理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
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最新号
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原 著
  • 飯塚 隆充, 原田 亮, 臼田 滋
    2022 年 37 巻 3 号 p. 265-273
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕Light touch(LT)の接触方法が姿勢動揺に及ぼす影響とその関連要因を検討すること.〔対象と方法〕脊椎脊髄疾患患者30名に3つのLT条件を測定し,LT保持の可否でLT可能群,LT不可能群に分類した.LT可能群は,条件間の姿勢動揺の比較と感覚障害との相関分析を,LT不可能群は,身体機能の群間比較と各LT保持の可否でχ 2独立性の検定を行った.〔結果〕LT可能群において,肘屈曲90°での水平面へのLT(HLT)は最も矩形面積が小さく,指先の触圧覚と相関を認めた.群間比較はLT不可能群が有意に指先の触圧覚が低下し,前後動揺が大きかった.HLTで遂行可能者が多い傾向にあった.〔結語〕HLTは実行可能性が高く動揺範囲を狭めやすかった.LTの保持には,手指の触圧覚と前後動揺が関与していた.

  • ─健常成人による検討─
    越﨑 弘朗, 永井 将太
    2022 年 37 巻 3 号 p. 275-279
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕健常成人による体重免荷式歩行器(BWS歩行器)を用いた歩行と通常歩行の歩行パラメータの類似性を比較し,BWS歩行器を用いた歩行練習が通常歩行に転移し得るかを検討した.〔対象と方法〕健常成人22名を対象とし,通常歩行とBWS歩行器歩行で10 m歩行を加速度計により測定した.加速度波形から歩行速度,ケイデンス,ストライド長,ステップ時間対称性,歩行周期変動,規則性を算出した.〔結果〕BWS歩行器歩行は,速度,ケイデンス,ストライド長,規則性(前後成分)で有意に低下を認めた.〔結語〕健常成人によるBWS歩行器歩行は歩行パラメータの低下をきたしたものの,ステップ時間対称性や歩行周期変動は差がなかった.よって,BWS歩行器は通常歩行と同様の歩行様式で歩行が行える可能性を示した.

  • 野中 嘉代子, 玉利 誠
    2022 年 37 巻 3 号 p. 281-284
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕学習記録用紙を用いた対話的かつ協働的な学習記録活動が,学生の学業的援助要請形態に及ぼす影響について検討した.〔対象と方法〕リハビリテーション専門学校の学生37名を対象に,日々の学習内容を学習記録用紙に記入し,その内容を3~4名のグループで共有して協議する学習記録活動を8ヵ月間毎日実施した.また,学習記録活動前,4ヵ月後,8ヵ月後に学生の学業的援助要請形態を調査し,回避型・依存型・適応型の得点を算出した後,その経時的な変化について検討した.〔結果〕回避型は4ヵ月後に,依存型と適応型は8ヵ月後に有意な改善が認められた.〔結語〕対話的かつ比較的容易に短時間で実践可能な学習記録活動を継続的に実践することにより,学生の援助要請スキルの修得が促される可能性が示唆された.

  • 町田 志樹
    2022 年 37 巻 3 号 p. 285-290
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕理学療法士養成校における遠隔授業の学習効果と学生の情報通信技術(ICT)リテラシー,受講環境の関係性を明らかにすることを目的とした.〔対象と方法〕遠隔授業を受講した4年制大学理学療法学科3年生のうち,分析できた62名を対象とした.Grade Point Average(GPA)上位群と下位群に区分したうえでアンケート調査を行い,ICTリテラシー,遠隔授業の受講環境を調査した.〔結果〕GPA上位群は,ICTリテラシーのうち表現力と収集力が有意に高値となった.受講環境は有意差が認められなかった.〔結語〕遠隔授業の学習効果に対し,ICTリテラシーが影響することが明らかとなった.特に収集力と表現力は深く関与し,それらの修得により遠隔授業の学習効果を向上させる可能性があると考えられる.

  • 髙濱 祐也, 井尻 朋人, 鈴木 俊明
    2022 年 37 巻 3 号 p. 291-295
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕在宅復帰に関連する栄養指標等の項目を明らかにすること.〔対象と方法〕回復期病棟患者79名とした.栄養指標は退院時のMini Nutritional Assessment-Short Form,Body Mass Indexおよび下腿周囲長を用いた.加えて,Functional Independence Measure(FIM)の運動および認知合計点数,介護者の有無,年齢,疾患,性別を調査した.在宅群と非在宅群の2群比較後に抽出された項目に対し,重回帰分析を実施した.〔結果〕重回帰分析の結果,FIM運動合計点数と介護者有無が抽出された.〔結語〕在宅復帰と関連する栄養指標は抽出されず,FIM運動合計点数と介護者有無が在宅復帰と関連することが示唆された.

  • 佐野 達也, 小室 成義, 本間 友貴, 茂原 亜由美, 柿崎 藤泰
    2022 年 37 巻 3 号 p. 297-301
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕胸郭側方偏位量と大腰筋断面積,骨盤回旋角度の左右非対称性との関係について検討した.〔対象と方法〕健常成人男性17名を対象とした.安静立位時の胸郭側方偏位量と等尺性股関節屈曲運動時の大腰筋断面積,骨盤回旋角度変化量を計測した.〔結果〕大腰筋断面積は左側と比較し,右側が有意に大きく,片側股関節の等尺性屈曲運動時に生じる同側への骨盤回旋角度変化量は左側で有意に大きかった.さらに,胸郭側方偏位量と大腰筋断面積左右比(Rt/Lt)との間には有意な負の相関,骨盤回旋角度左右比(Rt/Lt)との間には有意な正の相関が認められた.〔結語〕等尺性股関節屈曲運動時における大腰筋断面積の変化を評価するうえで,立位時の胸郭側方偏位量を評価する意義が示唆された.

  • 堀本 ゆかり, 山田 洋一, 山下 淳一, 丸山 仁司
    2022 年 37 巻 3 号 p. 303-310
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究では,管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素を明らかにし,理学療法士のための臨床管理能力尺度の信頼性と妥当性を検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,臨床業務に従事し,管理業務に携わる理学療法士200名とした.方法は自由参加によるWebアンケートで,基本属性および「看護管理能力を発揮するために必要なスキルと行動特性」68項目を用いた.〔結果〕管理業務に携わる理学療法士のコンピテンシー要素は,「組織開発力」,「管理者としての人柄」,「批判的視点」,「部門管理力」,「専門職観」,「状況対応力」が抽出され,信頼性と妥当性が確認できた.〔結語〕本研究では,理学療法士の管理業務に必要なコンピテンシー要素を臨床管理能力尺度として示し,信頼性と妥当性を検証した.

  • ─大腿直筋による検討─
    中林 利允, 宇佐 英幸, 野澤 哲矢
    2022 年 37 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕静的ストレッチング(static stretching:SS)の介入時間が筋機能と筋特性に与える変化を明確にし,関係性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕31名の健常成人男性を対象に,大腿直筋へ15 sec・60 secの短時間SSを実施し,筋機能(他動膝関節屈曲可動域,最大膝関節伸展トルク,電気力学的遅延,筋力発揮率)と筋特性(Tone,Stiffness,Elasticity)を測定し,コントロールとともに3条件を比較した.〔結果〕15 sec,60 secのSSによって関節可動域(ROM)の増加が確認されたが,その他の筋機能や筋特性には変化を認めなかった.〔結語〕SSによりROMの増加を認めたものの,筋特性に変化が確認されなかったことから,双方の関係性を見い出せなかった.そのため,ROMの増加は筋の構造学的な変化が生じたからではなく,伸張感や痛みに対する感覚(痛みの耐性)の変化が影響していることが示唆された.

  • 西山 侑汰, 国枝 結花, 名頭薗 亮太, 辰見 康剛
    2022 年 37 巻 3 号 p. 319-322
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕iPhone標準搭載の傾斜計測アプリケーションを用いた肩関節回旋可動域測定の偶然誤差と系統誤差を明らかにすること.〔対象と方法〕健常な男子大学生10名20肢を対象にiPhoneおよびゴニオメーターを用いて,肩関節外転90°位で肩関節外旋可動域および内旋可動域を測定した.〔結果〕iPhoneを用いた測定に,系統誤差は認められなかった.iPhoneを用いた測定における最小可検変化量の95%信頼区間は,肩関節外旋可動域4.5°,肩関節内旋可動域7.0°であった.〔結語〕iPhone標準搭載の傾斜計測アプリケーションは,肩関節回旋可動域を測定できるツールであることが示唆された.

  • 竹内 誠貴, 豊田 剛, 松永 大吾, 井川 達也, 石坂 正大, 瀧澤 勉
    2022 年 37 巻 3 号 p. 323-327
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕内側楔状開大型高位脛骨骨切り術(OWHTO)患者の術後JOA scoreに影響する術前因子について検討した.〔対象と方法〕長野松代総合病院でOWHTOを施行した68名77膝を対象とした.診断名,性別,年齢,Body Mass Index,術前の大腿脛骨外側角(FTA),関節可動域(ROM),膝関節等速性筋力,術前と術後1年時の日本整形外科学会変形性膝関節症治療成績判定基準(JOA score)を評価した.術後JOA scoreで満点群と非満点群に分類し,術前因子を比較した.〔結果〕診断名は満点群で膝関節骨壊死症(膝ON)の割合が有意に多かった.術前のFTAは満点群で有意に小さく,術前の膝屈曲ROMは満点群で有意に大きかった.〔結語〕手術に至る診断名が膝ON,術前の内反変形が軽度,術前の屈曲制限が軽度の症例は術後JOA scoreが良好であった.

  • 村上 淳也, 永井 良治, 中原 雅美
    2022 年 37 巻 3 号 p. 329-333
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕初回片側人工股関節全置換術(THA)を施行した患者において,術後1ヵ月後時点での主観的quality of life(QOL)に関連する術前予測因子を明確にすることである.〔対象と方法〕対象は,片側人工股関節全置換術を受けた女性51名(65歳以上の高齢者群30名,65歳未満の非高齢者群21名)とした.術後の主観的QOLとして日本整形外科学会股関節疾患評価質問票を使用し,術前予測因子を検討した.〔結果〕THA術後1ヵ月の主観的QOLを予測する因子として,高齢者群,非高齢者群において日本語版Central Sensitization Inventoryが抽出された.〔結語〕術前の中枢性感作症候群の重症度が,THA術後早期の主観的QOLの予測因子となることが示唆された.

  • 千葉 哲也, 堀本 ゆかり
    2022 年 37 巻 3 号 p. 335-340
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕患者と関わる時間の長いリハビリテーション専門職にとって,長期化する新型コロナウイルス感染症の対応には常に精神的な負担が生じる.対策の徹底状況は感染拡大を左右する要因となるため,不安感は持続しメンタルへルスに影響を与える.〔対象と方法〕東京都に勤務するリハビリテーション専門職248名に,医療者のストレス尺度とストレス関連項目についてWebアンケートを行った.〔結果〕陽性患者,非介入群と一般職員群の不安が強い傾向が得られた.特に一般職員は,感染に関する様々な懸念が明らかとなった.〔結語〕長期化する感染症は,医療従事者の心身に変調をきたす要因となり得るため,管理者は,勤務中の職員の心身の状態を把握することが求められる.

  • 野部 悠起, 秋山 卓也, 岡田 瑠衣斗, 田中 心平, 永井 啓太, 滑川 将未, 本名 輝, 沢谷 洋平
    2022 年 37 巻 3 号 p. 341-344
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕健常成人の筋力・骨格筋量・身体機能が出生時体格とどのような関係にあるかを明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,医療系大学の満20歳以上の男性71名・女性46名の計117名とした.握力・骨格筋指数・5回椅子立ち上がりテストを測定し,母子手帳による出生時および生後1ヵ月の体格との関係性を偏相関分析と重回帰分析にて調査した.〔結果〕偏相関分析の結果,握力は出生時と生後1ヵ月後の体重・身長・胸囲と有意な正の相関があった.重回帰分析の結果,握力に関係する項目として,生後1ヵ月の身長が抽出された.〔結語〕出生時および生後1ヵ月の体格の影響が健常成人に維持される可能性が示唆された.

  • 松本 千晶, 糸数 昌史, 久保 晃
    2022 年 37 巻 3 号 p. 345-348
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕理学療法学科学部生のGritと自尊感情との関係について調査することである.〔対象と方法〕学部生388名(年齢20.2 ± 5.6歳:平均 ± 標準偏差)を対象に,日本語版Short Grit尺度と自尊感情尺度を用いてそれぞれのスコアを算出し,Gritと自尊感情スコアの関連度と各項目の学年間の差を検討した.〔結果〕Gritと自尊感情スコアの間に有意な正の相関が認められたが,すべての項目で学年間の差は認められなかった.〔結語〕Gritと自尊感情スコアの間に有意な相関を認めたが,一般大学生と同様な傾向であった.理学療法教育で展開されている客観臨床能力試験や臨床実習の前後など縦断的な検討で,情意領域の状態を把握することが必要であると示唆された.

症例研究
  • 吉永 龍史, 前川 友成
    2022 年 37 巻 3 号 p. 349-354
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕人工呼吸器(MV)管理中から早期歩行とセルフケアを獲得した重症肺炎の症例を経験した.〔対象と方法〕82歳男性,重症肺炎と敗血症性ショックによりICUへX日に入室した.X+5日よりMV管理中に歩行を含めた早期離床,および口腔ケアや整容などセルフケア指導を多職種で開始した.歩行練習は,理学療法士1名と看護師2名で5 mから開始し,50 m × 2セットまで漸増した.また,医療スタッフが必要物品を準備し,口腔内吸引,歯磨き,うがいを模倣して指導した.〔結果〕挿管下MV管理中のX+9日にセルフケアが自立し,歩行はX+12日に独歩見守りまで可能になった.〔結語〕本疾患例のように挿管下MV管理中においても,早期歩行およびセルフケアを獲得することは可能である.

  • 吉川 和孝, 梅田 未希, 中村 仁美, 澤田 萌
    2022 年 37 巻 3 号 p. 355-359
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/20
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕間質性肺炎増悪が胸郭出口症候群発症の要因になった可能性のある症例に対して行った介入が,症状改善をもたらした例を報告する.〔対象と方法〕間質性肺炎により常時0.5 L/分の在宅酸素療法を行っていたが,呼吸困難感と左上肢の疼痛,感覚障害を呈し, 間質性肺炎増悪による経皮的動脈血酸素飽和度低下で入院となった80代女性を対象とし,左斜角筋群ストレッチ,リラクゼーション,胸郭ストレッチなどの呼吸リハビリテーションを中心に介入を行った.〔結果〕その結果,疼痛消失と感覚障害消失がみられた.〔結語〕呼吸機能に着目して行った介入が,間質性肺炎増悪が発症の要因になった可能性のある胸郭出口症候群の症状を緩和にしたことから,呼吸器疾患による胸郭出口症候群発症の可能性が示唆された.

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