理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
研究論文
非線形解析による乳児自発運動の特性
水池 千尋大城 昌平守田 智
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 22 巻 1 号 p. 99-107

詳細
抄録

本研究は,3軸加速度計をもちいた乳児の自発運動の解析の有用性を検討した。対象は,正常成熟児4名であった。測定は生後1ヶ月時に乳児が機嫌よく目覚めている状態で,加速度計のセンサーを右手首に装着し,200秒間の自発運動を記録した。得られた時系列データは,線形(最大エントロピー法によるパワースペクトル分析),及び非線形(リカレンスプロット分析,最大リアプノフ指数の推定,サロデータ法による非線形性の検定)解析した。4名の対象児の自発運動の加速度計から得られた時系列データはいずれも,スペクトル解析では約1 Hzの周波数でなだらかなピークを持っているが、高周波領域からはランダムなノイズとの違いは見られなかった。一方,非線形時系列解析では最適な埋め込み次元(自由度)が5ないし6の,決定論的カオス的な振る舞いをする非線形ダイナミックスを有することが示唆された。

著者関連情報
© 2007 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top