抄録
本研究の目的は,片麻痺患者においてベルトを装着した場合の起き上がり動作時間に及ぼす影響を検討することである。片麻痺患者24例を対象に,片肘立ち位を経由した起き上がり動作時間ならびに片肘立ち位の圧中心軌跡を,ベルトを装着した場合としない場合で測定した。その結果,起き上がり動作時間は,ベルト装着の有無によって差を認めなかった。片肘立ち位の静的課題での圧中心軌跡において,総軌跡長はベルト有りの条件が無しの条件に比べて有意に長かった。静的課題でのその他の圧中心軌跡のパラメータおよび動的課題でのすべての圧中心軌跡は,ベルト装着の有無によって差がなかった。また,ベルト装着によって起き上がり動作時間が短縮した群と延長した群との間では,差異を認める基本的属性ならびに片肘立ち位における圧中心軌跡の変化値はなかった。以上より,片麻痺患者では,ベルトの装着によって,片肘立ち位で静止する際に上半身の細かな揺れが増すものの,片肘立ち位で上半身を移動させる能力には影響が及ばず,起き上がり動作時間も変化しないものと考えられた。