2007 年 22 巻 4 号 p. 445-448
本研究の目的は,形状と底屈制御機構の異なる装具・継手が歩行中に発生する足関節モーメントを明らかにすることである。対象は,下肢関節可動域に制限の無い52歳男性で,局所麻酔剤により人工的に一時的な腓骨神経麻痺を生じさせた。装具は,Tamarack継手(L85)付きP-AFO(T85)と油圧制御継手付きP-AFO(GSD),および継手の無い靴べら式P-AFO(SHB)を使用し,これらと健常歩行および下垂足(DF)歩行を比較した。その結果,立脚初期では,SHBおよびT85は健常歩行と比較して大きなモーメントを発生し,GSDはDFと同程度であったことより,GSDは補助モーメントをほとんど発生していないと考えた。これらの結果は,継手の機能を最大限に発揮させるためには,足板が踵部からMP関節部までを覆うことで反力によるモーメントを足継手に伝えることが重要であることを示唆していた。