理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
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原 著
  • 善田 督史, 津島 健司, 服部 知洋, 小河 裕樹, 吉原 楓, 木戸 聡史, 丸岡 弘
    2021 年 36 巻 3 号 p. 295-306
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    [目的]間質性肺疾患(ILD)患者は呼吸苦から臥床傾向にあり,筋力低下が生じる.これに対し,神経筋電気刺激(NMES)が着目されているが,ILD患者に対するNMESの効果は明確でない.今回,ILD患者に対するNMESと随意運動の併用療法の効果を検証した.[対象と方法]対象はNMES群(n=25),コントロール群(n=33)とした.また,長崎大学ADL評価表(NRADL)合計が56点以下をNRADL低値群とし,サブ解析を行った.測定項目は,膝伸展筋力(QF)・6分間歩行距離(6MWD)・activities of daily living(ADL)・quality of life(QOL)とした.[結果]コントロール群に比してNMES群で,QF・6MWDが有意に改善していた.サブ解析では介入群でQF・6MWD・ADL・QOLが有意に改善した.[結語]ILD患者に対するNMESは,NRADL 56点以下でより効果が高かった.

  • 高橋 俊章, 加藤 沙織, 渡部 美穂, 永瀬 外希子, 神先 秀人
    2021 年 36 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕痙直型両麻痺児者のリーチング動作時の各身体部位の運動角度と移動距離および重心移動を定量化し,代償運動を明らかにすることである.〔対象と方法〕脳性麻痺痙直型両麻痺児者7名,健常成人8名を対象にリーチングを課題として実施し,到達時間,移動距離,運動角度および重心動揺を測定した.〔結果〕痙直型両麻痺児者は,健常成人に比較して下部体幹と骨盤の前方移動が短く,上肢の移動が長い.また,前後方向最大振幅が短く,速度も遅かった.〔結語〕痙直型両麻痺児者のリーチングの代償運動は,骨盤前傾運動が低下し,運動性の高い肩甲帯や上肢を過剰に前方に移動させる.その時に上部体幹の屈曲と頸部伸展の過剰な努力により体幹を固定している.

  • 鈴木 克彦, 佐藤 貴広
    2021 年 36 巻 3 号 p. 313-316
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕扁平足における機能的靴インソールの体幹に及ぼす効果を立位の脊椎アライメントおよび側腹筋筋厚より検証した.〔対象と方法〕成人13名の無症候性扁平足者を対象とした.脊椎アライメントはスパイナルマウスを用いて静止立位で測定した.腹横筋,内腹斜筋,外腹斜筋の筋厚は超音波画像を用いて静止立位と側方並進立位で測定した.これらはインソール装着と裸足の2条件を比較した.〔結果〕インソール装着により腰椎前弯角と仙骨前傾角が有意に減少し,腹横筋と内腹斜筋の筋厚が静止立位と側方並進立位ともに有意な増加を示した.〔結語〕扁平足のインソール装着は,後足部回内だけでなく腰椎および仙骨のアライメントを変化させ,腹横筋と内腹斜筋の筋活動を高める可能性が示唆された.

  • 東藤 真理奈, 鈴木 俊明, 淺井 仁
    2021 年 36 巻 3 号 p. 317-323
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕脊髄前角細胞の興奮性の指標として用いられるF波は,振幅や波形が多様性をもって出現することが一つの特徴である.本研究では,出現する波形の多様性に関する分析方法を確立する前段階としてF波の加算平均処理後の振幅値が平均振幅値を反映するか否かを検討した.〔対象と方法〕対象者は健常者25名,平均年齢22.1 ± 2.1歳であった.安静の状態で非利き手側の正中神経に電気刺激を与え,短母指外転筋からF波を導出した.全波形対象に加算平均処理を行い得られた波形の振幅値と,各波形の振幅の平均値を比較した.〔結果〕加算平均法処理にて得られた振幅値は,平均振幅値より有意に低下した.〔結語〕健常者の正中神経刺激にて得られたF波において,加算平均処理後の振幅値は平均振幅値を反映しないことが示唆された.

  • 大村 颯太, 横山 茂樹
    2021 年 36 巻 3 号 p. 325-329
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,デジタル傾斜計を用いた胸椎後弯角の評価法に関する検者内・検者間信頼性について調査することとした.〔対象と方法〕検者2名が傾斜計を用い健常男性10名の胸椎後弯角をそれぞれ2回ずつ測定した.測定結果をもとに,級内相関係数および最小可検変化量を求めた.〔結果〕ICC(1,1)は0.91~0.93,ICC(1,2)は0.95~0.96,ICC(2,1)は0.75~0.80,ICC(2,2)は0.91となり,検査者間信頼性における最小可検変化量 は1回のみの測定より2回測定した平均値の方が低値を示した.〔結語〕デジタル傾斜計による胸椎後弯角の測定は,2回以上の測定により臨床で活用できる可能性が示唆された.

  • ─クロスオーバー比較試験による検討─
    原野 達也, 田島 慎也, 西原 翔太, 吉里 雄伸, 森本 将司, 松下 大輝, 木村 倖晴, 二宮 省悟
    2021 年 36 巻 3 号 p. 331-335
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕異なる座位姿勢の保持が腰部多裂筋筋厚・筋硬度に与える影響を検討する.〔対象と方法〕対象者は健常成人男性14名.通常座位,各姿勢,各姿勢保持5分後,通常座位に戻った時点に腰部多裂筋の筋厚と筋硬度を測定した.各姿勢は良姿勢,虚脱,バランスディスク上,バランスボール上,右脚組み,左脚組みの6つの座位とした.4回の測定を6姿勢で実施し,通常座位と各姿勢座位の前後比較と姿勢間の変化率多重比較をした.〔結果〕前後比較では,通常座位の虚脱,右脚組み,左脚組み,各姿勢座位の良姿勢で筋厚の有意な低下がみられた.姿勢間変化率多重比較では,通常座位の筋厚で虚脱と比較してバランスボール上で有意な増加があり,各姿勢座位の筋硬度で虚脱と比較して左脚組みが有意に低値であった.〔結語〕虚脱座位で筋厚と筋硬度が低下した.

  • 辻下 聡馬, 涌井 忠昭
    2021 年 36 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕月に1回3ヵ月間の介護予防体操プログラムが,高齢女性のquality of life(QOL),生きがいおよび前向きな態度に及ぼす影響を明らかにすること,また,運動習慣の有無および人生の目的の高低が「QOL」,「生きがい」および「前向きな態度」に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕関西地方のX市に居住する65歳以上の高齢女性16名を対象として,人生の目的,QOL,生きがいおよび前向きな態度を調査した.〔結果〕介護予防体操プログラム実施前後で,「人生の目的」,「精神的サマリー」,「生きがい」および「前向きな態度」におけるすべての値は増加したが,有意差は認められなかった.一方,人生の目的の高い群と低い群の介護予防体操プログラム実施前後における各値の群別比較では,実施前は「精神的サマリー」,「生きがい」および「前向きな態度」に有意な差が認められ,実施後は「生きがい」にのみ有意な差が認められた.〔結語〕人生の目的を高く持つことは,「精神的サマリー」,「生きがい」および「前向きな態度」に関連すると推測され,高齢者における介護予防を行う際の重要な示唆を得た.

  • 安田 良子, 栗原 俊之, 篠原 靖司, 伊坂 忠夫
    2021 年 36 巻 3 号 p. 345-352
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究は大学野球選手のポジションにおける足部静的アライメントと動的バランス指標の特徴を明らかにし,これらの関連性を検討することを目的とした.〔対象と方法〕対象は大学野球選手106名(投手31名,野手75名)とした.足部静的アライメント指標は両足立位時の内側縦アーチ高率,第1趾・第5趾側角,開張角,足幅/足長比とし,動的バランス指標は重心安定化時間とした.〔結果〕投手と野手で両足の重心安定化時間に有意な差は認められなかったが,投手にのみステップ足の足幅および足幅/足長比と重心安定化時間に有意な正の相関関係を認めた.〔結語〕投手はステップ足接地後に前足部横アーチを剛体化することで,ステップ足にかかる荷重負荷を軽減し,安定させている可能性が示唆された.

  • 植田 智裕, 西本 和平, 兒玉 隆之
    2021 年 36 巻 3 号 p. 353-360
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕加齢に伴う認知機能の低下を早期から検出し得る可能性について検証するため,抑制機能課題を高齢者と健常若年者に実施して,脳神経活動や神経機能的連関性を比較した.〔対象と方法〕対象は若年者10名と高齢者6名とした.方法は,視覚性3刺激オドボール課題を用いてERP成分を算出し,eLORETAを用いて解析した.〔結果〕抑制機能実行時は,高齢者が右側頭極や右前頭極,若年者が左楔前部や左眼窩前頭皮質を中心とした脳神経活動性を認めた.また,神経機能的連関性は高齢者と若年者の間に差異を認めた.〔結語〕脳内抑制機能に対する神経生理学的評価は,加齢に伴う認知機能低下を検出し得る可能性が示唆された.

  • ─決定木分析を用いた検討─
    平塚 健太, 田宮 高道, 松岡 審爾, 木村 一志
    2021 年 36 巻 3 号 p. 361-367
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕脳卒中患者の発症時における機能評価から15日後の歩行自立因子を決定木分析にて明らかにすること.〔対象と方法〕対象は急性期脳卒中患者612名.発症時における年齢,性別,疾患名,Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),Short Form Berg Balance Scale (SFBBS)合計点,Timed Up and Go Test-Reserve(TUG-R),認知Functional Independence Measure(FIM)合計点,10 m歩行テストの計26因子を独立変数,発症15日後の歩行可否を従属変数とした歩行自立予測モデルを作成した.〔結果〕バランス評価であるSFBBSが上位で採択され,強い歩行自立因子であることが示唆された.また,各因子が低値であってもそれを補填するように他の因子と相互関係を持つ結果が得られた.〔結語〕脳卒中発症早期の歩行予測においてもバランス機能や歩行機能を評価する重要性が示唆された.

  • 鈴木 加奈子, 塩島 直路
    2021 年 36 巻 3 号 p. 369-373
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕結帯動作における体幹前傾制限が肩甲骨の動きと指椎間距離に及ぼす影響について検討することを目的とした.〔対象と方法〕右利きの健常成人13名を対象に,自然座位,体幹前傾を制限した頭部固定座位の2条件における上肢下垂位,最大結帯位での肩甲骨傾斜角度,肩甲骨回旋角度,胸骨傾斜角度,指椎間距離を計測し,2条件間で比較した.〔結果〕自然座位と比較し頭部固定座位における上肢下垂位での肩甲骨前傾および下方回旋は小さく,胸骨後傾は大きく,最大結帯位での指椎間距離は長くなった.〔結語〕体幹前傾制限は上肢下垂位での肩甲骨前傾および下方回旋を小さく,胸骨後傾を大きくさせ,最大結帯位での指椎間距離を長くすることが示された.

  • ─大腿直筋による検討─
    野沢 哲矢, 宇佐 英幸, 中林 利允
    2021 年 36 巻 3 号 p. 375-381
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕横断摩擦マッサージ(TFM)による筋特性変化と筋機能変化を明確にし,その関係を分析することとした.〔対象と方法〕健常成人男性26名に対して,TFM条件,Control条件における,大腿直筋の筋特性(Tone,Stiffness,Elasticity),筋機能(他動膝関節屈曲可動域,最大膝関節伸展トルク,電気力学的遅延,筋力発揮率)を測定し検討した.〔結果〕TFM条件にてStiffnessの低下と可動域の増加を認めた.また,Stiffnessと可動域の間に正の中等度の相関を認めた.〔結語〕大腿直筋に対するTFMはStiffnessに影響を与え,可動域を増加させる効果を有することが示唆された.

  • 森川 樹, 武末 慎, LUECHA Teerapapa, 村木 里志
    2021 年 36 巻 3 号 p. 383-389
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は後足部過回内が歩行中の後足部回内外と下腿および大腿の内外旋の協調性パターンに与える影響を明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は健常若年者32名とし,後足部過回内群と正常足群に分類した.10 m歩行計測を行い,関節角度データから後足部と下腿,大腿それぞれの間の協調性パターンを4つに分類し,その出現率を両群で比較した.〔結果〕荷重応答期において後足部過回内群では後足部回内・大腿内旋パターンの出現率が高く,後足部回外・下腿外旋パターンの出現率が低かった.〔結語〕後足部過回内変形は荷重応答期での下肢の協調性パターンを変化させ,足部より近位における障害の発生要因になる可能性が示唆された.

  • 高橋 亮吾, Dai Yidan, 上田 容子, 易 勤
    2021 年 36 巻 3 号 p. 391-395
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕寛骨臼関節唇と腸腰筋の位置関係および形態特徴を肉眼解剖にて調査を行うこと.〔対象と方法〕解剖学実習体6体12関節(男性3名,女性3名,平均年齢87.2 ± 7.9歳)を用い大腰筋と腸骨筋の腹側および背側を測定し筋・腱成分の割合を算出した.〔結果〕縦幅は全長74.1 ± 6.6 mmに対し,腹側は腸骨筋74.1 ± 6.6 mmと大腰筋34.3 ± 19.1 mm,大腰筋腱39.8 ± 21.2 mm,背側は大腰筋腱74.1 ± 6.6 mmであった.横幅は全長38.6 ± 5.8 mmに対し,腹側は腸骨筋26.7 ± 5.2 mmと大腰筋10.6 ± 3.7 mm,背側は大腰筋腱16.8 ± 5.5 mmと腸骨筋腱8.8 ± 6.1 mmであった.〔結語〕寛骨臼関節唇と接触する腸腰筋の背側の多くは大腰筋腱で構成されていた.

  • 倉林 洸太, 相馬 俊雄
    2021 年 36 巻 3 号 p. 397-402
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕足関節サポーターの装着が片脚着地動作時の下肢関節に及ぼす影響について明らかにすることである.〔対象と方法〕対象は健常成人男性9名とした.課題動作は,30 cm台から右下肢での片脚着地とした.被験者の右足関節にはサポーターを装着した.着地方向は,前後左右の4方向とした.使用機器は,三次元動作解析装置および床反力計とした.解析は,着地脚の下肢関節角度,下肢関節モーメント,下肢関節パワーのピーク値を算出した.〔結果〕サポーターを装着した場合,すべての着地方向において足関節パワーが有意に減少し,前方および右側着地において膝関節パワーが有意に増加した.〔結語〕足関節サポーターの装着は,着地動作における足関節への負荷を減少させることができるが,衝撃吸収を膝関節が補っている可能性が示唆された.

  • 豊田 大輔, 黒澤 和生, 福田 大輝, 水野 友博
    2021 年 36 巻 3 号 p. 403-408
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕1st,2ndを含む計9肢位にて他動的肩関節回旋可動域を調査し,肢位変化に伴う回旋可動域変化を検証した.〔対象と方法〕健常成人60名60肩を対象に,1st,2nd,3rd positionとその間の移行肢位における回旋可動域および肢位変化に伴う回旋可動域変化を調査した.〔結果〕回旋可動域総和は,肩関節60°外転位,2nd,肩関節30°水平屈曲位の順に高値を示し,1st,3rd,肩関節60°屈曲位の順に低値を示した.2ndから3rdにかけて内旋可動域は減少,1stから2ndにかけて外旋可動域は増加,1stから肩関節60°屈曲位にかけて外旋可動域は減少した.〔結語〕本研究結果は肢位変化に伴う回旋可動域変化を客観的に捉えやすく,患者の経時的変化を把握する指標として有用であると考える.

  • 奈良 昌哉, 鈴森 雄貴, 大場 健裕, 寒川 美奈
    2021 年 36 巻 3 号 p. 409-413
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究は,高校野球選手における投球障害の肩関節可動域制限リスクファクターへの認識を調べた.〔対象と方法〕対象は,高校野球部所属選手483名とした.質問紙にて投球時痛,リスクファクターの認識と情報源を調べ,投球時痛の有無により障害あり群,障害なし群に分けた.〔結果〕障害あり群は,314名(65.0%)であった.4種類の肩関節可動域制限をリスクファクターと知っていたのは,全体の19.9~31.9%であった.情報源は,医療機関(59.1%)が最も多く,次にインターネット(26.9%)だった.医療機関との回答は,障害あり群でより多かった(p<0.05).〔結語〕投球障害に対する肩関節可動域制限リスクファクターは,障害発生後に認識した選手が多く,インターネットによる啓蒙の有益性が示唆された.

  • ─前頭前野に着目したfNIRS研究─
    木村 修豪, 平野 大輔, 野澤 羽奈, 谷口 敬道
    2021 年 36 巻 3 号 p. 415-419
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕自動車運転危険予知動画を見た時の前頭前野の脳活動変化について,運転習慣の影響を明らかにする.〔対象と方法〕対象は健常成人11名とし,日常的に運転習慣がある者が5名,運転習慣がない者が6名であった.課題は,眼球運動動画をコントロール課題とし,自動車運転中に自転車を追い越す課題と追い越さない課題である.脳活動は前頭前野領域を機能的近赤外分光法(fNIRS)で計測した.〔結果〕危険予知課題を見た時の前頭前野の活動は,日常的に運転習慣がある群で有意な上昇を認めたが,運転習慣がない群では有意な上昇は認めなかった.〔結語〕自動車運転危険予知動画を見た時の脳活動は,日常的に運転習慣がある群で活性化することが明らかになった.

  • 江越 正次朗, 國分 裕一, 栗木 明裕, 江郷 功起, 古賀 寿記
    2021 年 36 巻 3 号 p. 421-425
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕泳法の違いにより呼吸機能や胸郭拡張差に差異を生じるか検討することとした.〔対象と方法〕水泳部に所属した高校1年生から3年生までの89名を対象とした.対象者に対し,泳法別に呼吸機能,胸郭拡張差について比較した.〔結果〕1秒率(FEV1/FVC)において,背泳ぎよりも自由形で有意に高値を示した.また,胸郭拡張差の第10肋骨部において,自由形よりも背泳ぎで有意に高値を示した.〔結語〕競技力向上へのアプローチとして,自由形では,FEV1/FVCを高めることが必要とされる可能性があり,また,背泳ぎでは下部胸郭の可動性を高めることが必要とされる可能性が推察された.

  • 大久保 吏司, 内田 智也
    2021 年 36 巻 3 号 p. 427-431
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕若年腰痛患者の不安定座面における座位および立位での姿勢制御の特徴を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は非特異的腰痛症と診断された若年腰痛患者46名および健常大学生47名とした.バランスクッションによる不安定面での座位および立位保持課題を実施した.重心動揺計を用いて圧中心点の総軌跡長,外周面積,単位面積軌跡長を測定した.〔結果〕座位では,総軌跡長,外周面積において腰痛群のほうが大きな値を示し,単位面積軌跡長は腰痛群のほうが小さな値を示した.立位では,いずれの項目でも両群間による差を認めなかった.〔結語〕腰痛患者は体幹を主とした姿勢制御機能の低下が生じていることが示唆された.

  • ─電気刺激を用いて─
    白井 孝尚, 井尻 朋人, 鈴木 俊明
    2021 年 36 巻 3 号 p. 433-437
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕結帯動作は肩甲骨前傾,下方回旋が重要である.肩甲骨前傾,下方回旋に関与する僧帽筋上部線維が弛緩しにくい場合の結帯動作に与える影響を知ることを目的とした.〔対象と方法〕健常成人20名の僧帽筋上部線維に電気刺激を与え,弛緩しにくい状態を再現させた結帯動作と電気刺激を与えない結帯動作を実施させた.肩関節外転,伸展,内旋角度や肩甲骨前傾,上方回旋角度,結帯距離を比較した.〔結果〕電気刺激により結帯距離の延長,肩甲骨前傾角度減少,上方回旋角度増大を認めた.〔結語〕僧帽筋上部線維の筋緊張は,結帯動作に影響することが示された.結帯動作の実用性改善には,僧帽筋上部線維の筋緊張や肩甲骨運動が重要であることが示唆された.

  • 中江 秀幸, 相馬 正之, 三澤 寿美
    2021 年 36 巻 3 号 p. 439-446
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕パーキンソン病(PD)患者の服薬および食事栄養状況,諸活動の現状と問題点を明らかにする.〔対象と方法〕在宅PD患者147名に郵送法による服薬,食事,諸活動に関するアンケート調査を行った.〔結果〕服薬忘れ率23.1%,昼食時の服薬忘れが多く,服薬忘れ有群の罹患期間が有意に長かった.診断時からの体重減少は104名にみられ,-4.4 ± 6.1 kg減であった.介護保険サービス利用有群が無群より,転倒有群が無群よりも有意にBMIが低値であった.〔結語〕罹患期間が長い患者は,昼食時に服薬忘れの割合が高いことが示唆された.また,介護保険サービス利用者や転倒歴のあるPD患者には,リハ支援だけではなく,栄養管理などの支援体制の必要性が示唆された.

  • 梅田 泰光, 永井 良治, 中原 雅美
    2021 年 36 巻 3 号 p. 447-451
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究の目的は,片側人工膝関節全置換術後患者の術前の身体的要因と精神的要因およびquality of life(QOL)が術後の反対側膝関節疼痛に関連があるかを検討することとした.〔対象と方法〕対象は片側人工膝関節全置換術を受けた43名とした.術後の反対側膝関節疼痛の有無に対して,術前の身体的要因,精神的要因,QOLの関連性を調査した.〔結果〕術後3ヵ月の疼痛の有無に関連する因子は,術前の破局的思考尺度(PCS)の反芻や変形性膝関節症患者機能評価尺度(JKOM)のふだんの活動であった.〔結語〕術前のPCSの反芻,JKOMのふだんの活動が術後3ヵ月の反対側膝関節疼痛の有無に対する予測因子となり得ることが示唆された.

  • 出口 純次, 三浦 哉, 田村 靖明, 石川 みづき, 村上 亜弥子, 羅 成圭
    2021 年 36 巻 3 号 p. 453-456
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕課題前の有酸素性運動が筋力発揮調整能に及ぼす効果について検討した.〔対象と方法〕対象者は,健常成人15名であり,すべての対象者は60%VO2 maxで10分間の自転車こぎ運動(aerobic exercise:AE)条件および安静座位のコントロール(control:CON)条件の2条件をランダムで実施した.筋力発揮調整能テストは,7つの強度をそれぞれ8回,計56回を無作為に実施した.〔結果〕AE条件における筋力発揮調整能の成功数は,実施1時間後および24時間後に実施前と比較して有意に増加した.CON条件では実施前と比較して有意な変化は認められなかった.〔結語〕課題前の有酸素性運動は筋力発揮調整能の促進および保持を向上させる可能性がある.

  • ─Vividness of Movement Imagery Questionnaireを用いた検討─
    中西 康将, 鈴木 俊明
    2021 年 36 巻 3 号 p. 457-461
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕イメージの明瞭性の個人差が,母趾屈曲の静止画を用いた運動イメージ中の脊髄前角細胞の興奮性に与える影響をF波にて検討した.〔対象と方法〕対象は健常者18名とし,VMIQ質問紙を用いて被験者のイメージ明瞭性を点数化した.運動イメージ課題は左母趾屈曲位の静止画あり・なしでの左母趾屈曲運動とした.安静時を1とした運動イメージ課題の振幅F/M比の値を振幅F/M比相対値とし,静止画あり・なし課題それぞれの振幅F/M比相対値とVMIQ得点との関連性を検討した.〔結果〕静止画なし試行では,明瞭性が低いと振幅F/M比相対値が高くなり,静止画あり試行では,明瞭性が低いと振幅F/M比相対値の値が小さくなった.〔結語〕明瞭性の低い者に静止画を用いると,三人称イメージへと誘導されるため,脊髄前角細胞の興奮性への影響が少なくなることが示唆された.

  • 森田 結衣, 宮地 諒, 山崎 俊明
    2021 年 36 巻 3 号 p. 463-466
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
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    〔目的〕本研究は,荷重刺激の日内頻度が,廃用性筋萎縮の回復過程に及ぼす影響を検討することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,8週齢のWistar系雄ラットとした.1回荷重群は60分間の荷重を1日1回実施し,2回荷重群は30分間の荷重を1日2回実施した.ヒラメ筋を摘出し,筋線維横断面積を測定した.また,筋損傷の指標として壊死線維比率,再生筋線維の指標として中心核線維比率を測定した.〔結果〕筋線維横断面積は,2回荷重群が1回荷重群よりも有意に高値を示した.壊死線維比率は群間に有意差を認めず,中心核線維比率は2回荷重群が1回荷重群よりも有意に高値を示した.〔結語〕廃用性筋萎縮の回復過程において,同一時間の介入であっても荷重日内頻度の増加が有用である可能性がある.

症例研究
  • ─高次脳機能と運動麻痺に及ぼす影響─
    大沼 亮, 早乙女 雄紀, 木村 瑞恵, 松田 雅弘, ネルソン 祥子
    2021 年 36 巻 3 号 p. 467-472
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
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    〔目的〕維持期脳卒中片麻痺患者にボツリヌス療法と随意運動介助型電気刺激(IVES) の併用治療の効果を検討すること.〔対象と方法〕右視床出血により,左片麻痺と高次脳機能障害が残存している症例を対象とした.ボツリヌス療法後からIVESを用いた併用療法を開始し,2ヵ月後までを関節可動域測定(ROM),Modified Ashworth Scale(MAS),Fugl-Meyer Assessment(FMA),線分末梢二等分課題,Catherine Bergego Scale(CBS)を用いて評価した.〔結果〕ボツリヌス療法施行前後でROM,MAS,FMAに改善を認めた.また,線分二等分課題とCBSの改善がみられた.〔結語〕ボツリヌス療法とIVESの併用療法により,上肢の長期的な能動的機能の改善と半側空間無視の症状の改善効果が得られた.

  • 須藤 大輔, 緒方 直史, 本田 祐士
    2021 年 36 巻 3 号 p. 473-477
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/20
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    〔目的〕左腎がんに対する開腹腎摘除術後に,腹部大動脈局限性解離により,両下肢不全麻痺および右大腿切断に至った症例の復職支援について報告する.〔対象と方法〕対象は左腎がんの44歳男性である.職業は柔道整復師として開業している.両下肢不全麻痺と右大腿切断の重複障害に対し,シーティングや他職種が連携し復職支援を行った.〔結果〕普通型車椅子では仙骨・尾骨部の圧痛を認め日常生活動作(ADL)の拡大ができず,圧痛に対してシーティング外来にて車椅子作製の評価を開始した.従来のクッションでは対応困難であり,スポンジフォーム材を股関節角度に合わせ成型し疼痛緩和を図った.結果,疼痛は軽減しADL自立となり家屋,職場環境調整後,柔道整復師として復職した.〔結語〕車椅子シーティングや家屋,職場環境調整などを行い柔道整復師に復職した.

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