理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
トレッドミルに乗り移る際の運動調節
下重 孝幸谷 浩明
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2007 年 22 巻 1 号 p. 163-166

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抄録
本研究の目的は,動く支持面に乗り移るときのタイミング調節に歩幅調節,歩行速度が関与しているかどうかを検討することである。そのために作動しているトレッドミル(作動課題)と停止しているトレッドミル(停止課題)に乗り移る課題の歩幅の変化を比較することとした。対象は健常成人20名とした。作動課題と停止課題それぞれにおいて,トレッドミルに乗り移る前の歩行時の歩幅,歩行時間を計測した。歩幅のばらつきの程度は変動係数(CV)を用いて示した。また歩行距離と歩行時間から歩行速度を求めた。結果,作動課題,停止課題いずれにおいてもトレッドミルに近づくにつれ歩幅のばらつきが有意に変化した(F4.190=13.61,p<0.01)。特に作動課題では,トレッドミルに乗り移る-2歩手前において歩幅のばらつきが有意に増加した(p<0.01)。歩行速度においては両課題間で差が認められなかった。これらのことから,床上からトレッドミルに乗り移る際の歩行は,踏み切りの歩幅調節の影響を受けることが確認され,作動課題ではより早期から歩幅調節が行われていることが確認された。
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© 2007 by the Society of Physical Therapy Science
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