帰先と関係が強いNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)の評価時期を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は発症後24時間以内に脳卒中集中治療室(SCU)へ入室し,発症時の住居が自宅の脳梗塞患者とした.転帰先を自宅と非自宅で2群に分け,入室後24時間以内,3日目および7日目のNIHSSとの関係を検討した.〔結果〕自宅群103例,非自宅群69例であった.3日目および7日目のNIHSS評価は,24時間以内の評価と比較して転帰先と有意に関連していたが,3日目と7日目の比較では有意な差は認められなかった.〔結語〕急性期脳梗塞患者に対する3日目から7日目のNIHSS評価は,24時間以内のNIHSS評価よりも転帰先と強く関係していることが示唆された.

  • ─アフターコロナ移行期における横断的研究─
    濵田 理沙, 堀口 和秀
    2026 年41 巻5 号 p. 118-122
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕COVID-19流行期からアフターコロナ移行期の,理学療法学生の学習・生活満足度と,学力および得意・苦手科目との関連を明らかにする.〔対象と方法〕2023~2025年度の1年生260名を対象に,学習・生活満足度,成績,得意・苦手科目を調査し,関連性を分析した.〔結果〕学習満足度と生活満足度は,全年度で有意な正の相関を示した.両満足度が低い学生は,各年度で約10%存在した.解剖学を得意とする学生は,学習満足度が高いものが有意に多かった.〔結語〕アフターコロナでは,学習と生活の充実が密接に関連するため,包括的支援が重要である.特に1年次からの解剖学への学習支援は,心理的充足感を高め,大学生活の不適応を防ぐ鍵となる可能性がある.

  • ─腓腹筋内側頭および大腿二頭筋長頭に着目した検討─
    渡邉 省吾, 篠崎 哲也
    2026 年41 巻5 号 p. 123-128
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕免荷式歩行器(モリトー社製)の前進負荷機能を用いた歩行時の腓腹筋内側頭,大腿二頭筋長頭の筋活動を検討すること.〔対象と方法〕健常成人男性20名を対象に,免荷式歩行器の前進負荷設定の有無で歩行時の腓腹筋内側頭,大腿二頭筋長頭の筋活動を表面筋電図にて測定し,立脚期全体,立脚期0-30%,立脚期30-100%に区分したroot mean square(RMS)平均値を比較した.〔結果〕前進負荷条件で腓腹筋内側頭は立脚期全体,立脚期 30-100%で有意に増加し,大腿二頭筋長頭は立脚期全体では有意差は認められなかったが,立脚期0-30%で有意に増加した.〔結語〕前進負荷歩行では,腓腹筋内側頭は立脚中期から立脚後期,大腿二頭筋長頭は立脚初期で筋活動が増加する可能性が示唆された.

  • 我妻 昂樹, 鈴木 博人, 松坂 大毅, 嶋田 剛義, 藤澤 宏幸
    2026 年41 巻5 号 p. 129-132
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕理学療法士(PT)が立ち上がり動作の殿部離床(SO)に向けて与える言語強化(VR)のタイミングを特定し,運動戦略による違いを明らかにすること.〔対象と方法〕PT14名に健常者の立ち上がり映像(運動量・安定戦略)を提示し,適切な指導タイミングで発声させた.体幹前傾角度や動作時間に対するVR発声の割合を解析した.〔結果〕両戦略ともVRはSO時体幹前傾角度の約85%,動作時間の約90%の時点で一貫して与えられていた.過半数が最大体幹前傾角速度の到達前に発声し,SO-VR時間差は安定戦略で有意に大きかった.〔結語〕PTは絶対的時間ではなく,体幹前傾角度という相対的変化を視覚的指標としてVRを与えている.このタイミングは筋トルク制御の切り替えを促す役割を担う可能性が示唆された.

  • 佐藤 嶺, 村上 正和, 髙見 彰淑, 牧野 美里
    2026 年41 巻5 号 p. 133-139
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕生活期脳卒中者に対する歩行学習支援ロボットOrthobotを用いた歩行練習が,歩行速度および歩容へ与える影響を明らかにする.〔対象と方法〕通所リハビリテーション利用者11名(男性5名,女性6名)に対照群のない単一研究を行い,Orthobot歩行介入による歩行速度および下肢関節角度の2週間の変化をA-B-A法(同じ集団を「時間の流れ」に沿って3つの段階で追う研究デザイン)にて比較検証した.〔結果〕歩行速度と立脚期での股関節屈曲および伸展角度に有意な改善を認め,いずれも介入後2週間時点でも効果が持続していた.〔結語〕Orthobotは,生活期における歩行再建のための手段として有用である可能性が考えられる.

  • 長田 悠路, 鴬 春夫, 近藤 慶承, 中宿 伸哉, 平島 賢一, 柳澤 幸夫, 芥川 知彰, 後藤 強, 大西 康平, 笹山 明美, 澁谷 ...
    2026 年41 巻5 号 p. 140-145
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕私立小学生の怪我の受傷歴と生活習慣・身体機能との関連を明らかにすること.〔対象と方法〕ある年の私立小学校1~6年生を対象に,怪我の受傷歴,生活習慣について自己記入式アンケートを実施し,怪我の受傷と生活習慣・身体機能との関連を横断的に検討した.〔結果〕怪我の受傷歴は,握力や運動時間と関連する可能性が示された.すなわち,身体能力である握力が高く,運動時間が長い児童ほど怪我の受傷が多い傾向があった.生活習慣である睡眠時間やスクリーンタイムとの明確な関連は認められなかった.〔結語〕私立小学校児童において,身体機能はもとより,生活習慣である運動量の高さが怪我の受傷と関連する可能性が示唆された.学校現場においては,運動量の多い児童に対する適切な運動指導が,怪我予防の視点から重要であると考える.

  • 裁 裕貴, 三川 浩太郎
    2026 年41 巻5 号 p. 146-150
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕回復期リハビリテーション病棟入院中の運動器疾患患者における嚥下機能と呼吸機能との関連を明らかにすること.〔対象と方法〕運動器疾患患者52名(男性15名,女性37名)を対象に最大舌圧,握力,下腿最大周囲長,咳嗽時最大呼気流量,最大呼気口腔内圧,最大吸気口腔内圧を測定した.嚥下機能は反復唾液嚥下テスト(RSST)を用いて評価した.〔結果〕RSSTに基づき,RSST陽性群とRSST陰性群に分け,両群を比較した.RSST陽性群では,呼吸機能指標および最大舌圧が低値であった.RSST回数は最大呼気口腔内圧(%PEmax)と最も強く関連し,咳嗽時最大呼気流量(%PCF)および最大舌圧とも関連した.〔結語〕回復期リハビリテーション病棟入院中の運動器疾患患者において,RSST回数は呼気筋力を反映する%PEmaxと比較的強く関連した.RSST回数が少ない患者では,呼気筋力低下が併存している可能性が示唆された.

  • 吉田 健人, 三秋 泰一, 間所 祥子, 大野 直樹, 横川 正美
    2026 年41 巻5 号 p. 151-157
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕超音波診断装置による筋輝度測定の条件設定を,magnetic resonance imaging(MRI)から算出される筋内脂肪含有率との相関係数から検討すること.〔対象と方法〕19~64 歳の健常成人20名(男性12名,女性8名)を対象に,超音波診断装置とMRI装置で,ベッド上安静仰臥位の被験者の利き脚大腿部における大転子から大腿骨外側上顆の間の25%,50%,75%の位置で画像を撮像した.〔結果〕男性は25%位置の大腿直筋および中間広筋の全ての感度設定において有意な相関があったが,女性はどの条件設定においても有意ではなかった.〔結語〕本研究において,男性の筋輝度測定は25%位置が良いと思われた.女性で筋輝度測定の条件が設定できなかったのは,女性の対象者数が少なかったことが考えられる.今後さらなる検討が必要である.

  • ─内容的妥当性の予備的検討─
    野田 優希, 池田 耕二
    2026 年41 巻5 号 p. 158-163
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕足関節捻挫後の感覚・知覚異常を評価するNarrative-Based Questionnaire(NBQ)を開発し,内容的妥当性を検討した.〔対象と方法〕理学療法士16名から,診療で把握した患者の訴えを自由記述で収集し,内容分析により14項目を作成した.足関節捻挫の診療経験を有する理学療法士11名が各項目を4件法で評価し,Item-level Content Validity Index(I-CVI)およびScale-level Content Validity Index/Average(S-CVI/Ave)を算出した.〔結果〕123件の記述から118コード,65サブカテゴリー,29カテゴリーを抽出した.S-CVI/Aveは0.76で,I-CVIが基準未満の4項目を削除し,3項目の表現を修正して10項目版NBQを作成した.〔結語〕NBQは,足関節捻挫後の感覚・知覚異常を評価する項目として一定の内容的妥当性を有する可能性が示された.

総 説
  • 野々山 隼弥, 伊坂 忠夫, 寺田 昌史
    2026 年41 巻5 号 p. 164-175
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/10/06
    ジャーナル オープンアクセス

    本総説は,下肢関節外傷既往者における感覚運動制御障害を中枢神経系の不適応な内部調整の現れとして再解釈し,固有の感覚運動戦略を評価するための神経学的プローブとして経頭蓋静磁場刺激(tSMS)を用いた内部環境操作アプローチを提案することを目的とする.先行研究では,感覚統合戦略の柔軟性の低下,脊髄および皮質脊髄路興奮性の低下,ならびに広範囲な皮質の過剰活性化が認められている.しかし,皮質活動の変化が適応的代償作用,不適応的な干渉,あるいは機能的でない活性化のいずれを反映しているかは依然として不明である.tSMSによる皮質興奮性の選択的調節は,神経学的ストレステストとして潜在的な感覚運動戦略を検討する仮説的枠組みとなり,個別化されたリハビリテーション戦略の開発に重要な示唆を与えるものである.

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