〔目的〕上肢挙上位(肩屈曲90°)および下垂位(肩屈曲0°)における肩甲帯屈曲伸展運動中の僧帽筋(UT・MT・LT)および前鋸筋(SA)の筋活動パターンを明らかにし,両肢位における相違を比較した.〔対象と方法〕健常若年男性24名を対象とした.挙上位および下垂位で肩甲帯屈曲伸展運動を1 Hzで反復させ,表面筋電図で筋活動を記録した.最大筋活動量・タイミングを算出し,肢位間で比較した.〔結果〕UT・LT・SAは挙上位で最大筋活動量が高く,LT・SAでは最大筋活動タイミングが早期化した.〔結語〕本研究は,肢位の違いにより肩甲骨周囲筋の活動量とタイミングが変化することを明らかにした.また,対象者の状態や目的に応じ肢位別に用いることで,肩甲帯運動機能評価に有用である可能性が示された.
〔目的〕肩峰骨頭間距離の狭小化率と身体機能の関係を明らかにすることを検討した.〔対象と方法〕健常大学生31名を対象とし,肢位別の肩峰骨頭間距離,関節角度と重力負荷を考慮した肩峰骨頭間距離の狭小化率と脊椎および肩甲骨アライメント,肩後方タイトネス,腱板筋力の関係を検討した.〔結果〕重力負荷あり肩関節45°外転位の肩峰骨頭間距離は,重力負荷あり下垂位および重力負荷なし肩関節45°外転位と比較し,有意に低値であった.肩峰骨頭間距離の狭小化率は,肩後方タイトネスと有意な正の相関を認め,肩甲下筋の筋力と有意な負の相関を認めた.〔結語〕肩峰下インピンジメント症候群患者に対し,肩峰骨頭間距離の狭小化率や肩後方タイトネス,肩甲下筋の筋力などの多角的な視点から評価する必要性が示唆された.
〔目的〕腱板断裂患者における術前の胸椎および肩甲骨アライメントと術後疼痛との関連性について検証した.〔対象と方法〕対象は,鏡視下腱板修復術予定の患者32名とした.調査項目は,基本情報,術前および術後12週時における胸椎後弯角,肩甲骨アライメント,安静時痛,夜間時痛,肩挙上時痛のVisual Analogue Scale(VAS)とした.術前から術後12週にかけての各疼痛VASの推移,術後12週時の肩挙上時痛VASに関連する術前アライメントを検討した.〔結果〕肩挙上時痛VASは,術前に比べ術後12週時で有意に低下していた.術後12週時の肩挙上時痛VASに関連する術前因子は胸椎後弯角であった.〔結語〕術後の肩挙上時痛は,術前の胸椎後弯角の増大と関連していた.
〔目的〕通常のFunctional reach test(FRT)および股関節の自由度を制限した条件付きFunctional reach test(条件付きFRT)とでFR距離とCenter of pressure前方移動距離(COP-A)との関係を明らかにし,両者を比較検証した.〔対象と方法〕運動疾患を有さない,健康成人22名を対象とした.評価項目は,通常のFRTおよび殿部にアダプターテーブルを当て,股関節の自由度を制限した条件付きFRTを実施し,測定時のFR距離およびCOP-Aを測定した.〔結果〕FRTと比較し,条件付きFRTでは,各3回の測定値間の級内相関係数は0.97と高い信頼性が得られた.COP-Aとの関係においても0.73と高い相関関係が認められた.〔結語〕条件付きFRTにて測定値の信頼性,妥当性ともに高いことが示された.条件付きFRTはバランス能力を定量的に評価し,客観的指標の1つとして健常者で有用性が示唆された.
〔目的〕回復期脳卒中片麻痺患者におけるトイレ動作の自立度と姿勢安定度評価指標(IPS)を含む身体機能評価の関連性を明らかにするとともに,トイレ動作自立のカットオフ値を算出することとした.〔対象と方法〕回復期病棟に入院した脳卒中片麻痺患者178例を対象とし,結果を分析した.〔結果〕2群間の比較では,年齢,IPS,Berg Balance Scale,Mini Mental State Examination(MMSE),Stroke Impairment Assessment Set-lower extremityにおいて有意差を認めた.IPSとMMSEが有意に関連する項目として抽出され,IPSのカットオフ値は1.01であった.〔結語〕回復期脳卒中片麻痺患者において,IPSはトイレ動作の自立度を評価するうえで有用である可能性がある.
〔目的〕膝関節内反モーメント(KAM)および膝関節屈曲モーメント(KFM)の1歩ごとの増減と,レバーアーム(LA),床反力(GRF)との関連を明らかにすること.〔対象と方法〕健常若年女性11名を対象に,三次元動作解析装置と床反力計を用いて自由歩行20試行を計測した.立脚期3 時点でのKAM・KFM とそれに対応するLA・GRF を算出し,関連を検討した.〔結果〕KAM・KFM はLAと強い相関を示し,GRF とは中等度~弱い相関であった.〔結語〕健常若年女性におけるKAM・KFMの1歩ごとの増減は,LAの影響を強く受けることが明らかになった.